2019年11月17日日曜日

日本でも問題提起されている、水道会社の民営化

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通常の観光だけでなく、お仕事のお手伝いをするときもある私。
現地視察や各機関の訪問などを通じて、興味深いお勉強ができるのも、イギリスで観光ガイドしている魅力のひとつ。

先週はロンドンに水を供給しているテムズウォーター水道会社を訪問する機会がありました。
安全服に着替えてヘルメットもゴグルも身に着けましたよ!

私のおうちでもテムズウォーターが上水の供給と下水の処理をしてくれています。
今回のお仕事で、水道会社に興味をお持ちのお客様をご案内するわけですから、我が家の水道料金を調べてみました。
一例としてご案内したら面白いかなって思ったので。


これは、今年の水道料金の請求書。
私のおうちは古いアパートなので、各家庭ごとのメーターはありません。
大体こんなもんじゃないのって感じの、いい加減な請求書が年に1回送られてくるだけです。

私のブログをフォローしてくれている人は、エネルギー会社を選ぶ話とか覚えていてくれるかも。
イギリスの電気代とガス代(リンクします)

この記事で紹介したように、イギリスではガスと電気は民営化された上に、各会社の自由競争になっているので、消費者は利用する会社を乗り換えることができます。

ところが水道会社はそのエリアによって決まっているので、消費者は好きな会社を選ぶことができません。

というわけで、今まで1回も水道料金って気にしたことがありませんでした。
料金はティムちゃんの銀行口座からの自動引き落としだし、私は一切関知していないということです。

なので、今回請求書を見てびっくり。
もっと古いものもどこかにあるはずなのですが、請求書の入っているるファイルの中にあった中で一番古いのが2004年の請求書。
15年前です。

292.50ポンド。
15年の間で、料金が倍以上に跳ね上がったってことですね。
因みに2010年のものは453.20ポンド。


日本では、去年法律が変わって、地方自治体が管轄である水道事業が民営化可能になる下地が整えられたそうです。

なので、実際に民営化されている、外国での実態を見るのが今回の訪英の目的だそうです。

イギリスでは、日本とは逆に、再公営化へと世論は動いています。
民営化された後に、株主への配当が利用者の利益よりも優先されることが続いた弊害が、あちこちから指摘されています。

フランスのパリ市では、すでに水道が公営化されました。


せっかくなので上水処理場の写真を紹介しますね。
テムズ川からくみ取られた水は、いろんな方法できれいになっていきます。
テムズウォーターは、イギリスの首都ロンドンに水を供給している会社ですが、株主の多くは外国の投資ファンドだそうです。
会社の設備は民営化の前にあった建物がそのまま、そして中身は90年代初めに設備投資されたのが最後だそうで、いい意味でも悪い意味でもレトロな雰囲気が漂っていました。

それはテムズウォーターだけではなくて、他の民営化された水道会社も似たり寄ったりだそうです。
別会社のレクチャーでは、役員のオフィスがあるロンドンの本部はどんどんきれいにリノベーションされていくのに、現場は全く設備投資されないので、この先が不安なんてことも話してくれました。

来月の総選挙で労働党が勝利すると、80年代から民営化されていった各事業が再公営化されることになると予想されています。

選挙の結果は予測できませんが、ロンドン郊外の上水道処理場をご案内しながら興味深い時間を過ごしました。



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