この間すごく久しぶりにクリブデンへ行く機会がありました。
以前は夕方空港で終わるVIPのお客様をランチにご案内することが多かった場所。
ヒースローも近いし、景色もきれい、そしてお料理もおいしいと3拍子揃った場所です。
ここはハリー王子がメガンさんとウインザー城で結婚式を挙げた前夜、彼女がお母さんと泊まったホテル。
入り口はこんな感じです。
暗いのがちょうどいいんです。
お仕事までまだ時間があったのでコーヒーを持ってきてもらいました。
日本からのお客様は最初に何があるのかを見てから決める人が多い。(←だからメニューを読む時間がかかる)←さらにみんなが何を注文するのか見てから決める人も多いです。
時間の効率を重んじる日本と、それほどではないイギリスといった構図が逆転する事例のひとつだと私は思っています。
朝のコーヒーを5つ星のホテルで注文すると大体7ポンドから10ポンドというのが最近の相場。
ここは無料でした(笑)
そういったこともよくあります。
ロンドンでも宿泊客のためにロビーに飲み物のセットがあって、泊っていなくてもその関係者だったら好きに飲んでも文句を言われることはないと思います。
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私の経験なので、ご自身で判断してください。
気になるなら係に聞けば判断してくれます。
このお部屋にはこのお屋敷に住んでいたある女性の肖像画がかけられています。
ずいぶん久しぶりに来たのに、同じ場所にかかっていて、ようこそって迎えてくれたみたい。
ナンシー・アスターは女性で初めてイギリスの国会議員になった人。
男性ばかりの世界でいろいろ大変だったと思います。
彼女の政敵だった一人で有名なのはウィンストン・チャーチル。
禁酒を広めようとしていた彼女とお酒が大好きなチャーチルだからそりが合わないのも想像できます。
ナチスドイツに対する考えも彼女のサークルとチャーチルは真逆のものでした。
ふたりが毒舌でやり合ったというエピソードには事欠きませんが、私がいつもご案内するのはある夜の出来事。
いつものようにお酒をたくさん飲んでいたチャーチルとそこにやってきたナンシーとの会話です。
👗「まぁウィンストン、あなたベロベロの酔っぱらいじゃないの!」
✌「マダム、私は確かに今はひどい状態ですが、明日になったら素面になります。ところがあなたは明日になってもひどい(≒見た目がひどい)まんまじゃありませんか」
👗「ウィンストン、もしあなたが私の夫なら、コーヒーに毒を入れてやるわ!」
✌「マダム、もしあなたが私の妻なら、喜んでそのコーヒーを飲むよ」
さて、このお屋敷はナンシーと夫のウォルドルフ・アスター子爵が住んだ場所です。
このドアの脇には侯爵の私室がありました。
もう一度お玄関の写真を出しますね。
北にむいた正面玄関です。
屋根の近くにはラテン語で掘られた文字。
POSITA INGENIO OPERA CONSILIO CAROLI BARRY ARCHIT A MDCCCLI と書かれています。
各ラテン語の意味は;
Posita: 建てられた
Ingenio: 天才
Opera: 努力
Consilio: 計画
Caroli Barry Archit[ecti]: 建築家チャールズ・バリー
A[nno] MDCCCLI: 西暦1851年
ということで建てた建築家バリーを讃えたもの。
因みにこのバリーは国会議事堂(ビッグベン)の建築家でもあります。
ネオゴシックの国会議事堂とはえらく違うスタイルですが、火災で焼失してしまった元の建物のスタイルを遺すためのデザインです。
ビッグベンと少しだけ似ている時計塔もちゃんとある(笑)
どう?何となく面影があるでしょう?下の横に細長いのはテラスで、南側の眺望のため。
景色がどんなだか見たい?
ちゃんと写真を撮ってきましたよ!(←さすがブロガーって褒めて!)
もっと晴れていれば水面が青いテムズ川がはっきり見えるんだけど、この写真だとわかりませんね。
こんなかわいらしい燭台が飾られています。このドアの脇には侯爵の私室がありました。
なので、この燭台はそこへ行く階段と侯爵専用のお庭への道を照らすために備えられたそうです。
スタイルは19世紀にイギリスで人気だったエジプト様式で1870-1890年頃に作られたもの。
古代エジプトで奴隷にされていた黒人を象徴しています。
こういったアートはイギリスでは負の遺産として考えられていますが、隠して無かったことにするのではなく、過去を学習して正面から向き合おうという姿勢が取られることが多いです。
この燭台の脇にもそういった内容が書かれた小さなパネルが設置されていました。
パネルに書かれている一部を紹介しますね。
「今日、ヨーロッパの彫刻における黒人の描写は、多くの人々に動揺と苦痛を与えています。私たちは、植民地時代の歴史が私たちの場所の根幹に織り込まれているという事実を検閲したり否定したりするつもりはありません。これらの彫像を含むクリブデンは、国にとって重要なものとして指定されているグレード1に登録されています。そのため、私たちは奴隷制度と奴隷貿易の恐ろしい歴史を認識する形で、これらの彫像を再展示し、再解釈する作業に取り組んでいます。これらの彫像がイギリスと世界の歴史について何を表しているのか、ぜひ考えてみてください。」
週末にのんびり泊るのには少し重い話題かもしれませんが、イギリスのいいところはやっぱり歴史がある建物を普段使っているところだと思います。
ま、この建物は19世紀半ばなので、正直イギリスでは古いうちには入らないんですけどね。
ロンドンの街中を歩いていて建物にラテン語が書きこんであったらぜひ訳してみてください。(AIを使ったり、グーグルレンズで見れば簡単!)
いろいろな歴史がわかって面白いと思います。
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