2012年4月30日月曜日

ダイアモンドジュビリー

 ここのところ、イギリスのお天気は雨ばかり。
そんなの普通じゃないの? って言われそうです。
でも実のところ、ロンドンで朝から晩までずっと雨ということはほとんどありません。

今日は久しぶりにいいお天気です。
そこで、ちょっとお散歩に出てみる事にしました。

目の手術の後の、初めての外出です。
目の手術のお話はこちら(リンクします)
昨日まで、まぶしいものを見ると目がすごく痛かったのですが、今日はそうでもありません。
でも念のためにサングラスをかけて外出しました。

リッチモンド橋からテムズを眺めると、見たこともない船がつながれていました。
「金ぴかだし、昔の御座船みたいだなぁ」そう思ってよく見てみました。
そうしたら、ユニオンジャックやウェールズ、スコットランドの旗も見えます。
もしかしたら、今度のダイアモンドジュビリーに関係のある船かも。
そこで、リッチモンド橋の脇の階段を下りて、テムズ川沿いに出てみました。
お船はカフェに使われているボートを過ぎて、普段は貸しボートの乗り場になっているところに繋がれていました。
そしてそこに通じるゲートが閉まっていて、黒いスーツ姿の男の人が椅子に座っていました。
映画MIBに出てくる、ウィル・スミスみたいな感じの人です。
 「ねぇ、このお船は女王様の?」って聞いてみました。
答えは「そうだよ、ダイアモンドジュビリー・ページェントに使われるんだ」
明日くらいまで、ここに泊まっているそうです。
お船の上では、ペンキ塗りのおじさんがのんびり仕事をしていました。
 こちら側からも写真を、と思ったんだけど、逆光であまりきれいに撮れませんでした。
おうちに帰ってから調べてみると、6月3日のダイアモンドジュビリー(女王様の在位60周年)のページェント、お船のパレードを先導するみたいです。
そういえば、何日か前に、女王様がグリニッチで命名式をしたようなことがニュースになっていました。
テレビで見たときはもっと大きく見えたけれど、実物はそうでもありません。
これで18人の漕ぎ手が乗るそうです。
金箔がたくさん使われているので、小さいけれど、豪華に見えます。
なんと、このお船のお値段は約1.5億円。

今回のお船のパレードは英語で「Thames Diamond Jubilee Pageant」といいます。
ウェブサイトが作られているので(英語)紹介しますね(リンクします)
6月3日は、ロンドンのいろんな橋やテムズ川沿いから、このお祭りを見ることが出来ます。
また、バタシーパーク(テムズ川沿い)でもお祭りが企画されているようです。

6月3日にロンドンにいる予定なら、このページェントも行程に入れるといいんじゃないかと思います。
もしくは自宅のテレビでゆっくり見る?
多分あちこちの道路が封鎖されるので、人ごみが嫌いな人や、面倒がりの人はそれもいいかも知れません。
6月のはじめの週末は、月曜日と火曜日が祭日になるので、土日と併せて4連休になります。
その代わり、5月の最終バンクホリデー(祭日)がなくなりますからご注意。

2012年4月27日金曜日

白内障の手術

上の写真は典型的なイギリスのNHS病院の受付エリアです。
この写真を撮ったのは、朝早い時間なので(確か8時頃だったと思う)すいていますが、9時を過ぎる頃からどんどん人が増えてきて、座る場所がない時もあります。

で下の写真はプライベート病院の待合室。
今回白内障の手術でお世話になった病院は、ロンドンの中心にあります。
もちろんこれが典型的なわけではありません。
もっとすっきりしたデザインのところもあります。
これなんかは、おうちの居間みたいでしょう?
居心地が良さそうだけど、ゆっくり座る間もなく、病室に案内されてしまいました(笑)
ハーリーストリート(プライベートの専門医がずらっと並んでいる通り)の近くです。
余談ですが、コナン・ドイルもこの近くに眼科の診療所を構えていました。

手術は20分くらいらしいのですが、ちゃんと個室が用意されています。
桃太郎君が使っていた、NHSの個室の方が広いかな?
でもNHSとちがって、フラットスクリーンのテレビにはスカイスポーツと、映画のチャンネル。
加えて、ルームサービスのメニューもありました。
ワインリストももちろんあって、しかも王室御用達のワインマーチャント ベリーブラザーズのワインが並んでいました。
料金が良心的だったので、ちょっと感心。
しばらくすると、今回執刀してもらう先生がやってきました。
本来なら、プライベート保険の会社から勧められるお医者さまに診てもらうはずだったのですが、お勧めのお医者様は、ティムちゃんが調べたら、白内障以外にもいろんなこと(ボトックストかも!!)を扱っている先生だと分かって、断りました。
いろいろなところから聞き込んで、探してきたのが今回の先生です。
問題のある白内障の専門のお医者さまです。
この先生には以前診察してもらっているし、その時に詳しい説明も受けているので、随分と気がラクです。
「あ、こんにちは」ってカンジかな?
で、この先生が緑色のペンを取り出して、私の顔に矢印。
思わず「それって消えないマーカーとかじゃないですよね?」って言ってしまいました。
こういうところ、大阪人だなぁ。
しかも先生がいなくなってすぐに写真を撮るし。
だって、いい記念になるかなーって思って(笑)
ティムちゃんはあきれてましたけど。

その後は、麻酔の担当医が詳しい説明なんかをしに来てくれました。
「本当に目に注射とかするの?」って聞いたら、しませんって。
ああよかった。
手の甲から薬を入れて、半分眠ってる状態になるそうです。
でも全身麻酔じゃありません。
それから目薬の麻酔も使うそうです。

1週間ほど前に、以前白内障の手術をしたことのある先輩のガイドから
「みきちゃん、言わない方がいいかもしれないけど(だったら言うなよー)手術の時って目に注射するのよー」って脅かされていたのです。
その時はそれ以上話が進まないように「知ってます、全然ヘイキだもん」って嘘ついたんだけど、ホントは随分怖かったのです(笑)

さて、次に来たのは看護婦さん。
必要な書類にサインしたりするのも、全てこの部屋です。

そして、彼女が私に渡したもの。
じゃーん、なんだか分かりますか?
使い捨てのパンツです(笑)
以前に何回か手術したことがあるけど、こんなのを渡されたのは初めて。
せっかく一番かわいいパンツをはいてきたのに。
3日ほど前に病院から電話がかかってきて、身長と体重を答えたのはこのサイズのためかなぁ?
でもこのパンツ、かなりジャンボサイズだった。
寝巻きに着替えもします。
後は呼ばれるまでお部屋でくつろいでいればOK。

手術のことはさっぱり覚えていません。
(全然レポートになってないじゃん)
麻酔の部屋に入って、手の甲に針を入れて、2-3言何かに答えた記憶はあるけど、目が覚めたら全て終わった後で、自分の病室に戻っていました。
手術の間、ティムちゃんはゆっくりテレビを見ながら待っていたそうです。

目が覚めてしばらくしたら、看護婦さんがお茶を持ってきてくれました。
予定では、その後レストランで夕食を食べようと思っていたけど、疲れていたのでタクシーでまっすぐリッチモンドに帰りました。
とにかく無事に済んでよかった。

