今回は処刑にまつわるお話です。
イギリスには4通りの処刑がありました。
一つ目は首切り処刑。ギロチンじゃないのよね。
あれは洗練されたおフランスのお話。
イギリスでは斧でちょん切ります。30センチか40センチぐらいの木の台に首を乗っけてね、斧でスパーッと切りたいんだけど、首って意外に固いんですって。
平均すると3回目ぐらいでやっと落ちたそうです。
これは主に身分の高い人たちの処刑に使われました。ロンドン塔が有名だけど実際には丁度その北側、今、地下鉄の駅の入り口の辺りをタワーヒルって呼んで首切りに使っていました。
ロンドン塔のなで処刑されたのはほんのわずか、たったの7人と言うから驚きです。
ロンドン塔でたまに霊を感じる人がいるそうだけど、それよりも地下鉄の駅で降りてから地下道を通らずに道を横断してロンドン塔に行く道で何百人と処刑されていたわけです。
霊を感じるなら正しい場所で感じましょう!
ここで処刑された人の中にずいぶんと首の固い人がいました。
名前をモンマス公、パパは浮気者ののチャールズ2世です。
奥様に子供の無かったチャールズ2世が亡くなると、弟のジェームス2世が王位につきます。
これが気に入らないのが庶子である彼。、
ジェームス二世に対しての反乱が元で処刑されます。
ところがナカナカちょん切れないの!
やっと6回目で落とされた首は見るも無残な有様だったとか。
はなしはこれで終わりません。
さあ、後片付け、って云う段になってからこの人の肖像画が無いということで、一応王様のジェームス2世の甥に当たるわけだから描いて置こうって事になったそうです。
聞いた話ではこの絵は国立肖像が博物館にあるそうです。(私は見たことがありません。)
以前はこの絵はモンマス公と考えられていましたが、今は身元のわからない人、となっています。
信憑性のない話だから、仕方ないかも?
この手の話が好きな人にお勧めのお土産がロンドン塔で売られています。
紙で組み立てる動くおもちゃなんだけど取っ手を回すと執行人が首をちょん切るシーンが繰り返し楽しめるというもので結構笑えます。ガラスケースの中にディスプレイされているのでボタンを押してみてね。
二つ目の処刑は火あぶり。これはお坊さん用。昔の人は殉教者の遺体を拝むケースが多かったから灰にしたかったのかしら?これで有名なのはスミス・フィールド。何とロンドンのお肉屋さんの中央市場になってます。ロンドンって・・・。
ここではたまに3つ目の見せしめ処刑も行われました。
まず首をくくります。
そして死なないうちに台からおろして生きたまんま内臓を取り出します。
そして最後に首をちょん切って体は4ツザキ。
首は槍に刺してロンドン橋に晒して体は東西南北の方向へバラバラに捨ててしまいます。
この内臓を取り出されながらも「フリーダーム!!!」って叫んだのがメルギブソンの演じたウイリアム・ウォレス「ブレイブ・ハート」です。
この処刑方法のことを「ハング、ドロウン、クォータード」といって何とパブの名前になってます。
なんとなく、落ち着いて飲めない名前かも・・・。ロンドン塔のすぐ横にあります。
最後の処刑方法は単純な首吊り。
場所はマーブルアーチ。
ハイドパークのちょうど北東角で、北に伸びる通りがエッジウェアー通り、西にベイズウォーター、東にオクスフォード通り、南にはパークレーン通りが伸びて行きます。
どこ行くにも便利でホテルも多い地区なんだけど昔はタイバーンと呼ばれていました。
交差点の真ん中にはこの場所が処刑場だったというしるしが付いているんだけど、忙しい人たちは気付かずに足早にとおりすぎて行きます。
ガイドブックには、マーブルアーチという大理石の門で首をくくったと書いてあるものや、近くのスピーカーズ・コーナーの事を、処刑される前に囚人が演説をした場所だとか、見てきたようなうそが書いてある事がありますが、いずれも真っ赤な嘘です。
アーチの場所から50メートルほど西のエッジウェアー通りが始まる場所に、仮設の台が設けられて処刑がありました。
娯楽の乏しかった昔は庶民の楽しみの一つで、現在の刑事裁判所のあるオールドベイリーから、荷馬車で囚人を連れてきて、約4キロの道のりも合わせて大盛況だったようです。
囚人はこれらの庶民を惑わせる恐れがあるとされて、話すことは一切禁じられていました。
スピーカーズコーナーは元々集会が暴動に発展しないための「はけ口」として始められました。
いまだにハイドパークでは集会が暴動に発展する事があります。
日本のお客様は暴動慣れしていないので恐怖感が全く無い場合があります。
「火炎瓶の飛び交う中、ビデオカメラを手に「暴動を撮りに行きたい」というお客様をやっと説得したことがある」と言う添乗員さんの話を聞いて、なんだか場面が目に浮かぶようでした。
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