魔法のカップ。
これ、ローマの壺なので、本当だったら以前紹介したポートランドの壺(リンクします)がある、ルーム70とかに置くべきものです。
それなのに、なぜか辺鄙なアングロサクソンの部屋に置いてある。
今日はそのアングロサクソンの部屋に行く用事があったので、ついでにカップの写真も撮ってきました。
このお部屋、ルーム41は、改装されてからまだ数年。
中心になる展示は、イギリスの歴史ではかなり重要な、サットンフーの船葬墓からのもの。
私はすごいカップだと思うのですが、周りにマッチしていないし、足を止めて観る人も稀。
もったいないなぁって思ったのが、今日、ブログで紹介しようと思った理由です。
このカップ、名前は 「Lycurgus Cup」
この部屋の一つ手前(ルーム40)にはハリーポッターに出てくるチェスのモデルになったルイス島のチェスセットが展示してあります。
ハリーポッターのお話の中に、炎のゴブレットがありますよね。
火は出てこないけれど「Lycurgus Cup」は光を当てると、浅い緑色の本体が真っ赤に変わる不思議なカップなのです。
読むよりもこの写真を見るのが早い。
これ、携帯のカメラなので、肉眼だともっときれいです。
展示ケースの光が変化するだけでこんなになるんです。
男の人がぶどうの蔓に絡まれて、それをなぎ倒そうと、もがいているような模様です。
この部分はガラス製。
そしてカップの縁や足元は金をかぶせた銀でできています。
どうして色が変わるのかは、ガラスに秘密があるそうです。
ガラス製品を作る際に、微量な金属を加えることで二色性ガラスというものができます。
「Lycurgus Cup」には、ものすごく細かな金と銀の粉が、一定の割合で溶け込んでいるそうです。
飲み物を飲むためのカップとして作られたので、テーマにはギリシアのディオニッソス(ローマのバッカス)が選ばれました。
でも蔓に絡まれているのは、ディオニッソスじゃない。
彼のことが嫌いだった、リコルガスという王様。
あるとき、ディオニソスが彼の国に来ているとうわさを聞きます。
ディオニソスはワインの神様で、人々の正気を失わせたり、悪い行いをさせたりするので、リコルガスは悪い神様と思ったのです。
早速、追い出そうと考えた王様は、ぶどうの蔓を切ってワインを作れなくしてしまいます。
これに怒ったディオニソスは、リコルガスの正気を失わせて、彼の家族を殺すように仕向けたり、その罪として彼の国民らによって、荒れ野へ追放したりしています。
そんな柄が入っているから、出されたワインは断らずに飲み切ってしまわないと、罰が下りそうな恐ろしいカップです(笑)
でも飲みすぎると正気を失うかも…。
お酒は楽しむ程度にほどほどにってことでしょうか?
是非いろいろ考えながらご覧になるといいと思います。
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