2025年1月13日月曜日

ロイヤルビーストの続き

さて、ロイヤルビーストの順位発表会の続き(笑)




1番はイェール。
イェールはヘンリー7世のお母さんであるマーガレット・ボーフォートの紋章に入っています。
彼女はエドワード3世の血を引いています。
彼女の曾おじいちゃんがヘンリー6世の曽おじいちゃんと同じジョン、エドワード3世の3男。
マーガレットはジョンの2番目の奥さんからの一族なので、ジョンが亡くなった後は王様が次々と出た最初の結婚相手の一族が本家、わかりやすく例えればマーガレットの一族は分家のような扱い。
ちなみに彼女の紋章の一部には落とし格子も入っているので、チューダー朝の建物には落とし格子の飾りが天井や壁によく出てきます。

イェールというのはヤギににた姿の想像上の動物です。
角がぐるぐる回るというコミカルな一面もある🤣
イェールはビーストくらい大きければいいけれど、小さければパッと見ただけではわかりづらいので落とし格子でも血筋をアピールしたんです。


さて、僅差で2番手はグレイハウンド。

グレイハウンドはランカスター家のシンボル。
↑で出てきたエドワード3世の3男坊ジョンの最初の結婚から生まれた子供の一族にはヘンリー4世、ヘンリー5世、ヘンリー6世という王様たちがいます。

この3人の中で一番人気は百年戦争の武将ヘンリー5世。
その子供がヘンリー6世なわけですが、ヘンリー7世のお父さんエドモンド・チューダーはこのヘンリー6世の兄弟なのです(お母さんが同じだけどお父さんが違う)
エドモンドのお母さんはヘンリー5世のお妃だったフランスのお姫様。
でもヘンリー6世を生んだ後、若くして未亡人になって、何と召使のウェールズ人と結婚してエドモンドをもうけます。
つまりエドモンドはヘンリー6世の弟だけど、ランカスター本家の血は入っていないわけ。
ただこのエドモンドは↑で説明したマーガレット・ボーフォートと結婚してヘンリー7世をもうけます。
ヘンリー7世は母方もランカスターだけど分家、さらに父方がこれだからちょっと冴えない。
ただ兄弟のよしみなのかヘンリー6世からランカスター家のシンボルであるグレイハウンドを紋に使うことを許された、つまりランカスター本家の一員だと王様から認められたというわけ。
なのでとっても大事なビーストなのです。


さてそれでは3番手の赤いドラゴン。
番外編で3位だと書きました。
これがまた長い話なので(笑)かなり簡単にまとめます。

アーサー王伝説って聞いたことありますよね?
それがかかわってくるんです(驚)


アーサー王伝説というのはベースは魔術師マーリンの助けでアーサーがブリトン国の王になりローマ人やサクソン人と戦うという内容なんですが、12世紀から19世紀という長い間にいろいろなスタイルに姿を変えて人気になります。
いずれの時代にも共通していることは、魔法、騎士道精神、聖杯、といった要素で冒険やロマンスを語る物語だということ。

古いアーサー王物語は歴史書として書かれました。
1136年頃にジェフリー・オブ・モンマスが書いた「ブリタニア列王記」というもの。
この中ではマーリンは魔術師ではなく預言者として登場します。
サクソン人との戦いで敗れた後、将来ブリトン人が再来するという内容で、ヨーク家を破って返り咲いたランカスター家のヘンリー7世のプロパガンダに利用されて再注目されるようになりました。

あらすじをさっと紹介すると、ブリトン人アーサーのおじ、暴君のヴォーディガン王が夢を見ます。
それは二匹の竜が目覚めて、白い竜と赤い竜が争い、赤い竜が負けて逃げ去るというもの。 ヴォーディガン王がマーリンに謎解きを求めると、マーリンは涙を流し、白い竜はヴォーティガン王が傭兵として呼び寄せたサクソン人を表し、赤い竜はブリトン人だと言います。
 続けて、目の前の光景のように、白い竜つまりサクソン人がこの島を征服するだろう。
でも、遠い未来、いつの日かきっと赤い竜の王子であるブリトン人が再び立ち上がってブリテン島を解放するだろう、と予言するのです。

赤い竜はウェールズのシンボルなのです。
そこでヘンリー7世はエドモンドのお父さんがウェールズ出身なので赤い竜の王子というのは自分のことだという解釈を広めたのです。
つまり歴史書の予言通り自分が約束された存在だということ。
こじつけもここまでくるとすごいです!!

今回の記事は私がオタク宣言をしているみたいな内容ですね(爆)

ただ、読むと理解してもらえると思うのですが、この記事とこの前の記事(リンクします)を単純に書くのは至難の業。

紋章はイギリスのいろんな場所で目にするので、面白いものがあったら調べてみるといいです。
今はグーグルレンズもあるし、比較的簡単にその内容がわかるのではないかと思います。




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