イギリスの医療

イギリスには、世界に誇る(笑)NHS(国民健康保険)という制度があります。 
かかりつけのお医者さん(GP)や病院で検査を受けたり、手術、入院といった際に、その都度お金を払う必要はありません。
というわけで、よく「NHSはタダ」なんてことを口にする人がいますが、とんでもない。
イギリスで働いている人は所得税とは別に年収(税金の免除額を引いた後)の11%から12%をNIナショナルインシュランス)代として収めています。
NIは本当は健康保険と年金に使われるはずなんだけど、特別な口座に入るわけではなくて、政府が集めた後は他の税収入とごっちゃになります。
去年、桃太郎君が気胸で入院して、数回手術を受けましたが、その時はNHSを利用しました。
そこで直接治療にかかった費用はゼロです。
A&E(救急)から直接入院だったので、待ち時間がなかったことと、同じ症状で以前にも手術していることから、気胸手術ではトップの先生をつけてもらえることがNHSを選んだ理由です。
普通、NHSのトップクラスの先生たちは、プライベートでも医療に関わっています。 桃太郎君の入院の時も、プライベートで治療を受ける意味があるかどうか聞いてみましたが、入院中は個室をあてがってもらったこともあって、たいした違いはなさそうでした。
 さて、今回の私の目の治療ですが、目のGPともいえるのが、街中の眼鏡屋さんさんなどに勤めているオプティシャン(検眼の専門の人)
でもこの人たちはプライベートです。
目の検査の値段は場所にもよりますが、イギリスのハイストリートにあるチェーンの眼鏡屋さんなら30ポンドくらいです。
そのお店でコンタクトレンズの年間契約などがあれば、目の検査はタダというところもあります。
 またNHSが一定の基準を設けていて、それを満たせば無料になる場合もあります。
この人たちはお医者さんではないので、何か異常が見つかったら、次のレベルにバトンタッチです。
私の場合は「急激に視力が落ちた」のが原因で診てもらったのですが、「瞳孔が小さくて眼底が良く見えないから」と言われて、もっときちんとした検査のできる、モーアフィールズ病院(目の専門の病院)に行くように言われました。 
時間外なので A&E へ行って、診てくれた先生は一般眼科医。
そこで白内障と診断されたのですが、飛蚊症のことを言ったら、そっちのほうが心配だといって、翌日、網膜の裂傷や剥離の専門医の予約をしてくれました。
専門医に診てもらったら、網膜に裂傷があるというので、剥離に進まないようにその場でレーザー治療をしてもらいました。
このモーアフィールドでも診察や治療は全てNHSでカバーされています。

そして、白内障の方は、NHSで手術を受けるのなら、特別の出費はありません。
ただ、ネックになるのは待ち時間と専門の先生の選択の自由です。
そこで、白内障の方はプライベートで受診、手術をすることにしました。 

それでは次の記事でどんな具合だったかお話しますね。

2012年4月23日月曜日

ターナーの絵画(中期)


この写真はリッチモンドの丘からテムズ川を見下ろしたところ。
弓形に湾曲した、ちょうど真ん中には無人の中洲があります。
写真の中央から左手はピータシャムという教会地区。
右手はトゥイッケナム地区で、ターナーはテムズ川から数分歩いたところに自分で設計した家を建てて住んでいました。
その彼のおうちの辺りから、逆にこのリッチモンドの丘を見上げたところには、王立芸術学院の初代院長ジョシュア・レイノルズが住んでいました。
この絵はレイノルズが描いた「The Thames from Richmond Hill
テイト美術館の所蔵ですが、展示はされていません。
1788年の作だそうです。
この翌年にレイノルズは片目の視力を失って、画家を引退し、そして数年後に亡くなりました。
ということで、彼の最晩年の作がリッチモンドの風景というわけです。

レイノルズの時代はイギリスでの風景画の地位が低かったので、せめて年代物に見えるように(昔の巨匠の作に雰囲気が似ているとハクがつくので)絵の具に松脂を混ぜたり、キャンバスを黒く塗ってから絵の具をおいたりしました。
これはおそらくおうちから見えるままを描いたんじゃないかな?
上の写真を撮ったすぐ横が彼の住んでいたところなんです。
中州もちゃんと見えますよね?
それじゃあ今度はターナーの絵です。
The Festival of the Opening of the Vintage, Macon 1803年
たった15年の間に、イギリスの風景画はなんて変わったんでしょう!
ターナーお得意の、澄んだ空気が絵を見ている私たちにも伝わってくるようです。

マコンというフランスのワインの産地がタイトルになっていますが、風景がリッチモンドなのに気がつきますか?
この時期、ナポレオンと戦争中だったイギリスですから、フランスにスケッチ旅行というわけにはいかなかったのです。

では次の絵はターナーが描いた「England: Richmond Hill, on the Prince Regent's Birthday(イギリス・プリンスリージェントのお誕生日のリッチモンドヒル・1819年)
この絵は普段テイト・ブリテンのクロアーギャラリーに展示されています。
とても大きな絵で、幅が3.5メートルほどもあります。
プリンス・リージェントというのは後のジョージ4世のことです。
彼の本当のお誕生日は8月ですが、この絵は4月23日を描いています。
彼の曾おじいちゃん、ジョージ2世の在位から王様は公式誕生日というもの持っていました。
そして、お父さんであるジョージ3世の時代から現在のエリザベス2世に至るまで、公式誕生日には軍旗を掲げる行進(トゥルーピング・ザ・カラー)でお祝いをしました。
ジョージ4世はまだ王様ではなかったけれど、お父さんのジョージ3世が病気で政務につけないために摂政の位について、それで公式誕生日も持っていました。
この絵が描かれた時代のリッチモンドは、王室のメンバーやフランス革命を逃れてきた大陸の貴族達でとても華やかな町でした。

