2024年6月9日日曜日

オーバーツーリズム問題

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このブログを読んでいる人はイギリスの観光に興味がある人かもしれません。

ブログのタイトルの「パブの肴」というのは、パブでおしゃべりするカンジの軽めの話題(レストランやイベントなど外出のおすすめや、ニュースを含むイギリスの日常生活)ということ。
重い話題を避けているわけじゃないんですが、議論になりそうな重い話題は、正直それだけの知識やコミットメントが自分にはないと思っています。
大事なことも多いので、それじゃあダメだとは思っているんですけどね。
最近はどの業界も気候を含め環境に関して難しい問題が山積み、観光業も同じです。
そんな苦手な分野をちょっとお勉強してみようと思って、この間 CPD のとあるクラス「持続可能な観光業」をうけてみました。

CPD というのは、専門職のライセンスを取った後、継続して行う自分磨きのための勉強です。
ふつう、その専門分野に関する機関がオーガナイズしています。
イギリスの観光ガイドはライセンス制で、こういったCPDはギルドかAPTGの担当。

今回のクラスはAPTG(リンクします)の主催でした。
午前中が教室内のレクチャー、お昼ご飯をはさんで実際にそういった取り組みを行っている場所の視察。

なかなか興味深かったです。

レクチャーではオーバーツーリズム(観光公害)に触れた部分もありました。

今、日本でも観光客と地元のトラブルが話題になることがあるようです。

例えば、路線バスに大きなスーツケースを持った観光客がたくさん乗り込んでいて市民の足としての役割が果たせないとか、神社やお寺が観光地化して神聖な場所として認識されていないとか。

そんな中、数日前の英国紙タイムスにある記事が掲載されました。
要約すると日本に住んでいる英国人のジョシュア・シャーロックさんと妻のまゆみさんがある事件をきっかけに外出もままならない状況に置かれているということです。
全て訳すと長くなりすぎるので、興味のある人はリンクから読んでください。
5月23日に京都の八坂神社で4人の年配の観光客を連れたシャーロック氏が地元の女性と口論になり、その一部が録画されソーシャルメディアで拡散されました。
そのビデオが炎上し、100万回以上閲覧され、シャーロックさんとまゆみさんの名前や住所までが拡散されて職場や自宅にまで押しかける人もいるという事態になっているそう。
記事の結びには、この些細なきっかけが二人の生活に大きな影響を与えたことで、日本には暗い裏の面があることを思い知らされた。素晴らしい人や優しい人がいるのは確かだが、極端な過激派も存在すると締めくくっています。
写真は八坂神社。
公式サイトから(リンクします)


持続可能なツーリズムの授業では、ヨルダンのペトラ遺跡の例を挙げて、オーバーツーリズムの害やその対応策、実例をいろいろ勉強しました。
地元の人たちとの軋轢は害の中でも大きなもので、京都にも重なる部分がいくつか見受けられました。
文化が違う場所からの観光客を、受け入れる側でできることはいくつかあります。
そのひとつは観光ガイドや広報による啓蒙。
今回はシャーロックさんがガイドとして行うべきだったことを果たさなかったことを注意した女性との会話が発端で、その際の誠意のなさが溝をさらに広げてしまったように(私には)見えるのですが、私は関係者には会ったこともありませんし、問題のビデオすら見ていません。
ただ、シャーロックさんと口論になった女性(記事中では緑の着物が美しい30代の女性と紹介されています)のツイートは見かけました。
たくさんの人たちがコメントをつけていて、シャーロックさんが運営している旅行会社が登録されていないとか、だから税金を払っていないだろうとか、神社での振る舞いや口論になった女性との失礼なやり取りからは少し話が広がってしまっているコメントもありました。

ロンドンでは7つにひとつの職業が直接、もしくは間接的に観光業にかかわっているといわれています。
外国人によるロンドンでの支出は141億ポンド。
京都ではどれくらいなのでしょうか?

たくさんの国で、観光業が占める経済的なシェアが大きくなっていて、その利益のために観光地の弊害に目を背けてしまう場合もあるようです。
でも地元の人たちの文化が脅かされるといったことを危惧する人たちがいることは無視できないと思います。
今回はそんなフラストレーションを抱えた人たちの行き場のなさがSNSの炎上で独り歩きしてしまったのではないでしょうか?

オーバーツーリズムの解決策は色々あると思います。
例えば市バスを複数種走らせて、市民パスを持った地元の人しか乗れないものを用意するとか、神社やお寺の入場を、信者とそれ以外に分けて、観光なら資格を持ったガイド以外はガイディングできないようにするとか、市民と観光客の利害が交差しないようなアイディアを出し合うのもいいかもしれません。
観光税もすでに世界のあちこちで実施している都市があるようです。

京都を含め、世界の観光地のオーバーツーリズム問題、難しいですね。














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