2025年8月27日水曜日

探偵みきちゃん

私が好きなお仕事というのは;

1、新しい発見があるお仕事
2、美味しいご飯が食べられるお仕事
3、少人数で好奇心があるお客様
4、リピーターのお客様って感じかな。
下調べとか探偵業務(笑)も大好き。


そんな都合のいいお仕事なんてあるの?
そう思われるかもしれませんが、ご心配なく。
結構あるんですよね~。

ブログをご覧になられてコンタクトされる場合もありますから、ことあるごとに自分がどんなガイドかここにも書いておくと誤解が少なくていいと思っています(笑)


この間探偵っぽいことをしたのはカールマルクスに興味があるという方をご案内した時。

私もマルクスや彼がイギリスに住んだ時代(ヴィクトリア時代)にはとても興味があるのでうってつけ。
いつもご案内する場所だけではなく、一歩、踏み込んだ場所をご希望ということで楽しみ。

事前に興味のある場所を旅行社を通して知らせてもらっていました。
ほとんどの場所は記念のプレートが建物についていたりするのですが、いくつかは住所のみで何の印もないところがあります。

イギリスでは住所さえわかれば初めての場所でも比較的簡単に訪れることができます。
番地が順に並んでいるので、通りの名前とその番地が必要。
今はグーグルマップとかもありますしね。

事前にルートなども考えておいたから、うまく動けたので時間に余裕ができました。
なので、予定外にどこか行きたいところがあるのかを聞いてみた。
そうしたら、実はもう一か所行きたい場所があるらしい。
「カンバーウェルという町にあるデンマークロード」
本当はデンマークストリートかもしれないけれど、見つからないからロードとストリートが間違って記載されたのかも、ということらしい。
カンバーウェルはロンドンの南側、郊外ですがグレーターロンドンの内側です。

通りを見ることができれば満足ということで、とりあえずはそこ(デンマークロード)にご案内しました。
新しい建物ばかりでヴィクトリア時代の面影はゼロ。
その時はこの通り、デンマークロードの写真を撮ってそれで終わり。
でも気になったのでおうちに帰ってからいろいろと調べてみました。
1855年、ソーホーの自宅で息子を亡くしたマルクスが、とてもそこにはいられないと友人宅に一時期身を寄せたそうです。
名前を聞いたらカタカナでイマントという人。
カタカナで書かれたものはスペル(正確な名前)を探すのに苦労します。
その人が有名なら記念のプレートがあったり、どこかに記録があるかもしれない。
少し調べたら Peter Imandt だとわかりましたがロンドンに住んだ記録はすぐにはわかりませんでした。

ということで次はその住所をどこから探すか。
マルクスが書いた手紙がまとめられてネットでも見ることができるので、まずはそこ。
書簡集から息子が亡くなった年の手紙を調べてみました。
そうしたら見つかったのがこちら。

友人のエンゲルスにあてた手紙です。
カンバーウェルのデンマークストリート、ヨークプレース3番地。
デンマークヒルじゃないよ、だとすればそれはカンバーウェルそのものになっちゃうからねと書かれています。

そこまで書くならデンマークロードとデンマークストリートを書き間違えたわけはない。
だからデンマークストリートは1855年には存在していたはず。
そこで1800年代半ばの地図を探してみました。
そうしたら、ちゃんと地図に記載がありました。
赤丸で囲んだところがデンマークストリート。
デンマークロードと並行して一本西側の通りです。
ということは通りの名前が変更になっている、そんな記録がどこかにあるはず。
なので担当区の住所変更記録を調べるとヨークプレースも出てきました。
どうやらデンマークストリートの一部分がヨークプレースとよばれていたようです。

これでヨークプレースも断定されました。
通りのどの辺かもちゃんとわかります。
その後この通りはキンブリーストリートと改名されて、その当時のおうちはすべて建て替えられたようです。

赤い矢印は昔パブがあったところ。
PH と古い地図に出てくるのは Public House の略です。
ということで、古い番地からその向かい青い矢印の場所がヨークプレースに該当する場所だとわかりました。

残念ながら当時の建物はない。
今建っているのはマルクスが滞在した時よりも少し後に建てられたもの。
現在は窓が3つ並んだ幅の5軒の立派なおうちが並んでいますがマルクスが滞在した時には15軒くらいのおうちが同じ場所にひしめいていました。
なので一軒一軒はもっと小さなおうち(多分窓はひとつだけ)だったはず。
イギリスの良いところはこんな風に探偵ごっこができるところかな。
調べればいろんなことがわかります。
そして、調べることが難しくないというのもポイント。
とりあえず調べて分かったことを資料にまとめて差し上げたので、それをもとに自分たちでもう一度写真を撮りに行ったそうです。

もうパブもないし、通りの名前も変わってしまったけれど、ここに建っていたという場所がわかるのは感慨深い。


イギリスの観光ガイドはライセンス制です。ご予約の際は英国政府公認ブルーバッジガイドを雇用しましょう。(リンクします)





  ブログのランキングに登録しています。 よかったらクリックして応援してください。
イギリスランキング コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

0 件のコメント: