2016年5月3日火曜日

イギリスの薬局で行われている、びっくりなサービス

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イギリスには2015年3月の時点で、11,674の薬局が存在します。
2014年から2015年の1年間で、薬局で渡されたNHS(イギリスの国民健康保険制度)からの処方箋によるお薬の数は9億7830万アイテム に上ります。
前年比で3.2%の増加。

もちろんこの数字意外に、薬局では処方箋の要らないお薬や、薬局以外でも扱えるお薬の取り扱いもあります。

イギリスの薬局の約60%はチェーンの薬局。

Boots が一番有名。
忘れがちですが、スーパーマーケット内にある、スーパー直営のお薬屋さんもかなりの数。

加えて地域の小さなお薬屋さんや、最近ではオンラインのお薬屋さんも。

ということで競争は激しいわけですよね。

色々な薬局が、それぞれのサービスで顧客の確保に躍起になっています。


さて、各薬局はNHSと契約を結んでいて、いろんなサービスを顧客に行います。


特に最近では家庭医(GP)の負担を軽くするために、薬局でできることが増えています。

例えば予防注射。
薬局で、トレーニングを受けた薬剤師さんから接種できます。

また、お薬の使用見直し(Medicine Use Reviews)とか、新処方常用薬サービス(New Medicines Services)などといったサービスもあります。

MUR は服用しているお薬をもって薬局に来てもらい、用法とか、副作用の説明とか、困っていることがないかどうかとか、処方されているお薬のいろいろな相談に乗るサービスです。

NMSは新しい常用薬を処方された時に、初めの1か月間に3回ほどの面談を行って、副作用が発生していないか、間違った使い方をしていないか、きめ細かなモニタリングを行うサービス。

2015年には10,916の薬局で約320万回のMURがサービスされました。
そしてNMSは9,308の薬局で775,998回サービスがありました。

こういったサービスは高度なサービスで、個室や特別なエリアで行われます。
なので、どこの薬局でも取り扱っているわけではありません。


今回こんなお話を伺った、イギリスで評判の薬局。
グリーンライト薬局です。

そして、この薬局で驚くべきサービスが発覚…!

薬局では、処方箋の取り扱いがあるといった、基本サービスに加えて、上で紹介した高度なサービスがオプションで加わります。
そして、そこにさらに加えることのできるのがその地域性を取り入れた特殊サービス。

その地域の人々の健康度を高めるために組まれた特殊サービスってカンジかなぁ?

見学させてもらった薬局があるのはロンドンのカムデン区。
この地域で、特殊サービスを実施している薬局リストを参考までにリンクしますね。



薬局の教育担当、サイモンさんがグレイのパッケージを開けると、中身はこんな風。

ひとつひとつ説明していきますね。

このパッケージは希望者に無料で提供されるものです。
中から出てきた説明書。
 カムデン・針取り換えサービスと書いてあります。

これは薬物中毒の人に対するサービスなのです。

説明書には、注射を安全に打つためのヒントなんていう欄もあります。

さて、いったいどんなものが入っているのでしょうか?

頑丈なプラスティック製のいれもの。
使い終わった注射針を捨てるための容器なんです。
この入れ物に入れて薬局まで持ってきてもらい、そこで安全に処理します。


薄い金属製のスプーン。
テレビドラマで普通のスプーンを使っているところを見たことがあります。
粉末のヘロインをこのスプーンに入れて、下からライターで熱くして液化させるんです。
サイモンさんに聞いたら、使い方は合っていると言われました。

これは消毒用のワイプ。
注射するときに肌を洗浄するためのもの。

消毒済みの注射器のシリンダー。

針もいろんな種類が含まれています。

これはクエン酸。
何に使うの?と思ったら、注射したところの痛みを和らげる役目があるんですって。

そして、これは何とコンドーム‼

このパックの目的は、薬物中毒の人たちが注射の針をシェアすることでB型肝炎やHIV が広がってしまうのを防ぐため。

なので、感染予防という意味合いでコンドームも入っているというわけです。

病気の感染予防。
これは薬物中毒の人たちだけの問題ではなく、このコミュニティー全体にかかわる健康問題ととらえているのです。


でもやはりいろんな意見があって、賛成の人ばかりではないサービスだそうです。
私も話を伺いながら、痛みを和らげるクエン酸のところで、そこまでする?って思いました。
こういったものを提供することで、薬物中毒を促しているのでは?という意見がよく聞かれるそうです。
でも、中毒の人たちは止めてもどうせ打つんだから、だったら伝染の蔓延を頭に入れての対処法がが必要といった考え方だそうです。

また、中毒の人が定期的に薬局に足を運ぶことで、薬剤師さんたちとの信頼関係が生まれて、適切なアドバイスセンターなどを紹介できたりする効果もあるそうです。

他にも性関係を持った翌日(実際には72時間以内の服用)用の緊急避妊薬(経口)の無料お渡しもあるそうです。
日本でもモーニングアフターピルで通じるお薬があるそうですね。

こんなサービスがあれば、無責任な性関係が増えるんじゃないのとも思いますが、やっぱりこのサービスがないと、望まない妊娠の数も増えるので必要らしいです。

この薬局には地下にスペースがあって、ロンドン大学薬学部とタイアップして、学生さんたちが実地トレーニングに来るそうです。

地下の入り口に通じるドアの看板。

薬局の中にはバングラディッシュ出身の人も働いています。
この地域に多い人種だそうです。
英語ができない人も多く、母国語でサービスできるような配慮だそうです。

 店舗デザインは人の流れが交差しないように計算されていて、すっきりした造りでした。

イギリスの薬局、日本といろいろ違うでしょう?




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