2011年2月6日日曜日

パブのスポーツ観戦

フットボール観戦が目的で、イギリスを訪れるなんていう人も最近は多いみたいです。
旅行のQ&Aなどのサイトでも、プレミエリーグのチケットの取り方なんかが話題になったり、スタジアムへのアクセスの仕方が質問されているのを見たことがあります。

イギリスのフットボールのチケットは、そのレベルにもよりますが、そう簡単に手に入るわけではありません。
特にプレミエリーグの、日本でも知られているようなクラブでは、年会費を払って、「メンバー」になって初めて「チケットを買う権利」が生じたりするのです。

例えばアーセナルを例にとると、メンバーの種類は4種。
「プラチナ・メンバー」は、エグゼクティブクラスで、ここのウェイティングリストに載るためだけでも、年50ポンド払う必要があります。
何年かかるかは、誰も知りません。
「ゴールド・メンバー」は、普通レベルのシーズンチケットホルダーです。
つまり、ホームゲームは予約席を持っているというひと。
このウェイティングは年15ポンド。
多分15年くらいはかかるんじゃないの?と囁かれていますが、ホントのところはどうかな?

「シルバーメンバー」は試合の2ヶ月前にチケットを買う権利があります。
「レッドメンバー」は試合の1ヶ月前にチケット発売。
私たちは、年間一人30ポンド弱を支払って、このレッドメンバーになっています。
まだ10年は経たないけど、いまだにシルバーに格上げにはなりません。
ちなみにほとんどの非公認の「チケットやさん」はこのクラス。
だからメンバーカードがチケット代わりになるので、その保証金などをチケット代金に乗せて、カードを返すと保証金が帰ってくるようになっているのです。
つまり、名義人と、実際の観戦者が違うわけですから、本当は違法なので、お勧めしません。
最近は旅行会社などでは、ボックス(エグゼクティブ・クラス)に席をいくつかとって、それを販売しているようです。
値段は高いし、普通の席みたいに雰囲気は出ないけど、まず安全な観戦方法といえるかもしれません。

じゃあ、安く観戦したい人は?
答えはパブです。

イギリスのパブにはいろんな種類があって、スポーツ観戦をウリにしているものもたくさんあります。
大きなスクリーンや、テレビのモニターがたくさん設置してあるので、中に入るとすぐわかりますし、大概外にも何の試合を見せる予定か大きく書いてあります。

お目当ての試合があったら、まず、大事なのはその場の雰囲気を読み取ること。
パブはスタジアムのように、ホームとアウェイに席が分かれているわけではありませんし、スタジアムと違ってお酒の規制もありません。
だから、雰囲気を読み誤ると、とんでもないトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ユニフォームを着ているサポーターが多いところは、熱心なファンが多いので、私なら避けます。
パンター(客)に女性が多いのは、ある程度の安全の目安かな?
それから、食事を出すパブというのもポイント高いです。
何も食べずに飲んでばかりの人は、やっぱり酔っ払いやすいので。
またスタジアムに近いパブは、アウェイのファンの場合は避けるべき。

昨日はニューカッスル対アーセナルの試合があったのですが、残念ながら、イギリスのテレビ会社では生中継はありませんでした。
ティムちゃんが、知り合いから、ウエストケンジントンのパブで、外国のデコーダーを使って生中継があるらしいと聞き込んできたので、話の種に行ってみる事にしました。

実はこれ、ホットな話題なんです。

イギリスではパブでスポーツの中継をする権利が法外な値段で独占されています。
スカイが牛耳っているのですが、なんと毎月700ポンドくらいをパブなどから徴収しているのです。
私たち、一般家庭では、パッケージにもよりますが、月60ポンドくらいかな?
ところがヨーロッパのほかの国のデコーダーを使うと、かなり安い値段で中継することが出来るのです。
まだ判決は出ていないのですが、ポーツマスのパブのオーナーがスカイの独占を違法だとして、ヨーロッパの裁判所に問題を持ちこんでいます。
どうなるか、パブのファンのみならず、みんな興味深く結果を待っています。

