イギリスにロンドン市はふたつあります。
ひとつは金融街とか旧市街地とよばれている、ローマ人が作った町。
2000年の歴史があります。
大きさは約3平方㎞で人口は8500人ほど。
もうひとつはグレーターロンドンとよばれる場所で、外国人も含め、一般の人たちが考えるロンドン市。
こちらは約1570平方㎞のサイズで約900万人の人口があります。
今日紹介するのは大きな方のロンドン市の市庁舎です。
この、片側が丸いシルエットの建物がそうです。
グレーターロンドンの政治は、地方政府という考えが生まれた時代からLCC(London County Council)という組織が担っていました。
その組織が1963年にGLC(グレーターロンドンカウンシル)となって範囲も権力も大きくなっていきます。
その当時の市庁舎がこちら。
さて、ロンドンは元々労働党のサポーターが多いので、ロンドンの政治は労働党。80年代には当時の政府であるサッチャー時代の保守党と争う場面も多かったそうです。
サッチャー政権では Small State(小さな政府)が公言に掲げられていたので、大きな組織であったGLCも縮小の対象になります。
そして1986年に GLC は解体されることになってしまいます。
そして1986年に GLC は解体されることになってしまいます。
で、その後ロンドンの政治がどうなったかというと、グレーターロンドンの中を33の地方自治体に分割して行うようになったのです。
33の地方自治体のうち、31はバラー(区)とよばれるもので、残りの2つはシティー(市)です。
シティーはウエストミンスターとロンドン。
ロンドン市(上で説明した小さい方)は歴史上の既得権力があるので、通常グレーターロンドンの中は32の区と1つの特別市があるといった表現がされます。
書きながら思っていますけれど、めちゃめちゃややこしいですね!!(笑)
私はロンドンのガイドになる時にこういった歴史も勉強しているので、無理なく頭に入ってきますけれど、ロンドンに住んでいる人たちでもこの辺のことがわかっていない人たちが多いです。
そしてこんなお話をパワーポイントを駆使して説明してくれているこの人はリチャードさん。
2,駐車(路上駐車や駐車場)。
3,学校。4,地方税の取り立て。
5,レジャー。
6,社会保障と公衆衛生。
他にも建築許可とか図書館の管理などもあります。
参考までに私が住んでいるリッチモンド区のウェブサイト(リンクします)を載せておきます。
興味があれば、地方自治体にどんなサービスがあるのか、このサイトで調べることができると思います。
大きなロンドン市ではどんなことをやっているのか。
まずは予算の決定。
ロンドンをより良い市にするために、どの分野にどれだけの予算を割り振るのか。
そのための予算はどこから来るのか。
主な収入は政府からの補助金、地方税の一部、法人税、ロンドン交通局の運賃です。
今年度の予算は収入と資産合わせて約220億ポンドです。
使い道は多岐にわたりますが、公安、消防、ロンドン交通局といった生活に必要な部門に割かれる金額を考えると十分なのかそうでないのか微妙な数字。
因みに予算などの数字に興味がある人は、公式ウェブサイトで公表されている「ロンドン市の予算」をどうぞ(リンクします)
ロンドン市庁舎には3つの部門があります。
ロンドン市長に助言するための機関ですべての会議は一般市民が傍聴(会議室の傍聴席もしくはウェブキャスト)することが可能です。
また、過去の会議の検索も可能。
市長と市長補佐のチーム。
3,市庁舎のスタッフ(約150人)。
今回案内を務めてくれたリチャードさんもスタッフの一人で、何とロンドンの初市長ケン・リヴィングストン市長の時からお勤めされているそうです。
こちらが現在の市庁舎の建物。
その当時はクリスタルとよばれていました。
今でもグーグルの地図でクリスタルと検索すると市庁舎が出てきます。
タワーブリッジ脇の市庁舎のリースが2022年に切れた後、再リースの金額が以前の倍のお値段だったことから、もっと安いこちらに引っ越してきました。
ただ、場所が東過ぎること引っ越しの認知度が低いことで、いまだにタワーブリッジ脇にあると思っている人たちも多いそうです。
市庁舎はエアポートスタイルのセキュリティーシステムで荷物検査などもありますが、中は一般に公開されています。
セキュリティーを抜けたところにはロンドンオリンピックの聖火トーチやメダルが飾られている。
カフェも8時半から5時半まで開いています。そして会議を傍聴するところがこちら。
間に透明な衝立はありますが、傍聴席と会議室はひとつの部屋です。
「天井から下がっている円形にならんだ明かりはロンドンの33の地方自治体を表している」とかかなぁと思って数えてみたんですが、全く無意味な数字でした(笑)
45くらいまで数えたんだけど、どこから始めたのかわからなくなって途中で諦めたから、いくつあるのかはわかりません。
アセンブリーのミーティング以外にも、このお部屋は市長のへの質問という公開イベントに利用されます。
他にも意外な機能のひとつが市庁舎はロンドンの撮影(映画やコマーシャルなど)の許可機関があること。
ロンドンのイメージ向上のための広報の役割もしているそうです。
例えばあまり知られていないロンドンの逸話を紹介したり。
と言って教えてくれたトリビアがこちら。
シルクハットってロンドンで始まったんですって。
ジョン・へザリントンというお洋服屋さんが考案して1797年1月15日に被って変な恰好をしていると50ポンドの罰金刑になったそうです。
こんなのを集めてクイズを作ったら売れると思うんだけどなぁ(笑)
ロンドンのトラファルガー広場の管理もロンドン市庁舎の管轄。
トラファルガー広場の4隅にのうち、3つには銅像が建てられています。
3つとも伝統的で恒久展示。
北西の台は Fourth Plinth(4つ目の台)とよばれてコンテンポラリーなアートが短期で飾られます。
1999年から始まった制度で、今までいろんなアートが飾られてきました。
私が一番面白いと思ったものはアンソニー・ゴムリーが企画した「One &Other」というもの。2009年の夏に数カ月間、一般募集で集まった人たちが台の上で1時間何をしてもいいという企画。
着ぐるみの人とか,今のロンドンって感じで面白かったなぁ。
それでは機会があったら是非ロンドン市庁舎に行ってみてください。
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