2011年2月27日日曜日

お金になる木


数日前のキューガーデンの勉強会で、面白い木を紹介してもらいました。
「お金になる木」です。
お金「の」なる木じゃないですよ(笑)
お金「に」なる木。
名前は「ミツマタ」です。
繊維質に富んでいるので、紙の材料として有名だそうです。
明治12年からは、日本政府発行の紙幣の材料になりました。

もともとは中国やネパールの原産だそうです。
イギリスにこの木をもたらした人はロバート・フォーチューン(Robert Fortune)という名前で、ヴィクトリア時代に中国や日本へ出かけて、たくさんの植物を持ち帰りました。
彼は東インド会社からの要請で、中国のお茶の木をインドへもたらし、お茶の中国による独占に終止符を打ったことでも有名です。

その時は中国人の農民に扮して、秘密に木を運び出したんですって。
なんだかショーンコネリーの「007は二度死ぬ」のシーンを想像して、とっても愉快。
あの映画を見たときも、こんなのバレバレじゃんと思ったけど、似たようなことを実際にやった人がいたなんて!
なんでも頭を剃って辮髪にして、3年間の中国での生活のおかげでモノにした、中国語(マンダリン)を自由に操ることが出来たそうです。
残念ながら、ミツマタをイギリスにもたらした時には、そんな面白いエピソードは無いようです。
ニンジャに化けて、チャンバラの結果、とか面白そうなんだけどなぁ・・・。

フォーチューンは合計して中国に3回、日本に1回訪れました。
その時の経験などを本にまとめて、老後はその収入で豊かに暮らしたそうです。
出版した本は、
「中国北部をさまよった3年間(Three Years Wanderings in the Northern Provinces of China) (1847)」
「お茶の国、中国を訪ねて(A Journey to the Tea Countries of China) (1852)」
「中国人とともに暮らす(A Residence Among the Chinese) (1857)」
「江戸と北京(Yedo and Peking) (1863)」
なんだか読んでみたくなるタイトルですよね。
彼が西洋にもたらした木の種類は、なんと120種にのぼるそうです。

この木がミツマタと呼ばれるのは、枝が三つに分かれるから、という単純な理由です。
とっても覚えやすいので、多分一度みれば頭に残ると思います。
キュー植物園に来たら、ぜひ探してみてください。
ちなみにこんな風に花をつけるのは、春先だそうです。
クロッカスやラッパ水仙と同じ時期ということ。
英語ではこの木は「Oriental paperbush(東洋の紙の木)」と呼ばれます。
学名は「Edgeworthia chrysantha」です。
「Michael Pakenham Edgeworth」という人は、東インド会社で働きながら、ヒマラヤ地方でたくさんの東洋の木を採取しました。
ダーウィンなんかとも親交のあった、アマチュア植物学者って感じみたいです。

でもどうせなら、フォーチューンさんの名前を取って「フォーチューン・ツリー」にしちゃえばいいのに。
フォーチューン(Fortune)というのは英語で財産のことだから、それこそ「お金になる木」にはふさわしい名前では(笑)

2 件のコメント:

紀州モリゴン さんのコメント...

たしか四国の村が村上げてミツマタの木を植え、村起こしをしようと頑張っているとの事。

 テレビを見ました。昔の和紙とか見直される時代が来ました。

 紀州モリゴン

miki bartley さんのコメント...

紀州モリゴンさん、はじめまして。
日本は紙の質がいいですね。
外国に住んでいると、日本の文化を見直すことがよくあります。
こちらでも和紙は人気です。