2012年9月14日金曜日

ラファエル前派って?


この作品は、テイト美術館の「絵葉書売り上げナンバーワン」だと聞いたことがあります。
どこで、誰から聞いた話だったか、すっかり忘れましたから、正確な情報ではありません。
それでもそう言われると、納得してしまいます。
確かに絵葉書もステキですが、実物にはかないません。

ラファエル前派の絵画は、その場に足を運んでみないと、良さがわかりにくいと思います。
もちろん、全ての絵画がそうですが、特に。

ラファエル前派というのは、イギリスで起こった、アートの動きのひとつです。
時代は工業化が進む、ヴィクトリア時代。

イギリスのアカデミーでは、簡単に言うと「伝統的な絵」がお手本になっていました。
ぼかした風景だとか、暗い色調だとか。
それに真っ向から反対したのが、まだ若い画家のグループ「ラファエル前派」です。

「ラファエル」は、もちろん、あの巨匠のラファエルです。
ラファエル前派が目指したのは、ラファエルがでてくる前の、中世の芸術です。
フレスコや祭壇画などのはっきりした線、色鮮やかさ、シンボル。
例えば、国立美術館の、セインツブリー館に展示されているような絵画のことです。

彼らは、カンヴァスを白く下塗りしました。
そのために、上に乗せた色はより鮮やかに見えます。
入念に下調べをして、正確さに気をつけました。
衣装や髪型の考証などのために、大英博物館にも通いました。
また、屋外のスケッチに長い時間も費やしました。
ハントなんて、背景の為だけに、わざわざ死海まで旅行をしています。

彼らがモデルに使ったのは、自分たちの友人や家族。
モデルを専門にしている人たちではなくて、本物の人間。
絵画の中に、現実味を持たせるための、試みの一つです。

また、初期の彼らは、自分たちの主義主張を体現するために絵を描きました。
注文主の希望を描く、注文制作ではないのです。
描きたいものを描いて、売れればそれでよし。
そんなスタンスです。

現在で言えば、学生時代のバンドみたいなものかもしれません。
大人になるにつれて、主義があわなかったり、いざこざが生まれたり。
そして、解散になってしまうところも同じ。
ラファエル前派の主なメンバーは、
ウイリアム・ハント、ジョン・ミレー、ロゼッティー、バーン・ジョーンズ、ウイリアム・モリスの5人。
この5人以外にも、付かず離れずといったメンバーもいます。

少し前に BBC でラファエル前派のストーリーがドラマ化されました。
DVD が出ていますから、興味のある方はどうぞ。
「Desperate Romantics」というタイトルです。(リンクします)

以下のおすすめはテイト所蔵なので、この特別展示が終わっても観ることができます。
人気のある作品なので、解説は近いうちに書きます(笑)

オフィーリア(ミレー)
家族の家にいるキリスト(ミレー)

V&Aにあるもの

国外だけど、機会があったら是非
この作品は13年1月までテイトで観ることができます。



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