2025年10月1日水曜日

サファイヤの指輪を持っていれば・・・


最近食べ物の話題が続いたので、今日はちょっと観光のお話を紹介します。

イギリスだけに限らず、歴史で有名な人や聖書や神話の登場人物を見るとほぼ必ずその人に所縁がある「モノ」が一緒に描かれたり彫られたりします。
シンボルといえばわかりやすい。

その人の顔かたちがわからなくても、シンボルがあれば特定できるというわけです。

ロンドンのウエストミンスター寺院にはたくさんの美しいステンドグラスがあります。
ステンドグラスって、写真に撮るのが難しい。
私は写真が下手だからなおさら(笑)
こちらは西入り口の上に位置する大窓。

こちらはクロイスターの東にあるチャプターハウス。

身廊にもたくさんのステンドグラスがあって、昔の王様や聖職者がずらり。
王冠を冠っていれば王様、長い杖を持っていれば聖職者だってわかります。
でもいっぱいいるからどの王様でどの聖職者かというのにはやはり特定するためのシンボルが必要!

こちらはウエストミンスター寺院をゴシック建築に建替えたヘンリー3世。
なので左手には新しい教会を持っています。


じゃあこの人は?
王冠があるから王様。
そして左手には指輪。
これはサファイアの指輪なんです。

以前このブログでも紹介したウィルトンディプティッチにも出てきます。

あれ、このあと3番目の記事で詳しい内容を書いたと思ったんだけど、どうやらまだのようです(笑)

今日紹介するのはウィルトンディプティッチの登場人物の一人、聖エドワード。
この人!


イギリスにはエドワード王というのは8世まで存在します。
じゃあ全部で何人だと思いますか?

「8世までいるんなら当然 8人でしょ」

それだと全く面白くないのでわざわざ聞きません。
全部で9人が正解。
エドワード1世から8世までで8人+聖エドワード王で9人なんです。
この聖エドワードは1066年に即位したウイリアム征服王の前、アングロサクソン時代の王様。
信心深い人ということで聖人になりました。
逸話がいろいろあって、そのひとつが彼が手にしているサファイアの指輪。

大きなサファイアですね。
これ、5.5カラットあります。
カラット数が出てくると、いきなり現実味を帯びるのが不思議(笑)

王様は建築中のウエストミンスター寺院を毎日見守っていましたが、ある日そこに貧しい身なりの巡礼者がやってきました。
彼は本当はローマに巡礼に行きたいのですが、その費用がないと言います。
それを聞いた王様は自分の手から指輪を外して巡礼者にあげたそうです。

私がよくお客様に紹介するのは、このあとその巡礼者が天使の姿に変わって「王様の信心が深いことが分かったからこの指輪は代々あなたの一族が持っているように」と指輪を返してくれたというもの。

他のバージョンも紹介しておくと、その巡礼者は実は使途ヨハネで、ローマでイギリス人の巡礼者に指輪を託し、エドワード王に死期が迫っていることを伝えさせたというもの。

もともとは彼が戴冠した時の指輪で、とても大切なものなのに貧しい巡礼者にあっさりとあげてしまうエドワードは無欲で信心深い人ってことです。
なので、王冠を身に着けた人がサファイアの指輪を持っていれば、それは聖エドワード。

彼が亡くなった後、指輪は彼とともに埋葬されましたが、ヘンリー3世がウエストミンスター寺院を建て替えた時に指輪からサファイアが取り除かれたと言われています。

その後、話によればそのサファイアは戴冠式の冠に組み込まれ、現在では帝国王冠の中に入っているそうです。

こちらはロンドン塔の中で本物を見ることができます。

ま、長い歴史のことだからどこまでが真実なのかはわかりませんが、宝石にまつわるロマンがあるお話のひとつです。



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