先日RSPCA を訪れる機会がありました。
RSPCA というのは、英国王立動物虐待防止協会の頭文字です。
1824年に設立されています。
英国には世界のパイオニア的な機関がたくさんあって、RSPCA もその一つ。
世界中の人たちが動物の福祉を考える時には無視できない存在なのです。
なので、日本をはじめ、たくさんの国から訪問者がやってきます。
理由は個人的な興味であったり、行政や企業の方針だったり。
さすが長年存続している機関だけあって、規模が大きい。
しかも運営は国の補助などを一切受けずに成り立っている。
これはRSPCA本部の受付横。
ディスプレイキャビネットには、第一次世界大戦の時に作られた軍馬のための野戦病院の資料が飾られていました。
RSPCAではペットだけではなく、野生動物や家畜など、あらゆる生き物の福祉を考えています。
そんな背景もあって、乳牛のモニュメント。
訪れた人たちのサインが体中に書かれていました。
おでこにはトニーブレア。
また、ここ2年ほどで急成長している販売の部門。
その製品などもディスプレイされていました。
ペットのえさや教育用の書籍、アクセサリーなどいろいろ。
3階建ての建物で、吹き抜けを囲うようなデザイン。
明るくて開放的。
ここで働いている人はペットと一緒に働いてもいいそうです。
なので、ワンちゃんたちをたくさん見かけました。
ネコちゃんも連れてくるのか聞いたら、誰も連れてこないそうです。
理由はおとなしくデスクの横に座っていることができないから、だそう。
虐待されているペットの救出などで有名なRSPCAですが、それは活動のほんの一部。
RSPCAの中にはFreedam Food という部門があります。
これは、RSPCA の基準を満たした条件で家畜が飼われている証明制度。
つまり商品にここのロゴが付いていれば、その家畜は苦痛や虐待を受けていないということ。
この証明を受けるために、農家は検査の費用を実費負担する必要があるそうです。
立ち上げられてから、20年を迎えました。
希望する農家は誰でも参加することができるそうです。
ただ、RSPCA の基準はかなり手厳しいです。
また、守らないといけない基準は2~3年ごとに更新されています。
その都度さらに厳しいものになるケースが多いそう。
農家の人たちがその基準を満たすためにはお金もかかります。
例えば同じ大きさのところにたくさんの家畜を詰め込む方が安上がり。
だけど消費者は少しくらい高くても、ロゴのついた商品を買います。
なのでこのロゴが付くのなら、投資の価値はあるわけ。
そうして動物の福祉に貢献するといったサイクルです。
このFreedam Food が今回ロゴを変えるそうです。
これが新しいロゴ。
カラー版はこちら。
来年の中ごろから大々的に発表予定だそうです。
今までのロゴとの違いは、RSPCA を前面に出したこと。
20年の実績をもとに、やっと正式に認められたってことです。
Freedam Food というコンセプトは世界でも初の試みでした。
軌道に乗るまでは、本家に傷がつくような事態にならないように、わざと距離を置いていました。
リサーチによると、英国でのRSPCAの認識度はなんと96%。
Freedam Foodは、まだ24%。
なのでこのロゴの変換で、知名度がぐっと上がることが期待されているそうです。
知名度が上がれば、消費者の認識も高まって、参加する農家も増えるでしょう。
いつか英国中の農家にこのロゴが付くことになればいいなぁ。
ちなみに現在英国では養殖のサーモンと卵用のニワトリのロゴ取得率が高いそうです。
サーモンの養殖は3年間の養殖時間がかかります。
なので、その期間サーモンが健康で健やかに育っていれば経済的にも利点があります。
また、比較的新しい産業なので投資がしやすいのも理由。
逆にニワトリのサイクルは短くて、たったの40日。
ニワトリの福祉なんて考える企業は少なかったのです。
そこで20年前は檻の中で育てられるケースが80%を越えていました。
1羽あたりA4 の紙程度の大きさの、全く動けない檻です。
現在は檻に入れられるニワトリの数は50%にまで減りました。
檻で育てられたニワトリの卵は扱わないスーパーマーケットは
Waitrose,
The co-operative,
M&S
Sainsbury’s
以上の4社。
逆に一番低いのは乳牛で、1%だけですって。
理由はスーパーマーケットが牛乳を安く買い叩いていていること。
農家に余裕がなくて、投資する費用が捻出できない。
消費者がもっと商品を選ぶようになればいいのに。
値段だけで選ぶ時代は終わりにしないと。
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