ここ数日、イギリスで話題になっていることのひとつが「万引き」
日本もイギリスも法治国家ですが、私は窃盗に関する考え方にはかなりの開きがあると思っています。
もちろん個人差がある問題なので「イギリス人は」とか「日本人は」といった風にまとめる気はありません。
でもこの間、何かの折に「日本で有名人がサンドウィッチを万引きしてニュースになった」という記事を読んで「今のイギリスだったらきっと問題にはならないだろうな」とは思いました。
食べ物を盗んで社会的な制裁を受けるというフレーズで私が真っ先に思い浮かべるのは小学生の時に読んだ「ああ無情」という物語。
この作品は日本で育った普通の子供にはかなり理解しがたい物語だと思います。
泥棒はいけないことだと教えられてきたのに、主人公は泥棒です。
そしてその彼を追いかける警察の方が悪者のような扱い。
しかも、ひたすら暗くて救いがない。
実際、私は高校生になるまでこの作品がよく理解できませんでしたし、嫌いな作品のひとつでした。
本を読むことが大好きで何度も読み返すことが多かった子供時代「嫌いな本」がほぼなかった私にとって、珍しいので良く憶えています。
アルセーヌ・ルパンのようにヒーロー級の泥棒の物語は好きだったので、モラルの問題ではないと思います(笑)
日本には「謝って済んだら警察は要らない」と主張する人もいますが、対してキリスト教の国々では「懺悔すれは赦される」という考え方があります。
私は英会話を勉強し始めたころ、英語の理解の助けになるように聖書を読むこととイギリスのコメディーを見ることに時間を使いました。
変な高校生だったと自分でも思います(笑)
でもおかげで高校の授業で見る英語の世界とは全く違う世界が存在することはわかりました。
そんな私の高校生時代、忘れられない思い出のひとつに「英会話の先生の万引き事件」があります。
私が高校生の時に通っていた英会話教室にはたくさんのネイティブの先生たちがいました。
その中のひとり、イギリス人のある先生と何人かの生徒たちでコンビニに行った時、その先生がヘアジェルを万引きしたんです。
後で私が見ていたことに気づいたその先生は「みきちゃん、僕はかっこよく見せるためのこのヘアジェルが必要。かっこよければみんな僕の話を真面目に聞いて英語がうまくなる。そうするとこの国が良くなる。だからこのヘアジェルは日本の幸せのために手に入れた」とにっこり笑いながら片言の日本語でいいました。
あらゆる理由で突っ込みどころ満載ですが、その当時まだ16歳くらいの私は大人でしかも先生という立場の人に何て返していいのかわかりませんでした。
これ、作り話じゃないですよ。
学歴を詐称していた先生も多かった(←お教室を辞めてから知った)し、とんでもない英会話教室でしたが個性的でおもしろい先生が多くて、ここに通った2年間で私の英会話は格段に上達しました。
さて、イギリスの現在の万引き事情に話を戻すと、つい先日ロンドンのクラッパムで若者が集団で万引きを含めた反社会的行動をするという事件がありました。
映像を見たい方はトーク・ニュース(保守派のオンライン・ニュース番組)の映像をどうぞ。
これはかなり特殊な例ですが、問題視されているのは万引きがあまりにも普通になっていること。
イギリスでは現在200ポンド以下の窃盗に関しては罰則がないと思っている人も多いです(もちろん罪ではないという事ではありませんが、検挙されない場合が多いのは事実)
というのも2014年反社会的行為・犯罪・警察法のために、盗まれた商品の総額が200相当以下の場合、通常の窃盗犯罪とは別の「簡易罪(簡易罪)」として扱われてきたからです。
加えて、スーパーマーケットで働いている店員や警備員も、万引きは見て見ぬふりをするというポリシーのお店が存在します。(これは窃盗犯と対峙して従業員がケガなどを負うリスクを減らすため)
実際、数日前にウェイトローズの店員が万引きをとがめたことがお店のポリシーに反するといって解雇される事件が起こり、あちこちから非難の声が上がりました。
ウェイトローズ以外にもコープも同じようなポリシーだといわれています。
興味深いのは、広告戦略に評判があるアイスランド・スーパーマーケットのCEOがその人を雇用する用意があると発表したと話題になったことです。
国家統計局の公式統計によると、2024年12月までの1年間でイングランドとウェールズで警察が記録した万引き事件は516,971件で、前年の429,873件から20%の増加になりました。
この数字は、2003年3月に現在の警察の記録方法が始まって以来の最高水準です。
英国小売協会の犯罪調査によると、小売業者は2023/24年に窃盗だけで22億ポンドという前例のない損失で、前年の18億ポンドから22%増加したそうです。
これを受けての「セーファー・ストリート(安全な街)」ミッションとして、2025年2月に法案が提示され、3月より審議が進んでいます。
審議の主な内容は;
*リスペクト命令(Respect Orders)の導入:
- 反社会的行動を繰り返す人に対し、特定の場所(商店街や公園など)への立ち入りを禁止する強力な命令。
- 年齢制限の引き下げ: 従来の成人(18歳)以上から、16歳以上の若年層にも適用拡大。
- 罰則強化: 違反に対する罰則が強化され、最長5年の拘禁刑が科される可能性。
- 警察権限の拡大と即時対応:
*反社会的行動に関与した車両を警察がその場で差し押さえる権限の強化。
- 200ポンド以内の万引きを警察が軽視しないように2014年法のセクション176を廃止。
*住宅関連の対策:
- リスペクト命令を受けた犯罪者が公営住宅の入居待機リストの最下位に回されるなどの住宅関連のペナルティを検討。
どんな結果になるかはわかりませんが、イギリスの社会問題は地域差や階級の問題など深いところに根があるので簡単に解決できそうにもありません。
実際、万引きの実態にもそういった問題が浮かび上がっています。
ちょっと長くなったので、そんなお話はまた今度紹介したいと思います。
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