2026年2月4日水曜日

ワインを作るのにアスベストが使われていた!


昨日の朝、久しぶりにフランス人のお友達とおしゃべりしていたティムちゃん。
一通り近況を交換し合った後に共通の友人テリーの話題になりました。
テリーのことは以前どこかに書いたと思って探したら日本人が作ったワインの記事で紹介していました(リンクします)

最近ずっと話していなかったので、テリーにも電話をして近況を交換していていたんですが、やっぱりある程度の年齢になったら話題は健康。
腰が痛いとか、インフルエンザが流行っているとか、知り合いの誰かが入院したとか、お互いそんな年だね~って感じです。
テリーは最近咳がひどいそうです。

病院には行ったかとティムちゃんが聞いたら、びっくりするようなことを言うのです。
「咳くらい仕方ないんだよ、長いことワイン造りに係わってアスベスト触ってきたんだから」
テリーはもう引退しましたが、ワイン造りがお仕事でした。
「昔はワインのフィルターといえばアスベスト製だったからね」

はい?
アスベストってあのアスベスト?
吸うと肺がんになる可能性があるというあれですか?
フランスのワイナリーってあんなものをフィルターに使っていたの???

信じられないと思って調べたらフランスだけじゃない。
そしてワインだけでもなく、ビールも日本酒もそう。
醸造酒ってお酒を作る工程で「濾す」というのは重要な過程のひとつ。
濾す方法はいろいろで、フィルター式はもちろん、それ以外の方法もあるそうです。
現在ではアスベストは使われていなはずですが、価格や利便性などの理由で一昔前まではアスベスト製のフィルターが世界中で広く使われていたそうです。

ティムちゃんもそんなことは初耳だったらしく、電話を切ってから二人でいろいろ調べてみました。

アスベストは熱や火に強い。
酸やアルカリにも強い。
丈夫なので加工がしやすい。
電気を通しにくい。
しかも安く手に入る。
なので世界中で建材や断熱材、フィルターなどいろいろな用途で利用されてきました。

アスベスト、ロンドンで見てみたいなら自然史博物館の地質学エリアにあります。
本館から階段で2階に上がって入口から左手の壁に沿って歩いたら真ん中の辺り。
厳重に2重のガラスに包まれているこちら。
アスベストって定義されているのは6種類。
アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、そしてトレモライトの繊維状のもの。

自然史博物館に展示されているのは指定6種のひとつトレモライト。
トレモライトはスイスのトレモラ谷で発見されたのでそうよばれていますが、この標本はフランスのコルシカ島から採掘されたようです。

少し拡大すると繊維状なのがよくわかります。
アスベストが身体に悪いことは1970年代初頭には知られていたようですが、規制するためには定義が必要。

WHOでの定義は1973年(リンクします)ILOでの労働者のための条約は1986年(リンクします)です。

そのILOの条約が日本で実地されるのは更にあとで、2005年に国会承認されました。
このおかげで日本国内でも労働安全衛生法施行令の改正が進んで、2006年(平成18年)9月1日から石綿の製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則全面禁止されたそうです。
危ないとわかってからも法律が整うまでに結構な時間がかかっていますね。

私は小学校の理科の実験などで石綿つき金網を使っていた事を覚えています。
子供が使用することが問題ないと思われていたのと同じような感覚で飲み物のフィルターとしても利用に躊躇しなかった時代があったんですね。
ということで、あまり機会はありませんが古いワインにはそんなフィルターが使用されたものが混じっているかもしれません。
でもおそらくはそれほどの量ではないだろうし、現在では利用はされていない国が殆どだそう。
例えばフランスでは1997年にアスベストは全面使用禁止になっています。
それよりも調べている過程でいくつかの国では今でもまだアスベストが採掘・輸出入されているということを知って驚きました。
ロシア、中国、インド、インドネシア、ブラジル、そしてカザフスタンなどは現在でもアスベストを使用している国々だそうです。

古い映画を見るとみんなタバコを吸っていたり、害があることを知らずに使用していたものって結構あるんですよね。
今私たちが日常で利用しているものの中にも、何十年かしたら「誰かが止めなかったの?」ってものがあるのかもしれません。
もし未来がわかるのなら、そんなリストが欲しいですね。



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