ロンドンには「高級住宅地」といわれるエリアがいくつかあります。
郊外の、お庭がある戸建ての並ぶエリアもありますが、中心地では戸建ては難しい。
そして、お庭はもっと難しい。
バッキンガム宮殿の西側の地域は「ベルグレイヴィア」という地域で、大使館や高級ホテルが多いエリアです。
そこにあるのがイートンスクウェア。
この地図の中央、斜めに細長い緑の帯が6つ見える場所。
お庭の側から見たおうちはこんな感じ。
お庭には鍵がかかっていて、鍵を持っている人だけが利用できる。
それがキーガーデンというわけです。
入り口には看板が出ていて、お庭のルールが記されています。
こちらは近くにあるチェスタースクウェア(イートンスクウェアの右下の2本のお庭)のもの。
ルールのひとつ目が「利用は鍵の保持者に限る」です。映画「ノッティンヒル」でヒューグラントとジュリアロバーツが柵を乗り越えて公園に入るシーンがありましたよね。
(夜だから閉まってる)公園に入ったと思ってる人が多いんですが、あれはキーガーデンだから閉まっているんです。
さて、そんな公園になんで入ることになったのか、というのが今日のお話。
先週から何日間かにわたってヴィヴィアン・リーのファンのお客様をご案内する機会がありました。
ファンクラブ、とかじゃなくて個人のお客様です。
ヴィヴィアン・リーは「風と共に去りぬ」が有名なので、アメリカ人のイメージがあるかもしれません。
が、生まれはインド、イギリスで活躍した俳優で、人生の大半をロンドンで過ごしました。
彼女が住んだおうちがいくつかあって、イートンスクウェアはそのひとつ。
なので、建物には記念碑が入っています。
お玄関の横、工事の足場が組まれているのでちょっとわかりにくいでしょう?
大きくしたらこちら。
この建物の中に、ドアの横の呼び鈴の数だけフラット(アパートメント)が入っています。
この建物の中に、ドアの横の呼び鈴の数だけフラット(アパートメント)が入っています。
ヴィヴィアン・リーはここで肺炎で亡くなりました。
このフラット(2ベッドの物件)が2014年に売りに出されたときの値段が約60万ポンド。
1ポンド170円で計算すると1億円ちょっと。
あら、ロンドンは不動産が高いって聞いたけど、大したことないわね。
そう思いました?
このお値段は20年のリースのお値段なんです(笑)
そして、10年近く前のお話。
この建物の前でうろうろしていたら、がっしりした体系の男の人が「何か御用ですか?」と声をかけてきました。
お客様をご案内する前に歩いた下見の時にも見かけた人なので、多分ここのドアマンかな。
なので、少し情報が聞けるかと思って話をすることにしました。
「実はヴィヴィアンの大ファンというお客様をガイド中なの、ここに住んでいたんでしょう?すごいところで働いているのね、うらやましいわ」ってカンジです。
そしたら案の定「そうだよ、僕はいろんなことを知っている」と得意モードに切り替わり。
彼女が住んでいた時は1階部分だけだったけど、今はメゾネットに改造されたから倍くらいのサイズになったんだ、とか。
このキーガーデンは彼女が大好きだったんだ。
よく散歩をしていたんだよ。
有名人でも、この庭は鍵がかかるから誰にも邪魔されずにのんびり過ごせる場所なんだ。
ヴィヴィアンが亡くなったのは1967年だから、この彼がまだ生まれる前だと思うんですが、まるで見てきたような話しぶり(笑)
でもそんなことを指摘すべきじゃありません。
「すごい!何でも知っているのね!今日あなたに出合えた私たちはなんてラッキー!」
そんな風に言うのが正解です。
なぜなら話が弾んでもっと情報が引き出せるから。
「僕は鍵を持ってるからね。中を見てみたい?実は記念碑が入ったベンチがあるんだよ!」
ということで特別に入れてもらったキーガーデン、そしてヴィヴィアンのベンチ。
記念碑をちょっと大きくしてみました。ドアマンの彼に丁寧にお礼を言って、私たちはここを後にしました。
こんなことをブログに書いてドアマンの人に迷惑が掛からないのって心配されるかもしれませんね。
イギリスは寛容な国。
ケースバイケースですが、通りかかった観光客に誰も利用していないのを確認したうえでお庭を見せる程度でお咎めを受けるとは思えません。
ブログの許可もちゃんと聞いてありますからご安心を。
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