ターナーはこんな風に王室のメンバーの名前をタイトルに入れたり、後にはビクトリア女王のだんな様、アルバート公が育った(誰も知らない)ドイツのお城を描いてみたり「テーマの選び方が、ホント商才に長けているなぁ」って感心します(笑)
このひとつ前の記事(リンクします)で少し書きましたが、ターナーのお誕生日も4月23日です。
プリンスリージェントとの共通点を見出して、満足そうにしている様子が目に浮かぶようです。
同じ角度から、写真を撮ってみました。
200年前と、大して変わっていないようです。


さて、次はフランスの巨匠クロードと比べてみます。

はじめがクロードの「ハガルと天使のいる風景 1646年」
左がターナーの「浅瀬を渡る 1815年」
両方の作品の雰囲気がとても似ているでしょう?
透明な空気、優しい木々、手前には人物、霞んだ背景・・・。
クロードは綺麗な風景画だけではなく、その中に聖書や神話からの題材を取り込むことによって「作品の格」をあげることに成功した風景画家なのです。
ヨーロッパの王族や貴族、僧侶たちはこぞってクロードの作品を求めました。
それが、さらに一段とクロード人気に拍車をかけて、イギリスのお坊ちゃま達がグランドツアーと称して、教養の仕上げを大陸でしていた時の格好の蒐集対象になったわけです。

そこで、イギリスの貴族のお屋敷には、たくさんのクロードが並んでいました。
ある時イギリスでクロードの「シバの女王の船出」に8000ポンドの値段がつけられた時に、ターナーは対になる作品「カルタゴ帝国の衰退 1817年」」を描いて発表しました。
それ以降、彼はクロードの描いたさまざまな作品をヒントに、彼の世界を作り上げてゆくのです。

2012年4月19日木曜日

ナショナルギャラリー・ターナー展

一人ですることもなかったので、今日は国立美術館に絵を観にいきました。

「何でも高い」と文句をつける人が多いロンドンですが、国立美術館や大英博物館などを含む美術館などの入場料が無料なのには、いつも感心しています。

最近では少なくなりましたが、タマーにお客様が2時間以上芸術品を堪能した後で、「大英博物館は大英帝国が盗んできたものの展示会だ」なんて、失礼なことを言う人がいます。
「じゃあ、それをタダで観にきているあなたは、ライオンが仕留めた獲物の残骸をあさるハイエナみたいな立場ですね」
一度言ってみたい台詞ですが、角が立つので言ったことはありません(笑)

そうかと思えば「これだけのものを無料で維持するのは大変でしょうから、匿名の寄付です」なんて言いながら、出口で募金箱に100万円の札束を入れたお客様もいます。
(その時は、束のままでは厚みで入らなかったので、数回に分けて入れました(笑)

ガイドになってすぐの頃、パッケージツアーで無料の美術館や博物館が入っていた時は「もしお気持ちがあったら、お一人千円くらい寄付してあげてくださいね」ってご案内していました。
日本からのツアーで行程に含まれているからといって、旅行会社が入場無料の美術館や博物館にお金を払っているわけではないですからね。
イギリスでは「払えない人は払わなくていいけど、払えるんだったら払ってくれる?」
みたいなスタンスです。
「海外にまでアソビに出てきているんだったら、ちょっとくらい寄付すれば?」と私は思います。
私個人は、日頃お世話になっている美術館・博物館には、友の会の年会費という形でサポートしています。
また、増改築などの特別アピールに寄付をしたりすることもあります。
大英博物館が中庭にガラス屋根をつける時にも、屋根の一部を寄付しました。

さてそういった「入場無料」が建前の美術館・博物館ですが、有料の展示もあります。
国立美術館では年末から年頭にかけて、「ダヴィンチ展」で盛り上がっていました。
前売りは全て売り切れだったので、毎朝数百人以上、当日券を求める人たちで、夜明けから行列が出来ていました。
その時のお話はブログに書きました。
ダヴィンチ展のおはなし(リンクします)
最後の晩餐について(リンクします)

