2016年9月7日水曜日

嫌ならやめれば?

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私はパッケージツアーのお仕事は取りません。
やっていても楽しくないからです。
ツアーが悪いと言ってるんじゃなくて、私には合わないというだけ。

嫌々やるなんて、お客さまにも失礼だと思います。
だからやらない。

全てがあらかじめ決められていて、お客様がその行程に合わせるのがパッケージツアー。


私がガイドするのは、そのお客様のためだけのオーダーメイド旅行。

事前にいろいろな情報のやり取りがある場合もあるけれど、
その場で急にご希望を伝えられることも多いです。

それが数人の場合なら、そんなに難しくない。
それは移動の車が小さくて小回りが利くのと、各場所でのキャパシティーとクラッシュしないから。
これまでの経験で、大体のところにあたりも付けられるし。


ところが7人から上はちょっと大変。
まず車がミニバスになる。

そこで入りにくい場所や停車、駐車に制限が出てくる。
ヘタすると田舎では高さ制限や重量制限で通れない橋や高架下があったり。

レストランやアトラクションでもグループ扱いになるし。



先日11人のグループのお世話をさせていただきました。

「明々後日、コッツウォルズでお昼ごはんの手配お願いします」
明々後日というのは土曜日。
コッツウォルズのレストラン、
平日はそうでもないけど、週末のランチは非常に混んでいます。
土曜日は結婚式で貸し切りになっていたり、
日曜日はサンデーランチといって家族でごはんを食べる習慣もあるので。

正直なところ、週末の数日前にグループ手配できる余地があるところって、私がすごく運がいいのか、そこに何らかの問題があるか(笑)

レストランって探したり手配したりするのに、かなり時間がかかる。
で、場所によっては行程自体の時間の見直しなんかもしなきゃいけない。

一番簡単なのは、すでに予定がある立ち寄り先で、人数と予算だけで場所を探す方法。
多分10分もあれば予約完了。

忙しい旅行会社にお願いすると、まずこの方法。

でもほとんどのお客さまって最初で最後のイギリス旅行。
予約するのに都合のいいところではなくて、その人たちが行きたそうなところを探してあげるのが、やっぱり正解だと思う。

今回は、まずよく使うマナーハウス2軒に問い合わせをしました。
もちろん、すでに一杯で予約はできない。
女性だけのグループだし、お会いした時のカンジから、マナーハウスとか、喜んでもらえそうだなって思ったので。
もしかしたら、キャンセルとかで急に空くかもしれないから、ダメもと。

で、今度は時々使うマナーハウスと、ちょっとおしゃれなパブに連絡したらそこも一杯。

で、伏線で2回しか使ったことがないマナーハウスにもメールしておきました。

そうしたらそこのイベントマネージャーという人から返事。
「予約取れますよ、でも全額前金でください」

カード番号をギャランティーで下さいっていうのはよくあるけど、全額前金っていうのは言われたことがない。

セットランチで一人25ポンドだから、まコッツウォルズでは一般的な金額。
3日前だし、そんなものかなぁ。

オーガナイザーからは、予めご希望やなんかは伺っておいて、それでルートはお任せしますって言われていたけれど、念のためにOKを取ってから、支払いのために担当者に電話しました。

このオーガナイザーはイギリスによくお越しの方で、初めてイギリスという方も含まれる今回の旅行参加者に、イギリスらしい色々な食べ物の紹介なんかもされていらっしゃるようでした。
その一つがサマープディング。

ベリー類がいっぱい詰まった、さっぱり系のデザートです。

で、このイベントマネージャーにセットメニューのデザートをサマープディングに変更できるか聞いてみました。

そうしたら「NO」の一言。

それはいいんですけどね、別に。
だって元々無いものを作ってくれって言ってるわけだから。

でも、シェフに聞いてみますとか、
追加料金がかかるけどいいかとか、
ちょっとは考慮してくれてる素振りだけでも?

