オーバーツーリズムの話題で、二重価格というフレーズを聞くようになりました。
二重価格というのは、利用する人が誰かということで、サービスや商品の価格に差を設けることです。
「え?それって差別?」
じゃないんです。
「オーバーツーリズムに対応するための二重価格」ということだと、インバウンドの外国人に高い値段をつけようみたいなイメージがあるかもしれません。
イギリスでは通常の価格に対して観光客から割増料金を取るというのは聞いたことがありません。
そうではなく、通常料金に対して様々な理由の割引(もしくは特別価格)を設けることで二重価格になっている例が多いです。
観光地の入場料などは、ほとんどがそう。
今日はロンドンの観光地でのそんな例を具体的に紹介したいと思います。
*ロンドン塔 通常入場料金 大人: £34.80 子供( 5-15): £17.40
これらの入場料に対して対象になる人々の特別価格が何とたったの £1!
対象なのは、 以下の手当てを受けている住民(Universal Credit、Working Tax Credit、Child Tax Credit、Pension Credit、Employment and Support Allowance、Income Support、Jobseeker’s Allowance いずれもイギリス在住で尚且つ低所得であったり、求職中だったりする人への手当、国籍は問いません)
*ケンジントン宮殿 通常入場料金 大人: £24 子供( 5-15): £12。
特別価格 £1。
対象なのは、 ロンドン塔と同じく低所得と求職中認定を受けている住民、エリアや国籍は問いません。
*キュー植物園 通常入場料金 大人: £20~ 子供( 5-15): £5~。
低所得の住民(Universal Credit、Pension Credit)の入場料は1ポンド。
上に挙げた例だけではなく、美術館や博物館にも、低所得者や求職中の住民であれば割引や無料の入場などがあるのが普通。
シニア料金が設けられていても、住民のみ対応の場合があったりすると、実質観光客は大人料金を払わないといけないことになります。
テムズクリッパーのボートなどがそう。
入場無料の大英博物館やナショナルギャラリーなどで行われる有料展示にもいろいろな割引があります。
これは大英博物館のある特別展示の入場料の例です。
- 大人 £17.00
- 身体が不自由な方 £15.00
- その付き添いの介護者 £0.00
- 求職中か低所得者 £15.00
- アートパス保持者 £8.50
- 学生もしくは 16-18歳 £15.00
- 大人同伴の16歳以下 £0.00
*ウエストミンスター寺院 通常入場料金 大人: £29.00 子供( 5-15): £13.00
イギリスの学校に通う子供は £2(学年によっては無料)そして付き添いの大人 £14です。
この情報を「学校のグループが一律この料金」だと勘違いした日本の学校グループが、入場する時にもめた例を見たことがあります。
*タワーブリッジ 通常料金 大人 £13.40~、子供 £6.70~。
サザーク区、タワーハムレット区、ロンドン旧市街地の住民は特別価格の£1
*オールドヴィック劇場 通常料金 £13~£70。
サザーク区とランベス区の住人はメンバー登録後オフピークのチケットと飲食が20%引き。
*ソープパーク遊園地 通常価格 £29~、地元民に無料チケットあり。
*チェジントンワールドアドベンチャー遊園地 通常価格 £29~、地元民に無料チケットあり。
*ハンプトンコート宮殿 通常入場料金 大人: £27.20~、 子供( 5-15): £13.60~。
サリー県とイーストモーズリー区の住民は無料チケットあり。
*ウインザー城 通常料金 大人 £30~、子供 £15~。
ウインザー・メイドンヘッド地区に住む人は長らく無料で入場できましたが、24年6月1日から50%割引に変わってかなり不評のようです。
こういった例以外にも、地元民のカードを発行して、いろいろな割引を受けられたりするシステムがある区が多い。
私が住んでいるリッチモンド区にも、リッチモンドカードという住民カードがあります。
申請時に住所を含む身分を証明する必要があって、これは区の図書館を利用(無料)したりするカードやジムやプールの利用(有料)カードとしても使えます。
それ以外にも地元のいろいろなレストランやサービスの割引を受けることができて、そういった案内のニュースレターがメールで流れてきます。
また地元のビジネスの人たちには、割引を行うことでいいプロモーションになるみたい。
レストランなどでカードを見せることによって10%‐20%の割引になるといった体裁が多いです。
いかがでしたか?
ロンドンの二重価格について紹介してみました。
観光客に対する割増ではなく、地元民に対する割引として機能しているのがわかっていただけたと思います。
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