2011年9月7日水曜日

ロンドンオリンピック

今日はロンドンオリンピックの工事現場を見に行ってきました。
ロンドンで行われるオリンピックは、来年で3回目です。

一度目は1908年。
本当はローマが開催予定地だったのですが、少し前にナポリで火山が爆発したので急遽キャンセル。
短期間で準備ができる都市、ということでロンドンに決まったそうです。
このオリンピックはマラソン選手にとってはとても大切な年です。
なぜかというと、現在のマラソンの距離が42.195kmなのは、ロンドンオリンピックが原因なのです。

それまで(そしてその後の数回は)マラソンの距離は大体40キロ程度ということで、キチンと決められた数字ではありませんでした。
この「大体40km」という数字は、アテネとマラソンの間のおおよその距離がもとになっています。
1908年のロンドンオリンピックでは、この距離にふさわしい場所として、ウインザー城とホワイトシティー(スタジアム)の間を走ることになりました。
この距離が26マイル(約42km弱)です。
ところがスタジアムの入り口で終わりより、中に入ってロイヤルボックスの前で終わるほうがいいだろうと約200メートルの距離が更に付け足されたわけ。

選手はたまったものじゃないでしょうね。
実際、この時のマラソンで、一番前を走っていたドランドピエトリというイタリア人の選手は、ゴール直前にふらふらになり、思わず手を差し伸べた係員がいたために、失格になってしまいました。
これを観ていたアレクアンドラ女王は、金メダルの代わりに、自分のコレクションから壷をひとつ贈ったそうです。

次のオリンピックは1948年。
その4年前に本来は開催予定だったのが、第2次世界大戦のために中止になってしまったのです。
この時は、ロンドン北西のウェンブリーがスタジアムになりました。
現在でもウェンブリー競技場があります。
戦後すぐだったこともあって、選手村なども作らずに「お金をかけないオリンピック」に終始したそうです。
まだ配給制度が残っていた時代で、選手の食事には特別な配給が手配されたんですって。

2012年のオリンピックは、着々と準備が進んでいます。
それでは今日撮った写真を何枚か載せておきます。

今日は地下鉄「Bromley-By-Bow‎」からウォークをスタートしました。
駅から北東に歩くとすぐ「Three Mills」という、テムズの支流リー川の中州があります。
その名のとおり、ここには昔3つの粉挽き場がありました。
その一つ、クロックミル。何でもテムズに捨てていた「ロンドンの下水問題」を解決するために、テムズ川に沿った専門の下水溝が整えられたのはヴィクトリア時代のこと。

その時に下水溝の水をスムーズに流すために、ポンプが川沿いに作られました。
写真の中央左手のレンガの塔がそうです。
現在のシステムは、右手側の銀色の工場風の建物。リー川に沿って歩くと、部分的にせき止められているところもあります。
ナローボートがたくさん停泊していました。川があるということは、物を運ぶのに便利だということ。
このあたりは、昔工場が多かった地域です。
水銀や鉛、たくさんの有害物質が長年土壌にしみこんでいきました。
この地域全体を再開発しようという考えも、オリンピックのおかげで実現できることになりました。
今回のオリンピックには、こういった工場を解体した素材も再利用されています。

オリンピックの玄関口になるのは、ストラットフォード駅。
シェイクスピアのストラットフォードとは、全く別物です。
「ストラットフォード」は、アングロサクソンの言葉で、道「ストリート」と船着場「フォード」が組み合わされたもの。
だから、他にもたくさんあります。
これは、オービットと呼ばれる飾り。
デザインに関しては、賛否両論。
私はあんまり好きではありません。出来上がっている建物もありますが、まだまだエリアは工事中。
遠くにロンドンの金融街、シティーが見えます。こちら側にはドックランド。スタジアムにはもちろんは入れませんが、ビューポイントが設けられていて、たくさんの人が見に来ています。
脇にはティールームもあるし、オリンピックグッズも売られていました。外で見るのがイヤな人は、ドックランドレイルのストラットフォード駅とプディングミルレーン駅の間(つまり列車の窓から)で、結構きれいに見えました。

オリンピックの時期(来年の7月後半から8月の半ばまで)そろそろ仕事の問い合わせが入ってきています。
ティムちゃんと、ロンドンにいようか国外に脱出しようか相談中。

2 件のコメント:

rottenmeier さんのコメント...

ロンドンも着々と準備が進んでいるようですね。地元でオリンピック、楽しみじゃないですか。でも、人が多くなって大変かな?それにしても工場地帯だったからか、開発途中だからなのか、結構殺伐としてますねえ。出来上がったらどんな感じかしら。早く見てみたい。

miki bartley さんのコメント...

ロッテンマイヤーさん、こんにちは。
私、実はオリンピックには全く興味がないんです。
スポーツ全般に興味がもてないのも理由のひとつですが、このオリンピックのために、工事だとか、税金だとか、本当に生活に影響があるのがマイナス要因のひとつかも。
正直なところ、ロンドンが選ばれた時に「パリだったらどんなに良かっただろう」と思ったひとりです。
でもこのエリアは、オリンピックのおかげで随分変わるでしょうね。