先週から、イギリスにおける認知症の実情を視察するお客様のお手伝いをしています。
認知症ケアを提供しているホームケアサービス会社にお邪魔したり、看護のためのコース提供施設を視察したり、いろいろ興味深い内容。
今日は認知症を患っている人たちを対象にした、デイケアセンターの様子を紹介したいと思います。
お客様にいただいた数字ですが、日本って、潜在も含めると、800万人の認知症患者が推定されているそうです。
イギリスは日本の半分強しか人口はありません。
高齢者の数も、日本に比べると少ないです。
それでも2020年には認知症患者の数は100万人に達するかもと推定されています。
日本との違いは、こういった分野ではチャリティー団体がかなりのシェアでケアを担当しているといった事実です。
今回お邪魔した、Age UKハウンスローのセンター。
毎週火曜日の午前中、認知症の人たちへのアクティビティーが行われています。
認知症であることから、外に出ることが少なくなると、社交といった面が少なくなります。
週に一回でも、通える場所があるというのは精神面にとても良い影響があるそうです。
みんなでお茶を楽しみながら、アクティビティーに参加する人たち。
(写真の許可は取ってあります)
実はこういった集まりは看護の人のためでもあるのです。
ケアをされている人たちがこういったセンターに来て楽しんでいる間、ケアをしている人たち同士が交流を図ることができるといった利点。
そんなことは考えたこともなかったんですが、精神的にかなりきついのが看護。
特に長期間にわたる看護は、家族であっても大変。
また、ビジネスと割り切っている人でさえ、ストレスのたまるお仕事です。
なので、同じような境遇にある人同士のコミュニケーションは貴重だそうです。
一人一人に話しかけている講師のマイクさん。
彼はこのハウンスロー地区で長年教師をした後、早期リタイアをしてボランティアーに生きがいを見出しているそうです。
回想法というのは認知症の人たちの楽しい思い出を引き出すことで脳に刺激を与える治療法。
治療法と書きましたが、認知症には今のところ治療法はありません。
でも進行を遅らせる方法はいくつかあるそうで、この回想法もそんな一つ。
マイクさんが持っているのは写真。
この人たちが若かったころに流行った俳優さんや歌手のもの。
この人覚えてる?
それじゃあこんな歌は?
そんな風に、問い詰める形ではなく、自然な質問の仕方で記憶をたどるのです。
そして、古い歌に合わせて自然に体が動いていきます。
さあ、右手をとか、みんなで一緒に、とかではなく、あくまでも自然に。
マイクさんも一緒に。
その時代のことに思いを馳せると、若い時の楽しい記憶が、ふっと蘇るのです。
そして、何人かはすらすらと歌手の名前や曲名を口にしました。
もちろん勘違いしていたり、間違いもいっぱい出てきます。
でも気にしない。
マイクさんはそんなたくさんの意見をうまくまとめて場を盛り上げていました。
マイクさんによると、楽しい記憶は心の中にいつも居場所があるそうです。
それを時々取り出して幸せな気持ちを感じることが、認知症の人たちに有益だそう。
認知症でなくても、楽しい思いでって私たちを幸せにしてくれます。
将来認知症になったら、私はどんなことを心の底で覚えているだろうって考えました。
毎日を楽しんで生きていくべきだって再認識しました。
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