ブログの記事は特に丁寧に書いているわけではないけれど、不器用な私は書くのに時間がかかります。
事実だけさっと書かずにどうしてもその前後の話を含めてしまいます(笑)
ガイドの職業病といえばそれまでですが、物語にしてしまう癖がついているんですね。
加えて長めの文も多い(反省)
でもブログと違って✕(旧ツイッター)だと文字の制限もあるのでそんなわけにもいきません。
X を始めたきっかけのひとつは短い文で言いたいことを表すことだったのかもしれません。
自分からツイートすることはそれほど多くないと思います。
どちらかといえば「これはどう?」とか「おしえて」みたいなツイートに反応することが多いです。
参考になるかなと思って自分のブログの記事をリンクしたりする時もありますが、大抵は簡潔に答えだと思っていることを書いてしまった後で「あれじゃ誤解を招くかな」とか考えて追加のコメントをしたり、書いたものを消してしまったりすることもあります。
この間も✕を見ていたら見覚えのある写真が出てきたので、ついコメントしました。
このツイートにある写真はV&Aにある展示物。
とある貴族のお城に飾られていたもので、こういった飾りは「xxビースト」とよばれます。
私が書いたツイートのコメントにはロイヤルを付けたけど、この展示は王家のものではないので正確には「ロイヤル・ビースト」は正しくない表現です。
ただ、元はロイヤルビーストから派生したもの。
検索するならロイヤルビーストの方が断然探しやすいです。
ビーストだけだと他のものと混同されがち。
今日はせっかくなので、字数が限られるX に代わって少し解説してみます。
この写真ではわかりづらいかもしれませんが、かなり大きくて人間くらいのサイズ。
普通は家紋に描かれている動物を使います。
また祖先の中で自慢したい人の家紋から動物を取り出したり。
便宜上、イメージしやすいように家紋という言葉をこの記事の中では使っていますが、イギリスの Coat of Arms(紋章) はその個人を表すもので、家系図のような面(祖先の紋が織り込まれている)があります。
こういったビーストが作られたのはチューダー時代が主。
チューダー時代というのは約400年~550年前にこの国を治めていた王朝です。
ヘンリー7世から始まって、彼の息子と彼の孫たちが王様や女王様だった時代。
チューダーの開祖「ヘンリー7世」は何人も王様を出したランカスター家(赤ばらが家紋)の出身ではありますが、正統派の血筋には程遠い人。
ライバルのヨーク家(白ばらが家紋)との間でばら戦争が起こって、それに勝利したために王様になりました。
長い話なのでかなり簡単に端折ると(笑)この二つの家柄は親戚同士、元をたどれば15人も子供を設けたエドワード3世の子供たちから枝分かれしていってお互いをライバル視して揉めに揉めたのがばら戦争というわけです。
ランカスター直系ではない血筋という自分の立場を確立する手段の一つとして、ヨーク家のエドワード4世の娘エリザベス姫と結婚してその間にできた子供がヘンリー8世。
そのヘンリー8世がチューダー王朝を正当化するための小道具の一つが宮殿に飾られた「ロイヤルビースト」というわけです。
王様がやることは貴族が真似をします。
なので何人もの貴族が自分の家系から有名な家柄や人物にまつわるビーストを飾ってお家自慢(+王様のマネをすること=彼に対するリスペクト🤣)したわけです。
V&Aにあるビーストもそんなロイヤルビーストの真似のひとつでカンブリアの貴族がお城に飾っていたもの。
さて、王様の真似を貴族がすればお金持ちの商人なんかがその真似をするわけで、そういったものは下々の間にも広がって一般化していくわけです。
ところがビーストは貴族から下には広がりませんでした。
それは何故か。
紋章を持っているのは王家の人間か貴族、もしくは王様から紋章を持つ許可を得た特別な人たちだけだったからです。
紋章がなければそこに描かれるべきものもないので、お金があってもビーストは作れません。
現在もイギリスには一握りですが紋章を持っている人たちが存在します。
新たに持つことになれば、家系を調べて紋章を作ってもらうこともできます。
その費用は7000ポンドくらい😱
もちろん持つ権利がある人のみ、です。
この記事では面白いと思ってイェールを取り上げましたが、実はチューダー王朝のロイヤルビーストで一番大事なのがこのイェール。
僅差で2番手がグレイハウンド。
下々に広がらなかったことに加えて、貴族や王家の人間が住む場所がお城からお屋敷に変化していったこともあってビーストはその後作られなくなってしまいます。
それではちょっと長くなってきたので続きは次回!
お楽しみに!
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