もしくは「それはできないけど、このデザート評判いいので、きっと皆さん喜ばれますよ」とか言ってくれると印象も違っただろうに。



ところが、お次は「セットメニューはこれこれなので、今、注文してください」
前菜2種とメイン2種から選べって。
デザートはチョイスなしだしね。

申し訳ないけど、お客様のお好みがわからないので、朝お会いして注文を取ってすぐに連絡するのはどう?
そんな風に聞いてみました。
そしたら答えはNO。
規定で「グループは予約の際に注文も済ませることになっている」そうです。

20人以上とかっていうなら理解できるけど、たった11人ですよ。

でも向こうだって材料の調達があるだろうし、それは理解できるので、
じゃあそれぞれ5皿と6皿にしてってお願いしたんです。

食に興味をお持ちのお客様は、色々なお料理を見てみたいだろうし、
半々にしておけば絶対にこっちがいいという人以外の、どっちにしようかな派の人たちも普通は居るので、案内の仕方次第でうまくまとめることができます。
実際20人くらいでプレオーダーが必要な時にはそんな風にしたりします。

事前用意はする必要がありますが、たとえ狭い範囲からでも、お客様にお好きなものを選んでもらうと満足度が違います。

これは食事だけに限らない。

トラブルがあった時も同じ。

状況の把握と、その後の対応の選択とその際のリスクやメリットの案内。
そこからお客様に選んでもらう。
もちろんこちらのお勧めも伝えます。

ところがですねぁ、それもダメだって言われちゃったんですよね。
グループは全員同じものを食べないといけない「規定」ですって。

ここ、記憶ではおいしいかったけど、残念。
こんな杓子定規のサービスだと、他の部門もがっかりだろう。
そう思って結局予約はしませんでした。

杓子定規な対応のことを英語で Jobsworth と言います。
ここのイベントマネージャー、仕事楽しんでるのかなぁ。
ふと、そんなことを考えました。

難しいことに直面したり、面倒なことがあると、それを解決した時の喜びも大きい。
イベントマネジメントなんて、各顧客の違うニーズにこたえて、イベントを成功させるって職業でしょう?
この担当者には向いてないんじゃないかなぁ?

イギリスのサービス業で、よくこのタイプの人に出会います。
全く融通が利かない人たち。

嫌ならやめれば?
もっと楽しくお仕事しようよって思います。



今まで挙げたところは、どこも400年前後の歴史ある、威風堂々とした建物なんです。
いかにもイギリスのマナーハウスってカンジでガイドブックにも紹介されている。

そこでちょっと時代を広げて、ジョージアン(250~200年前)やヴィクトリアン(150年から100年前)位の外観を持つところにシフトしました。

で、色々探して結局予約したのは以前一度だけ行ったことがあるレストラン。

これが正解でした。

対応してくれた係りもすごく物分かりがよくて、メニューにないサマープディングの件もシェフと相談してみるから、お返事は待ってって。
翌日には対応可能なこと、また駐車などに関する細かな情報などが送られてきました。
実際のサービスもすごく迅速で満足。

何よりお客様に喜んでもらえたのと、そのお客様を見たオーガナイザーが喜ぶ顔が見られたのがうれしかったです。

ここもセットメニューだったけど、その場注文でOKでした。

皆さんお好きなものを注文できて、とても満足。
こういったアレンジって実際のガイド時間には含まれないけど、ツアーを成功させるためには必要な工程なんです。

そして何よりもやりがいがある。

お客様からありがとうって言ってもらえたのがすごくうれしい。



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2 件のコメント:

phary さんのコメント...

みきさんのプロフェショナブルぶりが伝わる記事ですね。
ここまでちゃんとお客様のことを考えてくれるガイドさんってめったにいないんじゃないでしょうか?

それにしても、最初のマナーハウス、融通が利かないというか、こういうことでリピーターを逃してしまうってわからないんでしょうかね?

miki bartley さんのコメント...

Pharyさん、こんにちは。
いろんなところに泊まったり、ご飯食べたりしますけど、本当に残念だなって思う時がよくあります。
もうちょっとここをこうしたらいいのになぁ…って。
でもそれって私もサービス業だから、参考になるときが多いんです。
「それが決まり」ですっていう時には、自分でも気をつけようって思いました。