それも終わって、この春は「ターナー展」をやっています。

ターナーはコンスタブルと並んで、イギリスを代表する風景画家です。
日本にもファンは多いんじゃないかと思います。

さて、この展示はお金を払って行く価値があるかどうかですが・・・。

今回のターナー展はクロード・ロランとターナーの関係に焦点を絞っての展示です。
クロードの作品の横に、それに影響を受けたターナーの作品が飾られていました。
ターナーが好きな人は必見なんですが、ターナーがずらりと並んでいるテイトのクロアギャラリー(無料)を知っているだけに、うーん微妙だなぁ。

だけど、どんな展示会もそうであるように、学ぶことは何なりとあるわけです。

今回の展示で、興味深かった内容のひとつ。

クロードもターナーも自分の人気については自負していました。
そこで取った行動が興味深いのです。

クロードは自分の作品を全てカタログに載せて、偽作防止という手段に出ました。
ターナーは自分の作品を印刷させて、幅広い層に名前を広めようとしました。

ターナーが亡くなった時に、彼の意思でたくさんの彼の作品が国家に遺贈されました。
その時のターナーの条件がすごいです。
「ターナーの指定したいくつかの作品をクロードの対象となる作品の横に展示すること」
現在でもこの条件は守られています。

現在はこの特別展示のために別の作品が飾られている、ルーベンスの隣の小さな部屋(15号室)に、クロードと隣りあわせでターナーの作品があるのです。
それ以外では34号室「イギリスの絵画」にいくつか。
また、テートブリテンのクロアギャラリーにもたくさんの彼の作品があります。

ターナーが生まれたのはロンドン。
コベントガーデンの床屋の息子です。
リッチモンドに住んでいた時もあって、そのお話(リンクします)はブログにしました。
1775年生まれ、アメリカ独立戦争の年。
若い頃はナポレオン戦争があったので、自然とイギリスに目を向けた画家でもあります。
でもあこがれたのはイタリア。
イギリスの風景にイタリアを夢見ました。
生まれた日は4月23日。
イギリスの守護聖人、セントジョージの日。
文学でイギリスを代表するシェークスピアと同じお誕生日です。

次回はターナーの作品を何か紹介することにしましょう。


2012年4月18日水曜日

Eltham Palace

今日紹介するのは、ロンドン郊外のステキなおうちです。
ロンドンで観光といえば、つい中心地ばかりを思い浮かべてしまいますが、簡単に公共の乗り物でアクセスできるちょっと郊外にもお勧めがたくさんあります。

Elthan Palace(リンクします) は名前から想像できるように元は王室の宮殿でした。
でも近くにあるグリニッチ宮殿の方が人気で、どんどん廃れていってしまったところ。
テムズ川の傍にあるというグリニッチに比べると、陸路でのアクセスのみというエルタムは不利なんでしょうね。
現在はイングリッシュヘリテイジが管理しています。

どれくらいロンドンに近いかというと、お庭からの景色にロンドンが見えるくらい。
この部分が一番古くって、ばら戦争のエドワード4世のころ。
それ以外はコートルド夫妻(スティーブンとヴァージニア)がリースを買った1930年代につくられて、すべてアールデコ様式。
これは表玄関から入ってすぐのレセプション。
つい先日テレビを見ていたら、スティーブンフライとヒューローリーの対談で、この部屋が使われていました。
特徴があるので一目で分かった。
中央のドアの両側のはめ込み細工は右がバイキングで左がローマ兵。
つまりヨーロッパの両端ということです。

この部屋は丸天井にガラスの小さな穴が無数にあいています。
そこからナチュラルライト。
このお部屋に入る前、お屋敷の玄関脇にはお手洗いがあります。
「遠路はるばるお客様が到着したら、まずお手洗い」ってすごくニーズに合っているなぁと感心しました(笑)
おそらくオリジナルのまま?
蛇口なんかもしっかりデコしていて、思わず写真を撮ってしまいましたが、実は館内は写真禁止です。
このラジエーターなんかもかっこいいなぁ。
ゆっくりとお部屋の数々を見ていたら、時間が経つのが早いこと!
私のお気に入りはヴァージニアの部屋(特に浴室)と、上で紹介したレセプションルーム。
それからその奥にある、小さなお花専用のキッチン脇(ガイドブックにはフラワールームと紹介されている場所に入る、手前右手)がお気に入りなんだけど、ここには詳しく書きません。
是非実際に見て楽しんでください。
一家のペット、キツネザルのためのちょっとした仕掛けです。

