2014年11月9日日曜日

戦争博物館に行ってみよう!

イギリスでは、11月は 戦争を考える機会が多い月です。

あさって、11日は第一次世界大戦の終戦記念日。
毎年この日の周りに戦没者の慰霊も含めてたくさんのイベントが行われます。

今年は時に第一次世界大戦から100年という年なので、記念行事も多くあります。


ロンドンにある戦争博物館でも第一次世界大戦のギャラリーが新しくなりました。
日本からのお客様はほとんど足を運ばない博物館です。

でも、もし時間があれば立ち寄ってください。
ウォータルーからバス59番ですぐです。

この博物館は第一次世界大戦中に作られました。
もとは悪名高きべドラム精神病院だったところです。
長らく休館して改装工事が行われていましたが、すっかりきれいになりました。

入口から入った吹き抜けの部分です。
 左手には第二次世界大戦でドイツ軍が送り込んできた無人飛行機V1とロケットV2。


手話や点字の説明も所々に加わりました。


 これは第一次世界大戦で使われた大砲です。
今までのものとの一番の違いは撃った後のショックを和らげる装置が付いていること。
なので、何発も続けて大砲を撃つことができるようになったのです。

それまでは決闘のようだった戦争が技術の向上で殺戮に変わったのです。


戦争の第一線では塹壕が掘られて、それも戦争を長引かせる原因になりました。


 この大砲は塹壕用に開発されたもの。
弾が横からではなく上から降ってくるのです。


また、地上戦で実際に使われた武器の数々。
まるで中世のような野蛮な武器ばかり。

 これなんかはスナイパーの隠れ蓑。
木の幹のつもりです。

カモフラージュという考えが始まったのもこの時期。
また、プロパガンダ用のポスターのためにもアーティストが戦争に起用されました。

博物館にはギャラリーの部分もあるので、絵画や彫刻も観ることができます。
これは、サージェントの「Gassed」
普段は社交界の肖像画を描いていたアメリカ人の画家です。
この博物館で名前を見るのは意外という人も多いのでは?


戦争時のポスターの数々も展示されています。



再度ヘルメットの着用が始まったのも第一次世界大戦の時期からです。
銃の使用が始まってから、それまで使われていた鎧や兜はいったん廃れてしまいます。
兵士たちは普通に羊毛の軍服を着ていただけだったのです。
それが、第一次世界大戦頃から身を守る道具が現れるようになりました。


これはマシンガンの射程の様子を表した展示。
2つの違う方向からマシンガンを撃って、そこを通る人たちを確実に殺したのです。
そこまでの誘導には有刺鉄線が利用されました。

展示は床の上だけではありません。
ふと見上げると変な形のオブジェ。
これは ツェッペリンからケーブルでつながれた見張り用の飛行船。

のどかな漁村にありそうな手漕ぎの舟。
場違いに見える展示にも歴史があります。
この漁船はダンケルクの戦いで活躍した漁船。
戦いといっても、包囲された30万人以上の兵士の大避難のこと。
港に大きな船が入れなかったので、小さな舟で沖まで兵士たちを運搬しました。

ドイツ軍が使用した、イギリスへの上陸作戦用の地図。
警備が強固な東海岸を避けて、南の小さな海岸を狙っていたのがよくわかります。


これは第二次世界大戦時のもの。
民家の裏庭には仮の防空壕が掘られていました。

でもロンドンの町中で、庭のない人たちはどうしたのかというと…。
おうちの中にこんなものを置いて、身の安全を図ったわけです。

第二次世界大戦では空からの攻撃で亡くなる人たちが多かったのです。
焼夷弾が天井からたくさんぶら下がっていました。
こんな風に飾るとアートのようですが、たくさんの人たちが亡くなりました。
焼夷弾というのは落下した後に火事を起こすための爆弾です。

でも実際はこれが体に当たってその怪我がもとで亡くなったりしたケースも多かったそう。


対空の武器開発も進んでいきます。
これはそんな一つ。
フラック36と呼ばれたこのモデルはドイツ軍が使っていた8.8cmの対空砲。
英国空軍の被害の3分の1はこういった対空砲によってもたらされました。


古いものだけではありません。
これは2007年にバグダッドで残骸となった乗用車です。

そして、これは2001年。
ワールドトレードセンターの窓枠の一部です。

ただ単にモノを見る場所というのではなくて、そこから何を感じるのかに個人差のある場所です。
ホロコーストの部屋など、子供には難しい展示もあります。
何を見るのかしっかり計画を建ててからお出かけください。

お子様連れの方はウェブサイトのスクールビジットの部分から年齢に応じたお勧めをチェックするといいと思います。




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