2019年1月13日日曜日

RAF の博物館に行ってきた

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イギリスの観光ガイドはライセンス制です。
あまり知られていないようで、トラベロコとか含め「住んでいるからガイド」みたいな広告をよく見かけます。
ガイドになるにはコースも試験もあるので、やりたい人はちゃんと資格を取るべきだと思うんですけどね。

ただ、だからと言ってガイドが万能かといえばそうではありません。

やっぱり普通の人間なので、好きなこと得意なこともあれば、逆に得意じゃない分野というのも存在します。

私の場合は飛行機とか車などのメカものが苦手。

ということで、北ロンドンに存在するRAF博物館は、その存在は知っていましたが、足を運んだことすらありませんでした。

ところが私が所属している JRTGA でこの博物館での勉強会が企画されたんです。
JRTGA は英国の日本語ライセンスガイドの協会で、勉強会やチャリティー活動を行っている団体(リンクします)です。
JRTGA に登録しているガイドなら、安心して雇って大丈夫。
ガイドのライセンスを持っているだけではなく、ギルドやAPTG にも所属して、第3者保険にも加入しています。
加えて任意の勉強会に参加したりする、勉強熱心なメンバーの会なのです。

「飛行機なんて、興味ないし」
フリーランスなので、そういった関係のお仕事の依頼が来たら請けなきゃいいだけ。
そんなスタンスの私ですが、やっぱり知識は多いに越したことはないので、参加してみることにしました。

これが正解。

すごくおもしろかったです。

博物館はイギリスの空軍基地の跡地を利用して作られました。
そして、建物は実際にハンガーだったもの。


新しい分野を勉強するとき、私は比較分類する方法が好きです。
そうすると、新しい名前とか年代とかの、細かな記憶に頼ることなく、簡単に理解ができる。
飛行機のモデルナンバーとか、一つ一つ覚えるのはすごく大変。

例えばエンジン。
大きく分けて二つのタイプ。
冷却方法に空気を使うか、液体を使うか。
空気を使うと表面積を大きくしないといけない。
液体を使うと、液体の分だけ重くなるけどサイズはコンパクト。
飛行機の場合は空気抵抗を考えないといけないので、表面積が大きいのはネックになります。
でも空気を当てるだけのエンジンは液体を組み込まなくてもいいので整備が楽。
そこでどんな飛行機にしたいかということで使い分けされたそうです。

例えばゼロ戦を想像してください。
…思いつかないです。
なので写真を…。
プロペラのすぐ右手の部分が太っちょさんです。
これはそこに空冷式のエンジンが入っているから。
これがゼロ戦のエンジンで、所沢航空発祥記念館に展示されているそうです。
RAF 博物館にも空冷式エンジンの展示。
1920年にブリストル航空会社によって開発されたジュピターというエンジンで、何と17ヶ国でライセンス生産されて、260種以上の飛行機に搭載されました
日本では中島飛行機が開発・製造した寿というエンジンはジュピターのライセンス製造からヒントを得ていたと言われています。
名前の寿(コトブキ)も、ジュピターのジュからきているとか…。
9気筒が放射線状に並んでいる特徴が同じですが、違いもあちこちにみられるそうです。
因みにゼロ戦のエンジンは栄という名前で、同じく中島飛行機が開発・製造。
こちらは14気筒でアメリカのプラット・アンド・ホイットニー社のワスプが参考にされたようです。

さて、プロペラ戦闘機といえば、第2次世界大戦の「バトルオブブリテン」が有名です。
この戦いで活躍した戦闘機はスピットファイヤーとハリケーン。
そんな戦闘機がずらっと並んでいるのがハンガー3,4,5の建物。
ハンガー1から移動します。
博物館の規模がこれでわかるかな?
何しろ大きい。

こちらがスピットファイヤー。
 そしてこちらがハリケーン。
こちらがロールスロイス社のマーリン。
液冷式エンジンです。
上部が広く下部が狭くなっているので、横から見ると V の字に見えることからV型エンジンといいます。


スピットファイヤーもハリケーンも、ともにロールスロイス社のマーリンを搭載しましたが、機体のデザイナーが違います。

スピットファイヤーのデザイナーはミッチェル。
42歳で直腸がんで亡くなるまで、エンジンの開発に力を尽くしました。
スピットファイヤーの機体のほとんどが金属製なのに対して、ハリケーンの方は機体の半分が木材やキャンバスに塗装を施して製造されました。
伝統的で慣れ親しんだ素材なので整備も楽、また生産ラインにも問題がないことが有利です。
両方ともゼロ戦と違ってプロペラのついている部分がスマートなのに気が付きました?
それはエンジンが液冷式だから。

ハリケーンのデザインはシドニー・カム。
ハリケーンの後、タイフーンやテンペストなどのデザインも手掛けます。


さて、こちらが敵国ドイツのメッサーシュミット。
スピットファイヤーやハリケーンほどではないにしろ、ゼロ戦とはエンジンが違うのが一目でわかります。
やはりこちらも液冷式 、ダイムラーベンツDB601のエンジンを積んでいて、急降下したりするときにエンジンの働きがスムーズに対応できることが特性です。

こんな風に飛行機のことを詳しく知るなら最適な場所。

見るだけじゃなくて、体験コーナーも充実しています。
実際にスピットファイヤーのコックピットに座ったり(10ポンド)カプセルに入って飛行体験(5ポンド)のコーナーも人気です。
博物館自体は無料で、広い敷地内には有料の駐車場もあります。
飛行機オタクがにやにやしながら廻るのも、家族連れで楽しむのもアリ。

ぜひ一度足を運んでみるといいと思います。
最寄り駅は地下鉄のコリンデール駅(ノーザンライン)
近くにはオリエンタルショップもあるので買い物にも便利です。

RAF 博物館(リンクします)








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