2026年9月23日水曜日

裸のナポレオン!

ナポレオンは、パリに世界一の美術館を作るために、ヨーロッパのみならずその近隣からもたくさんの美術品を計画的に掠奪しました。

中でも被害が激しかったのが半島戦争があったスペイン。
半島戦争というのは、かなり簡単に言えば、1808年にナポレオンがスペインの王位を奪って、兄のジョゼフ・ボナパルト(ホセ1世)をスペイン王に据えたことで戦争になったもの。
その前年、ナポレオンの指示に逆らったポルトガルの制圧を口実にしましたから、対するのはスペイン、ポルトガル、そしてナポレオンを抑えたいイギリスとの連合軍が相手です。
連合正規軍だけではなく、民衆のゲリラ戦がスペイン全土に広がって、結局1814年のヴィットリアの戦いで連合軍が勝利を収めました。

スペインでは、ロイヤルコレクションを含む各地の貴族の収集品がアンダルシアでの美術館設立を口実に接収されていました。
その数は2,500点〜3,000点以上、また金銀財宝に関しては数千キロ〜数トン規模におよぶ教会や王室の銀製品・宝飾品が奪われたと言われています。
ヴィトリアの戦いでナポレオン軍が撤収する際、これらの美術品はジョセフ・ボナパルト率いるナポレオン軍と共に引揚げられたものもあれば、各将校や兵士たちが私物として奪ったものもあります。
それらの一部はパリに運ばれる途中でウエリントン公爵(当時はまだアーサー・ウィズリー将軍)率いるイギリス軍が保護しました。

ウエリントン将軍は、保護した約300点のベラスケスなどを含む絵画を、復位したスペインの王様フェルナンド7世へ引き渡しを申し出ました。
でもスペインの王様はスペイン解放のお礼としてそれらの絵画をウエリントン公爵にそっくりそのままプレゼントしました。
それらの絵画類が今どこにあるかといえば、ウエリントン公爵邸、ロンドンのアプスレーハウスです。



さて、ずいぶん話がそれてしまいましたが、今日の話題は裸のナポレオン。
この像があるのもアプスレーハウス。

こちら!
元はナポレオン自身が有名な彫刻家カノーヴァに注文した作品なのです。
なぜナポレオンが裸かというのは、自分のことを軍神マルスに例えているからです。
注文から完成までずいぶん時間がかかった像なので、ナポレオンは気が変わったのか、ルーブルに運び込みはしたものの公開はされませんでした。
アスリートみたいで好きじゃないという感想だったらしいです。
ナポレオン失脚の後、王様になったルイ18世がルーブルの倉庫にあったものを見つけて、どうしようかという話になり、イギリスの王様ジョージ4世に売ることにしました。
ルイ18世はフランス革命のなかイギリスにも亡命していたので、その時に知り合ったジョージ4世が好きそうだと思ったんでしょうね(笑)
ジョージ4世はこの像を買い取った後、ウエリントン公爵に贈っています。

左腕の先まで入れると3.6m、重さも数トンという巨大な像なので中央階段の吹き抜け部分に置かれています。
というか、ここしか置く場所がなかったと言った方が正しい。

右手に持っているのは勝利の女神ニケ。

世界中から芸術作品を略奪した彼の、しかも裸の像が、彼を最終的に(政治上)葬ったウエリントン公爵のおうちにあるなんて皮肉ですね。

もうひとつ、ナポレオンが注文したのに日の目を見なかったものがあるんですよ。

それはジョセフィーヌのため(離婚のプレゼント😅)に作らせたディナーセット。
その当時は流行の最先端、エジプト様式なんですが、ジョセフィーヌが要らないと言ったので、こちらもお蔵入りになりました。
そしてそれらも同じ場所、ウエリントン公爵のおうちであるアプスレーハウスに飾られています。
このディナーセットはフランスのルイ18世からウエリントン公爵へのプレゼントだそうです。
見たい?

こちらはルイ18世からのお手紙。
ナポレオンを倒してブルボン王朝を復活させてくれたお礼ですって。

そしてこちらがお皿の一部。
セーブルの特注品です。
今の価格にしたら2000万円から3000万円くらいだったそうです(驚)
好みでなくても貰っておけばいいのに。
そう思いました?

私、ディナーセットって言いましたよね?
お皿が数枚とかじゃないんです。←全部で72枚😯

それだけじゃなく、テーブルの上に飾る大きなセンターピースも含まれるんです。
エジプトの神殿の模型!!
長さが7m近くあります。
要りませんよね。←こういうのが好みの人、ごめんなさい。
でも、ジョセフィーヌ、あなたの判断は正解(笑)
貰ったウエリントン公爵も使ったことがなかったそうです(爆)
それだけじゃない。
実は後年V&Aがウエリントン公爵家からこのディナーセットを購入しました。
でもお皿1枚だけ受け取って、残りは(要らないって言ったわけじゃないですが)アプスレイハウスに残したのも笑っちゃいます。
これ以外にも面白いものがたくさんあるアプスレーハウス(リンクします)
イングリッシュヘリテージの管理です。
入場料はかかるけれど、結構見応えがあるので是非どうぞ。

最寄り駅は地下鉄ハイドパークコーナーです。




イギリスの観光ガイドはライセンス制です。ご予約の際は英国政府公認ブルーバッジガイドを雇用しましょう。(リンクします)





  ブログのランキングに登録しています。 よかったらクリックして応援してください。
イギリスランキング コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

0 件のコメント: