2024年10月25日金曜日

ナショナルギャラリーのゴッホ展に行ってきた!

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アムステルダムのゴッホギャラリーに行ったのはロンドンに住んで間もないころ。
まだ観光ガイドの学校にも行っていなかった。
ティムちゃんと結婚する前。
親友の女の子とふたりでロンドンでもヨーロッパでも遊び歩いていた時。
その時は折角だから行っておこう程度で、特にゴッホに思い入れもありませんでした。
でも今では彼のバックグラウンドがよくわかって、行ってよかったと思っています。

ゴッホに限らず、美術館で絵を観るのはもちろん楽しいのですが、その絵が出来上がるまでの道のりというのを最近、以前よりももっと考えるようになってきました。
有名な絵をただ見るだけじゃない、もっと深い観賞の仕方。
美術館もいろいろな特別展示でキュレーションに工夫をしています。


私は以前、ゴッホがそれほど好きではありませんでした。
でも、35歳を過ぎたあたりからかなぁ、年々少しずつ彼の絵が好きになってきました。

今回のロンドン・ナショナルギャラリーでのゴッホ展は「詩人と恋人たち」という副題がついて、主に1888年から1890年、彼がアルルとサンレミに住んでいた時代の作品を中心に展示されています。
つまり彼が亡くなるすぐ前。

現在12月8日までの一般チケットはほぼ売り切れで、その先のチケットは11月に売り出されるそうです。
いま売りに出ているものは土曜日と日曜日に僅かですがチケットがあるみたいです。

メンバーになるとまだまだ空きはあるので、どうしても見たければメンバーになるのもいいアイディア。
またメンバーの特典として、有料展示は無料だし、しかも何回も行くことができます。
それにもまして、行列に並ばなくてもいい!!
ナショナルギャラリーの前、右側にも左側にも人が並んでいるでしょう?
ここ最近は毎日こんな感じ。
特に午前中の行列が長いです。

そして1週間ほど前から、セキュリティーが強化されて、処方箋があるお薬と赤ちゃんのミルク以外の液体は持ち込み禁止になりました。
バッグ類のサーチも念入りなので、予定は大目に見ておいた方がいいです。

さて、今回の展示で、特によかったと思う作品をいくつか紹介しますね。

この絵は展示の最後の方にあった作品です。
木の幹の周りの草花の生命力というか、可憐な花がたくさん咲いていて、わ~って気になりました。
木の幹の描写もすごい。

やっぱり作品を間近でいろんな角度から観賞できるのが美術館の醍醐味ですね。
絵の具の立体的なところとか、本当によくわかる。



今回の特別展ではいくつかのお部屋に分けて全部で61点もの作品が並んでいます。
一つのお部屋ではスケッチがズラリ。
普段目にすることがないので、とても見応えがありました。

あるお部屋にはひまわりが2点。
左がナショナルギャラリー所蔵のもの。
右はフィラデルフィア美術館のもの。
実は今年はロンドンのナショナルギャラリーができて200年。
そして、このひまわりが購入されてちょうど100年なんです。
右手のひまわり、バックグラウンドが水色なのはミュンヘンのひまわりと似ています。
実はこの作品、ゴッホが真ん中の絵も含め、この並びで黄色い家の内装を考えていたというものなんです。

テオに宛てた手紙の中に描かれていたスケッチ。
真ん中の絵は子守唄というタイトルで、ロープを持っている(それを時折引っ張って繋がれたゆりかごを揺らすため)女性が描かれています。
彼女自身もロッキングチェアに座っているので「揺れ」がテーマ。
海に出て船で揺られている漁師さんたちが心地よさを感じることができるだろうという表現が、これまたテオに宛てた手紙の中にあります。

特別展の中はこんな感じです。
ゆっくりと自分のペースで鑑賞できる。
立ち止まって5分、10分のんびり見ていても大丈夫。
座ってゆっくり見ることもできます。
実はこの写真はお部屋の中央に置かれたベンチに座って撮ったもの。
ちょっと遠いですけどね。



こちらはゴッホの自画像。

こちらはゴッホ美術館から借りてきた黄色い家の外観。

私、ゴッホの濃い青が好きです。
水色ではなくて、深い青。
この自画像のバックや、上の絵の空の色。


自画像の隣には黄色い家の内装。
ベッドの上にかけられた絵のうちのひとつが隣に飾られている自画像だそうです。


今回の展示で私が一番惹かれた絵がこちら。
ローヌ川の星空。

吸い込まれるような青い夜空に大熊座が輝いています。
ドン・マクリーンという人が歌ったヴィンセントを聞きながら観てほしい。
You Tube をリンクします。
この曲は1970年ごろのもので、ドン・マクリーンがゴッホについての本を読んだ後に作ったもの。
ただ、彼はニューヨーク生まれで育ったのもそこだから、彼のいうゴッホの星空というのはもう一枚のアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)美術館所蔵の方だと思う。
この作品は今回の展示には含まれていません。
こっちの方が有名だけど、私はローヌ川の星空の方が好きだなぁ。

今回の展示ではいくつかの絵の上にゴッホ自身の言葉が紹介されています。
星空の絵の上にかかれているのがこちら。
テオに宛てた手紙の一部。


61点の作品が並んだ中で、いくつかをピックアップして紹介しているわけですが、私が選ぶ基準というのは私の心に刺さった作品ということで、それは訪れた人たちそれぞれが別の感情を持つものです。

例えばこれ、サン・レミの病院。
私が南仏を初めて訪れたのはティムちゃんとの初ホリデー。
カンヌから少し上がったところにあるムージャン(Mougins)という町でした。
3週間ばかり町のホテルに泊まってプールサイドでのんびりしたりテニスをしたり。

リッチモンドからは車で。
まだユーロトンネルが開通前だったし、フランスではフレンチフランが通貨だった。

フランスはパリしか知らなかった私には南仏はとても印象的でした。
プロヴァンスの岩肌の赤い色と生い茂った濃い緑、そして濃い青空。
ロンドンでは見られない強烈な太陽の下、それらの色が道路のカーブを曲がるたびに目に焼き付いたのを今でもよく覚えています。
この作品は、場所こそ違いますが、そんな南仏での思い出を色で蘇らせてくれました。

私がゴッホを考えるときにいつも思うのはオランダで生まれ育った彼にとって、南仏の色の印象がどれほどのものだったかということ。
きっと私が感じた何倍も強烈だったんじゃないかな。


ナショナルギャラリーのヴァン・ゴッホ展は1月19日まで。
とってもお薦め。
是非お出かけください。
ナショナルギャラリーの特別展示、ヴァンゴッホ、詩人と恋人たち(リンクします)







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