2010年5月12日水曜日

新しい政権

英国の政府が労働党から保守党と自由民主党との連立政権に替わりました。
選挙があったのが5月の7日、この発表は昨夜、11日の夜にありました。

王制をいただいている国なので、前首相のゴードン・ブラウンは、エリザベス女王様に辞任する許可を得ました。
そして、女王様が保守党のデイヴィッド・カメロンを召集して、新政府を打ち立てる要請を行います。

昨日は外でご飯を食べたので、帰ってきてからニュースでブラウン元首相とカメロン新首相のスピーチを見ました。
生中継ではなく、ニュースで二人のスピーチが続けて流れたので、普段気が付かなかった、スタイルの違いが見事に出ていました。
これは以前から気になっていましたが、ブラウン氏はスピーチが下手です。
昨日やっと何が悪いのかに気が付いたのです。

ブラウン氏はスピーチを読むのです。

彼のように視線が下に落ちてばかりいると、何となく、真実味や親近感に欠けます。
昨日の辞任の発表は、予測されていたとはいえ、タイミングが随分急でした。
それなのに、同じように時間の余りなかったであろうカメロン氏のスピーチは、報道陣たちの目を見て、キチンとハナシをしていました。
彼が全てを用意したスピーチではないかもしれませんが、やっぱりこんな風にきっぱり話すことができるというのは、政治家にとってプラスではないかと思います。

ガイドになる時にいろんな訓練をしたのですが、そのなかに、話し方というのがありました。
自分の話している内容に自信を持つと、相手の目を見て話すことが簡単に出来ます。
まっすぐ立つとか、声を聞かせたいほうに角度を向けるとか、不用意に動かないなど、基本的なことは意識しないと癖が出てしまいます。

つまり、いいスピーチをしようと思ったら、
1、内容を把握して、自信を持つ。
2、スピーチをしているという自覚を持つ
この二つの基本だけ。

ブラウン氏は両方ダメでした。
せっかくの最後の表舞台なのに。
最後の舞台といえば、バッキンガム宮殿を出た時の彼の車には、白バイがもう付いていなかったので、曲がり角などで、他の車を数台待ってターンをしていました。
何となく、平家物語を思い出してしまいました。

ところでカメロン氏の奥様は美人ではないけれど、きりっとした表情の持ち主です。
いかにも育ちが良さそうな明るさがあって、私は好感が持てると思います。
昨日のニュースの時に首相官邸のドアをくぐる際、二人で同時に敷居をまたいだのが印象的でした。

実はどうするのかなーと思って、気になっていたのです。
単純なことだけど、面白い。
彼はきっと普段なら奥様を先に通すはず。
デモね、そんなことをしたら、やっぱり気分を害する人たちも多いご時世だから、ちょっとPC(政治的配慮のこと)に気を使いましたってカンジかなぁ?

カメロン氏はイートンを出て、オクスフォードで学んでいます。
女王様とはハナシが合うんじゃないかな?
「私の孫たちも、イートンなのよ」
「存じております」
みたいな???

名門パブリックスクールには、それぞれ特徴があって、よくジョークのネタになります。
ウィンチェスターは頭がよくって、ハローは自己中心的、イートンはマナーに身を捧げるといった調子です。

例えば、部屋に椅子がひとつしか空いていないのに、自分ともうひとり、立っている人がいると、どうしますか? という質問。
ウィンチェスターの生徒は、隣の部屋からもう一脚持って来ました。
ハローの生徒は最後の椅子に自分が座りました。
イートンの生徒は相手に椅子を譲りました。

4 件のコメント:

ゆき珠 さんのコメント...

今、どこの国でもそうなんでしょうけど、トップになる人って可哀想ですよね。
ただ、誰に対して話をしているか、という姿勢は大切だと思います。

私は政策等々は別にして、シュレーダー元首相が好きでした。メルケル首相はどうも喋り方がダメ。一方シュレーダーさんは綺麗なドイツ語なので聞き取りやすいし、割と笑顔が多いというところですかね…外国人としては。

名門パブリックスクールにはそんな特徴があるとは知りませんでした。
そういえば…日本の前首相は宮内庁御用達だった(?)学習院でしたけど、ご学友に宮様がいらっしゃらないとダメなのかしら?

Rottenmeier さんのコメント...

イギリスのトップ交代劇は前首相のとんでもない大失敗、(例のマイクがついているのを忘れて悪口言ってしまったやつ。)のおまけつきで歴史に残りそうなドラマになりましたね。私も有名なパブリックスクールにそんな特色があるとは私も知りませんでした。政治家の世襲制が進みすぎた日本。これもお国柄で仕方が無いのでしょうか。

miki bartley さんのコメント...

ゆき珠さん、
お返事が遅れてごめんなさい。
昨日のベルリンでのニュースで、メルケル首相とカメロン首相が出ていました。
私、ドイツ語はできないので、訳を聞いて判断するのは難しいのですが、スピーチは下手っぽく見えました。
ユーロ関係の話題だったのですが、カメロン氏は、英国の負担が増えていくなら拒否権の利用も辞さない構えだとか云々。
労働党がかなりユーロ寄りだったので、きっぱりした態度は頼もしいと思いました。
自民党はユーロ派なので、この先どうなっていくか、面白いと思います。

miki bartley さんのコメント...

ロッテンマイヤーさんも、お返事が遅れてごめんなさい。
学校の特徴って、やっぱりありますよ。
ティムちゃんの周りには有名校出身者が多いのですが、やっぱりみていると面白い。
イートン出身のお友達は、カメロンさんと同じ話方をします。
話すタイミングとか声のかけ方とか、何となく「あ、同じ」ということがあります。

例を挙げると、カメロン氏とクレイグ氏が連立政権でやっていくという発表の記者会見の時。
記者が、カメロン氏に「以前、お気に入りのジョークは、と聞かれたらニック・クレイグと答えたことがありましたが」なんて、意地悪を言った時。クレイグ氏が(ポーズで)立ち去ろうとしたのを呼び止めるのに「カームバーック!」
発音の仕方もタイミングも、全てがそっくりなので、すごく興味深かったです。
ちょっと、お坊ちゃまぽぃ、上に立つことに慣れている仕草は、反感をもたれることもありますが、政治家の場合は、見ていて(私は)安心感を覚えます。