今日紹介するのはソーホー地区にあるパブです。
名前は「ジョン・スノウ」
外観はなんてことはない普通のパブ。
ソーホーの Broad Street と Lexington Street の角にあります。
このパブの前には昔風の手押しポンプがあるのですが、ポンプの取っ手がありません。
このポンプは公衆衛生の画期的な医学的なリサーチのひとつであることを記念して2018年7月20日に再設置されました。
実際のポンプではなく、以前あったもののレプリカです。
19世紀の中ごろ、この場所(当時の名前は Broad と Cambridge の角)に水汲みポンプが設置されていました。
1854年のコレラの大被害時にニューカッスルで医師の訓練を受けたヨーク出身のジョン・スノウ医師が行ったリサーチが、のちの疫学の基礎になります。
ジョンスノウはコレラの死者を地図上に書き出して死者が密集する場所のポンプからの水が原因ではないかとの仮説を立てました。
この地図がソーホーのコレラ死者を表した地図。
ブロードストリートは黒い点が密集している中心の通りです。
この観察で、それまでは空気感染だと思われていたコレラが経口感染だと考えたのです。
そこで件のポンプの取っ手を外して水を汲めなくしたところ、この地域のコレラ患者が減っていきました。
その後、水道会社を2社 (Southwark & Vauxhall と Lambeth の2社)を比較して、どちらの水を利用するかでコレラの死亡率が5倍以上違うことも突き止めて、水が原因だと確定したのです。
このパブは1870年にニューカッスル・アポン・タインという名前でオープンしましたが、ジョンスノウの功績をたたえて疫学の基礎100年を記念し、1955年に「ジョン・スノウ」と改名されました。
新しいパブの看板は、当時王立医学会の疫学と予防医学部門の会長であったオースティン・ブラッドフォード・ヒル卿によって除幕されたそうです
イギリスにはいろんなパブがありますが、名前には興味深い史実が関係していることも多いです。
パブに行ったら、飲むだけじゃなくて、名前の由来を調べてみたりするのも楽しいものです。
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