コートルド夫妻が住んでいた時にはキッチンだった場所はティールーム。
ここではお茶が飲めます。
これはクリームティー、4.75ポンドでスコーンが2つ。
ちゃんとクロテッドクリームもついていました。
ここのスコーンは少し柔らかめ。
お友達はキャロットケーキを注文しました。
エルタムパレスには合計で3時間くらい居たかな?
ロンドンブリッジ(鉄道)から20分くらいでモッティンガムという駅に到着します。
そこから徒歩で10分くらいです。

アールデコに興味があるなら是非どうぞ。
お庭も手軽なサイズです。

2012年4月11日水曜日

La Fleur de Lys

シャフツベリーで私たちが2泊したのは「 La Fleur de Lys」という名前のホテルです。
ここは、「ホテル」というよりも「部屋つきのレストラン」と謳っています。
どう違うかというのは、どちらに力を入れているかということ。
7部屋しかないブティックホテルで、お部屋はお掃除も行き届いているし、バスタブも深くて十分満足。
今回は結婚記念日なので、ティムちゃんは天蓋付きのベッドのあるお部屋を予約してくれました。
といっても、本当の楽しみはレストランの方。
ところがこちらは本当にがっかり。

これは私が前菜に選んだスープ。
A Cornish Crab Consommé Laced with Sherry & served with Coriander Dumplings.
(シェリー酒がふりかけられた、コーンウォールのかにのコンソメ、コリアンダーのお団子入り)
こうして見ると、おいしそうでしょう?
デモね、コンソメには味がなくて、ただ、甘いだけ。
とても食べられたものではなかったので、他のものに取り替えてもらいました。
すごく残念。
ティムちゃんは(食べたいものが見当たらないから)無難なサラダを前菜に選びました。
A Crisp Green Salad of Lettuces, Cucumber, Green Pepper, Onion,Celery, Asparagus and Croutons In a Garlic Dressing.
でも中のクルトンがべチャべチャで美味しくなかったと、全部取り出して食べていました。
子供みたいな食べ方するなぁ・・・。

私がコンソメの代わりに頼んだ前菜は Pan-Fried Breast of Quail & Duck Liver Served on Celeriac Puree with Asparagus Tips in a Light Truffle Sauce.
ここのシェフはお料理にムラがあるのかもしれない。
レバーの焼き加減なんだけど、2切れとも全然違う。
ひとつは完全に焼きすぎ。
スープよりはましだけど、美味しくない。

さて気分を入れ替えて、メインはティムちゃんが舌平目。

Grilled Fillets of Local Dover Sole served with Langoustines andBaby Leeks in a Light Caviar Sauce.

味見させてもらったけど、やっぱり火が通り過ぎ。
ちょっとドライで、いい素材がもったいなかったな。

私はアンコウ。
Pan-Fried Fillets of Monk Fish Served on Bok Choi & Ginger,
Garnished with Lobster in a Creamy Lemon Sauce.
これはまぁまぁ。

ティムちゃんのデザートはFresh Strawberries and Raspberries Served with Clotted Cream
前菜もメインもハズレだったから、外れようがない、フルーツのクリーム添え(笑)

私はクランブーレにしました。
A Halva, Honey & Fig Crème Brule Served with Fig Cookies.
これもまぁまぁ。

最後は翌日の朝ごはん。
ソーセージがすごく細いんですけど・・・・・。
これじゃあソーセージって書かずに、チッパラータだねってティムちゃんと笑いました。

今にして思えば、ウェブに載っているワインリストに書かれている内容(それぞれの注釈)がめちゃくちゃなので、そこから推察できたはずなんだけど、レビューなんかも良かったし、シェフは腕が良くてもワインに詳しくない人も多いから、と考えていました。

