2025年7月18日金曜日

世界で一番古い印刷物ってどんなもの?




皆さんは大英図書館に行ったことはありますか?

イギリスに来たことがあれば「大英博物館ならあるよ!」って人は多いでしょうね。
元は博物館の中に図書館も含まれましたが、現在は別々の場所です。

大英図書館はユーロスターが発着するセントパンクラス駅の西隣。
最寄り駅は地下鉄キングスクロス・セントパンクラス駅。
ユーストン駅もそれほど遠くありません。

入場は特別展示以外は無料で、中にはカフェやレストランもありますからブラっと立ち寄るのにいい場所のひとつです。




それ以外にも重要な所蔵品を展示している「The Treasures Gallery」というお部屋があります。

このギャラリー、すごく頻繁に展示を入れ替えることで知られています。
持っているものが多いということと、古いから保存のために長く展示しない方がいいものが多いため。

なので直前の下見が必要な、ガイド泣かせの場所のひとつ。
ただ、グループでの観光には向いていません。
展示室が狭くて、展示物が小さいこと。
そしてゆっくり見ている人が多いので邪魔になるような声は出せないことが理由です。

でも、ここに来れば余程のことがなければみられるもののひとつに「世界で一番古い印刷物のひとつ」があります。

「グーテンベルクの聖書?」っと思ったあなた、惜しいですね。
15世紀に活版印刷された聖書、もちろん大英図書館も持っていますが展示はされていたり、されていなかったり。

実は世界で一番古い印刷物のひとつは日本のものなんです。
その名は「百万塔陀羅尼経(ひゃくまんとうだらにきょう)」
奈良時代、8世紀後半のもの。


ところでさっきから「一番古いもの」と言わずに「一番古いもののひとつ」って表現していることにお気づきですか?

ガイドになるトレーニング中に「言ってはいけないこと」というのを教わりました。
そのひとつが「一番xxxと言い切ること」です。
一番大きい、一番深い、一番高い、一番安い等など。
そういった表現を使いたい時には必ず「xxxのひとつ」というルールがあるのです。
何故か。
それはその情報が正しいとは限らないから。

例えば百万塔陀羅尼経にしても、検索すると「一番古い」と言い切っているサイトがたくさんヒットします。
でも現在では中国の6世紀の木版印刷が一番古いだろうと考える見識者が多くいます。
自分が知っていることが全てではないということなんですね。

日本では法隆寺にあるそうです。

百万塔陀羅尼経というのは、奈良時代、藤原仲麻呂が起こしたクーデターの失敗後、たくさんの人たちが亡くなったことを鎮めるために百万個の小さな塔の中にお経を入れてお供えしたもの。
この乱の後、復位した称徳天皇(元の孝謙天皇)の命で作られました。
百万個も用意するのを手書きだと大変なので、お経の部分を印刷したってことらしいです。

法隆寺にしかないと書かれているサイトもあります。
でもね、何でも持っている大英図書館も所蔵しています。
こちらがそう。
この間、下見に行ったついでにブログのためにわざわざ(笑)写真を撮ってきましたよ!
そしてお経を入れた塔がこちら。
は?
そうです、台しか映っていませんよね。
撮ったと思ったんだけどなぁ(笑)

ということで大英図書館の公式写真を載せておきます。

藤原仲麻呂の乱というのは764年に起こったクーデター。
天皇に寵愛されて勢力を持った僧侶、道鏡の追放を企んだもの。
失敗した仲麻呂は討伐されて、その後に道鏡はますます力をもってほぼ独裁政治をするようになってしまいます。
でも彼を寵愛していた孝謙天皇(クーデター後は同一人物が称徳天皇)が770年に亡くなると寵愛を受けていただけの道鏡は左遷されて数年後に亡くなってしまいます。

孝謙天皇は女性の天皇でした。
女性天皇って推古天皇くらいしか知らなかったけれど、他にも存在するんですね!

ちょっと他にどんな人がいたのか調べてみようっと!










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