明日で1月も終わり。
毎年思いますが、本当にあっという間。
先日、英国のパブリックスクールの一つ、名門ウエストミンスター校を訪れました。
長い歴史のあるところには、面白い伝統行事がつきもの。
ここにもびっくりな行事があるので、今日はそのおはなしを紹介します。
ウエストミンスターといえば、アビーが有名。
歴代の君主が戴冠式を行うところ。
アビーの横にはウエストミンスター宮殿、わかりやすく言えば、国会議事堂。
ウエストミンスター校は、その両方に挟まれたように存在しています。
こんな風に校庭から国会議事堂の一部(旗の出ているところ)が見えます。
また、他の部分からはアビーが見える。
ウエストミンスター校、もとはアビー(僧院)併設の、近所の子供たちへの教育施設だったもの。
起源は12世紀と言われていますが、実際ははっきりしません。
それが、カソリックの僧院が宗教改革で閉鎖されたために、学校として独立したものです。
君主が変わると宗教が変わるといった16世紀、イギリスを異母妹のメアリ1世のカソリックから国教会に戻した、エリザベス1世が現在の学校を再建。
なので、校庭には彼女の像が建っています。
かなりモダンな像で、襟飾りがカレラマーブルという高価な大理石なんだけど、まるで便座みたいと悪評だそう(笑)
現在はパブリックスクール(名門私立校)の一つで、学費も随分高いです。
試験を受けて、特別奨学生に選ばれるのは大変名誉なこと。
なので、何と名前が学校の門に張り出されます。
そんなホールに渡された、1本の白い金属の棒。
一体何のためにあるかといえば、パンケーキのため。
「は?」ってかんじでしょ?
パンケーキの日の行事です。
学校のコックさんがフライパンのパンケーキをひっくり返すんだけど、そのパンケーキがこのバーを越えないといけないのです。
それだけで終わりませんよ。
そのパンケーキを学生たちが奪い合う。
こんな感じです。
紳士的ですねぇ。
何でそんなに一生懸命なのかといえば…
一番大きなパンケーキの塊を持っている人に、金貨がプレゼントされるからです。
1859年に、パンケーキをつかんで丸ごと上着とウエストコートの間に挟んだ生徒が、リドル学長(不思議の国のアリスのお父さん)にパンケーキを差し出したら、金貨は渡せないといわれてがっかりしたそうです。
理由はコックさんのパンケーキがバーを越えなかったからだそうで、かなり残念だったという記録が残っています。
この伝統行事は今でも続いていて、今でも金貨が用意されているそうです。
ところがこの話にはおまけがついていて…
金貨を辞退すると、その日は学校がお休みになるそうで、自分の利益よりも、みんなの楽しみのために金貨を辞退する伝統があるそうです。
名誉は受けるけど、仲間のために私利は取らない…紳士の教育ってこと?
そんな話を聞いた後、ホールから出てくると、壁にたくさんの名前が刻まれていました。
イートン校なんかでも、卒業生が自分の名前を彫ったりした壁があります。
生徒が彫ったにしては上手。
何と石工を雇って彫らせるそうです。
書いてある名前を過去に調べてみたことがあるそうですが、特に成績優秀だとか、功績(監督生を務めたとか)があったなどという事実は見つからなかったそうです。
誰が名前を彫ってもいいといった規定はなくて、石工を雇えるなら彫ってもいいそう。
お金がすべてって、社会を反映していて、かなり現実的な教育(爆)
さて、このパンケーキの行事ですが、パンケーキの日に行われます。
イギリス、いろんな記念行事日がありますが、パンケーキの日はキリスト教の「告解の火曜日」です。
キリスト教にはレントといって、40日間荒野で過ごし、断食したキリストに倣って、40日の贅沢を控える日があるのですが、その始まり「灰の水曜日」の前日です。
腐りやすいミルクや卵をレントの前に使い切るために始まったという説が一般的。
私のお友達でも、レントの期間、40日間禁煙したり禁酒、禁チョコしたりする人がいます。
禁酒や禁チョコはともかく、40日もタバコ吸わなくていいなら止めちゃえばいいのにって毎年思います(笑)
ウエストミンスター校の行事はかなり特殊なんだけど、街中でパンケーキを持って走るレースなども行われますから是非一度見てみると面白いと思います。
パンケーキの日はいつも火曜日ですが、日にちは毎年変わります。
2018年は2月13日です。
今年のパンケーキレース情報はタイムアウトマガジンのサイトをどうぞ(リンクします)
まだ2週間あるから、プランを組む余裕はあるかな?
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