グルメな週末になるはずが、大ハズレの食事だったんだけど、こういったことをふたりで笑いあえた、楽しい週末になりました。

この「La Fleur de Lys」はホテルとしてはお勧めですが、食事は本当にお勧めできません。






おまけ

席を立つときに、ウエイトレスにティムちゃんがチップ(10ポンド札)を渡そうとしました。
ここはオーナーシェフだし、お料理はまずかったけど、ウエイトレスに責任があるわけでもなし、目立たないように、直接そっと渡したかったらしいです。
でも、彼女が「これ(チップ)はキッチンに報告しないといけない」って言うので

「これはね、君にあげるんだよ。食事は本当にまずかったんだから、彼らにあげるんじゃない」って説得していました。

2012年4月9日月曜日

シャフツベリー

イギリス人がこの写真を見ると、「あ、どこかで見たことあるかも」って思うはず。
1970年代のテレビコマーシャルで、背景に使われた場所。
ホーヴィスというパンのブランドで有名になりました。
当時のコマーシャルを見たい方はこちら
YouTubeにリンクします。
この坂道はゴールドヒルという名前で、シャフツベリーという町のハイストリートの裏手です。
ハイストリートにはこんなパンのオブジェ(笑)
私たちが歩いている時も、たくさんの人たちが写真を撮っていましたから、人気の場所(パンのオブジェじゃなくて、坂道の方)のようです。

チェトノール

これは、チェトノールの地区教会です。
そのお向かいに建っているイン(宿屋)が、今回私たちが木曜日に泊まったところ。
名前はチェトノール・イン
インというのは小規模のホテルってカンジかな?
ここは、お料理が有名。
ドーセットの食材をメインに、簡素だけど質のいいお料理を出すことで知られているそうです。
サービスもフレンドリーで、レビューがすごく良かったので、ティムちゃんが選んでくれました。

今回は別にイースター休暇だから、と出かけたわけではなくて、この週末が結婚記念日だからなんです。
週末が木曜日から始まるところが、とてもイギリス(爆)

私は高価なプレゼントとかには、あまり興味がありません。
それよりも、ふたりで何かを一緒にしたりする方がずっと楽しい。
田舎道を歩いたり、パブでご飯を食べたり。

今回のドーセット行きは、サプライズ旅行です。
ティムちゃんが全部決めて、私は到着するまで行き先などの詳細を知らなかったのです。
この宿屋は1階がパブ、2階が宿屋。

私たちが到着したのは6時過ぎ。
早速パブに行きました。
これは前菜の前に注文したおつまみ。
小エビのカクテルです。
グラスの中にサラダが入っていますが、これがとても美味しかった。
その後はムール貝を少しいただきました。
量が少なくてびっくり。
日本の人にはそうでもないかもしれないけど、イギリスでこの量はちょっと問題になるくらい少量です(笑)
今日のお魚スペシャルは「ガナード」というお魚です。
このお魚はスペインの市場で見たことがあります。
スペインでは、かなり高価で、ロブスターと同じくらいの値段だった覚えがあります。
調べてみると、日本では「ホウボウ」という名前らしいです。
ここではフライパンで焼いて出てきました。
下にひかれているのは丘ひじきです。
ちょっと、火を通しすぎ。
ティムちゃんはチキンとハムのパイ。
チップスは美味しかったけど、他はいまいち。
デザートにはルバーブのクランブル。
クランブルのトップがナッツだけで、いまひとつカリッと感がなくて残念。

さて、お部屋ですが、とても清潔で到着時は好感が持てました。
ただ、この日はすごく寒くて、夜中に寒くて目が覚めました。
触ってみると、ラジエーターが冷たい。
田舎に行くとたまにあるのが、夜中に数時間セントラルヒーティングが止まるシステム。
まぁ凍え死にするわけじゃないけど、そこまで節約しなくても・・・。
いつも暖かい場所に慣れていると、少し、「居心地感」のポイントは低くなります。

でも、サイズとか、設備は文句ないです。
湯船はなし。
シャワーのみで、これはお部屋全て(3つだけ)に共通です。
私たちが泊まったのは、一番広いお部屋で「ハーディー」という名前です。
これは朝ごはん。
典型的なイングリッシュ・ブレックファストです。