さて、ウエストケンジントンのパブの名前は「F3K(有名な3人の王様の略)」
上の写真が外観で、地下鉄の駅のすぐ横です。
今回はじめて足を踏み入れました。
中はかなり広くって、入ってすぐのバーとテーブルのあるエリア以外に、上のフロア、横のフロア、奥のフロア、地下のフロア、それぞれにスクリーンやモニターがあって、別の試合を放送することができるようになっています。

この写真は横のフロアから奥のフロアのスクリーンを見ているところ。土曜日には、午後3時に試合が集中しているので、各部屋で別々の試合を見せているそうですが、ぎりぎりにならないと、どこで何を見せるかは決められないそうです。
私たちは2時ごろ到着したので、「横のフロア」でお昼を食べました。
私のバーガー。ティムちゃんのパイ。値段はそれぞれ8ポンドくらいだった。
ま、値段につりあう味でした。
食べ終わる少し前に、バーの人が、アーセナルの試合は「奥のフロア」だと教えに来てくれましたから、食事の後、自分達の使っていた椅子を持って移動しました。
だって、奥の部屋の椅子はみんな取られちゃってたし。前半は4-0でアーセナルの勢いがすごくよかったのに、後半しかも70分を過ぎてから4点を入れられて、散々な結果でした。
最後のヴァンPのゴールはオフサイドでカウントなし。
結果は4-4でした。
初めは部屋にいるのはみんなアーセナルファンだと思っていたのに、後半は静かにしていたマグパイ(ニューカッスルのこと)も歓声を上げ始めて、半数弱は実はマグパイだったと発覚。
荒いファンが多い試合だったら、怖いことになる可能性はあるかも。

それじゃあ折角だから面白い話をひとつ。
ここの看板は、パブの名前にちなんで3人の有名な王様が並んでいます。
左手は、この国のピューリタン革命で、歴史上唯一斬首された王様「チャールズ1世」です。
右手は6人のお妃様がいたことで有名な「ヘンリー8世」
さてそれではこの二人と同じかそれ以上に有名な王様といえば、いったい誰でしょう?
答えは看板を見てください。



わかった?
エルヴィス・プレスリーです。
ロックの王様ですからね(笑)
実はこのパブ、ヒースローから市内に向かう途中にあるので、いつもネタに使わせてもらっています。

4 件のコメント:

のび太 さんのコメント...

読みながら何だか自分もパブにいる気分でした。参考になりました。
最後の写真の話に笑ってしまいました!

phary さんのコメント...

うちのだんな君がスタジアムに連れて行ってくれないのは「危ないから」サッカー観戦は燃えますからね。
ミュンヘンのスタジアムならほとんどがFCバイエルンファンでしょうけどパブのようなところでは周囲の人がどちらのチームがご贔屓なのかとか、贔屓具合はどの程度なのかを確認しないと危険ですね。(たしかイギリスのフーリガンって有名でしたよね。)
ところで3人目の王様は私リチャード獅子心王かジョン王だと思ったのですが、バッチリ外れました。でもエルヴィスだなんてちょっとズルーーーイ、彼イギリス人じゃないでしょ?

miki bartley さんのコメント...

のび太さん、こんにちは。
この看板、面白いでしょう?
空港やウインザー城から市内に入る時にこの脇を通るんです。
で、信号のところで止まったりしたら、ラッキーってカンジでこの話をします。

miki bartley さんのコメント...

Pharyさん、こんにちは。
獅子心王とかジョンが出てくるなんて、Pharyさん、英国史に詳しいんですね!
イギリスのフーリガンはチームにもよりますが、やっぱり怖いです。
特にお酒が入ってたりすると、歯止めが効かない人たちも多いみたいなので、どこでフットボールを見るかというのはとても大事です。
スタジアムはセキュリティーカメラもしっかりしているし、クラウドコントロールも年季が入っていますが、普通の街中だとコントロールの仕様がないですしね。
ドイツは観戦のマナーはイギリスよりもずっと良さそうなイメージです。