今日は大英博物館の展示品の中から私のお気に入りを一つ紹介したいと思います。
ワインの壺です。
大英の展示品でまたワイン関連?と思いました?
けっこう大きいでしょ?
高さは70㎝ちょっと超えるくらい、直径は40㎝程です。
こういった足が付いたカップはディノスとかダイノスとかよばれて、ワインと水を混ぜて提供する目的で使われました。う~ん、水増しワインかぁ。。。
そうです。
古代ギリシャではワインは水で割って飲むものだったんです。
古代ローマでもその習慣は引き継がれ、皇帝ティベリウスがワインを水で割らずに飲んだことが彼の逸話として有名にになったほど。
この壺のテーマは結婚。
さて、話をこのディノスに戻すと、作られたのは2600年ほど前。
ギリシャのアテネ付近で作られたものです。
そのエリアは土壌に鉄分が多いので赤い器がたくさん作られました。
この壺の素晴らしいところは、制作者である(と思われる)名前が書かれていることです。
つまりサイン入りアート。
どこを見ればいいか。
写真の中央から右手にかけて柱がある建物が見えますね?
中央の人物のすぐ後ろの黒い柱と白い柱の間に縦に入った文字が見えます。
その部分を少し拡大して、横にしてみましょう。
古代ギリシャ語で「ソフィロスが私を描いた」と書かれています。
ギリシャ神話にはいろんな結婚の物語がありますが、やはり一番有名なものはぺーレウスとテティスの結婚ではないでしょうか?
人です、神様ではありません。
結婚式に来てくれたお客様を出迎えています。
こちらが花嫁のテティス。
オケアノス(下半身がお魚の黒っぽい海の神様)のすぐ後ろの女性がそうです。彼女は海の女神のひとりです。
元は彼女に求婚した中にゼウスやポセイドンもいたのですが、ある預言に「テティスの子供は父親よりも偉大になるだろう」とあったことから、息子に殺されたくないと思ったゼウスもポセイドンも結婚をあきらめて人間であるぺーレウスとテティスを結婚させたという逸話があります。
この結婚式は盛大なもので、主だった神様のほとんどが招待されました。
その様子が描かれたのがこのディノスというわけです。
パーティーの時に使われたであろう大きなワイン(と水)の壺。
きっと古代ギリシャの披露宴などでも大活躍だったでしょうね!
因みにテティスの産んだ子供の一人がアキレス。
人間との間にできた子供ですから、不死身というわけではない。
彼を不死身にするために、赤ちゃんのアキレスを冥界の地下水に浸けた時、テティスは足首を掴んでいたのでその部分だけが地下水に触れませんでした。
ということで不死身のアキレスの弱点が足首になったわけ。
これがアキレス腱の名前の由来です。
他にもこの結婚式にまつわる逸話といえばトロイア戦争。
それはまた、別の機会にご案内したいと思います。
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