そして、わかりやすいように孤児と書きましたが、実際は棄児(つまり親がいないわけではない)捨て子という言い方もありますが、ちょっと響きが残酷。
この孤児院は1739年にトーマス・コーラムによって設立されました。
コーラムさんは海軍のキャプテンです。
なのでこの博物館の前には彼の銅像が置かれています。
ロンドンにある銅像のいくつかは音声を聞くことができるようになっているものがあって、これもそのひとつ。
そのためのQRコードやリンクが像に付けられています。効くことができる銅像は他にもいろいろあるのでマップもどうぞ。
イギリスの孤児院がどんな理由で設立されたのか、どんな風に経営が成り立っていたのかを詳しく観ることができるので、18世紀のイギリス社会を勉強している人たちにとっても興味深い場所です。
ここで受け入れることのできる子どもたちの数は限られていたので、1768 年までは抽選で受け入れが決められていたそうです。
母親が袋からボールを引く抽選方式。
白いボールが出れば入所、オレンジ色のボールが出れば入所待機、黒いボールが出れば失格でした。
後に孤児院の入所は請願制度に変わったので、状況によって入所が検討されることになります。
結局は政府が児童の家庭養育を重視する法律を可決した後、この孤児院は1954年で閉鎖されて、現在、英国最古の児童慈善団体であるCoram(リンクします)に姿を変えました。
昔、子供を連れてきた(主に)母親は、将来こどもを引取りに来ることが前提でした。
子供たちは入所すると母親の保護のために名前を変えられてしまっていたので、親との絆として「トークン」とよばれるしるしを託すことが多かったそうです。
この博物館にはそういったトークンがたくさん展示されています。
使われることがなかったためにここに残っているってことで、見ていると悲しくなります。
ドラマに出てくるようなペンダントとかももちろんありますが、経済的な理由で連れてこられた子供の親が提供できるものは下着の切れ端や紙切れである場合も多かったそうです。
さて、コーラムさんはもちろん素晴らしい慈善家です。
でもこういったチャリティーは立ち上げることと同じかそれ以上に、持続させることの方が難しかったりします。
ここで登場するのが画家のホガース。
このブログでも彼のアートを紹介したことがあります。
ホガースはこの孤児院の中にギャラリーを設けました。
そこへ足を運ぶのが上流階級のファッションになって、チャリティーに賛同した彼らからたくさんのお金が集まります。
絵を展示するアーティストはパトロンを見つけるチャンス、かわいそうな子供たちのためにという建前ですが、実益を伴うことで孤児院は存続することができたのです。
音楽家のフレドリック・ヘンデルも孤児院にアートを提供したひとり。
彼の有名なメサイア(ハレルヤの合唱が有名な曲)がそうです。
孤児院のチャペル設立基金のためにメサイアのコンサートを行い、それが評判になって彼は孤児院の評議会メンバーに選ばれました。
その後も亡くなるまで毎年メサイアコンサートを開くようになり、その流れで孤児院では子供たちに合唱のクラスを設けて音楽の才能を伸ばすようになっていきます。
そういったかかわりから博物館の中には最上階にヘンデルのコーナーがあります。
ヘンデルの胸像はルービリヤック作。
このお部屋にはバロックの時代年表みないな趣向のテーブルがあります。
テーブルの引き出しの中にはヘンデルの懐中時計なども展示されていました。
大英博物館所蔵のものでこちらの博物館に貸し出されているそうです。
他にもヘンデルの遺書も展示されています。
貴重なものなので保護のために覆いがかけられていますから、見学する人は覆いをまくり上げて観るというスタイル。
他にもアートのお部屋がいくつもあります。
ということで帽子だけ被ってみましたが、サイズが小さくて全然ダメでした(笑)
何だか出来損ないのコックさんみたい!!ぜひ訪れてみてください。
Foundling Hospital 博物館(リンクします)
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