2009年1月29日木曜日

バビロン展 伝説と真実

大英博物館には中央にグレートコートと呼ばれる場所があります。
西暦2000年を記念して改装された部分ですが、インフォメーションデスクやカフェなどがあって、いつもとてもにぎやか。
天井がガラス張りなので、とても明るく、ただ座って通り行く人を見ているだけで、幸せな気分になれるところです。
特に大英博物館の正面入り口から入館すると、重々しい雰囲気の建物の中にいったん入るので、そこを抜けきってグレートコートに入ると自然に感嘆がもれる仕組みになっているのです。

そのグレートコート2階に設けられた特別展示、「バビロン、伝説と真実」を見てきました。
メソポタミア地域は私の好きなエリアなので、少し興味があったのが訪れた主な理由です。
もうひとつ、2月はじめにイスラム美術の勉強会に参加予定なので、その下準備の一環でもあります。

大英博物館の本館は入場無料なのですが、こういった特別展示は有料です。
スポンサーがついて、無料化されることもありますが、そういった機会は滅多にありません。
この展示は11月13日から3月15日まで。

グレートコートに設けられているチケットオフィスで、時間制のチケットを購入します。
混んでいなければ、そのまま入れるタイミングのものを用意してくれますが、もう少し後のほうがいいとか、希望も聞いてもらえます。
階段を上がっていくと入り口はこんな感じ。内容ですが、正直なところ、メソポタミアや聖書に興味のある人以外にはお勧めしません。
かなり渋い仕上がり(笑)
特別展によっては、「来た!見た!」というだけで感動するものもありますが、これはもう少し地味に楽しむタイプの展示です。
一般的な興味程度でしたら、わざわざ特別展示に入らなくても、本館の北入り口のイスラム教の世界(Room34)と、北館アッパーフロアーのメソポタミア(Room55,56)で十分楽しめます。

華やかさはないんですが、もちろん展示がつまらないと言っている訳ではありません。
興味さえあれば十分に楽しめます。
この展示で私が面白いと思ったものの一つがこれ。バビロンの地図です。
二重の輪の中、上部にバビロンが位置づけられています。
これは地理的な重要性よりも、バビロンの伝説を説明するために使われたそうです。
二重の輪は海を表していて、その外側には三角で8つの島が描かれています。
そこには伝説の怪物やヒーローが住んでいた、と考えられていました。

これを見たときに私が思い出したのが、小野不由美さんの小説「十二国記シリーズ」です。
架空の世界のお話なのですが、その世界の地図が何となくこれに似ています。
私は彼女のファンではないのですが、少し前にファンの方をご案内差し上げる際の参考に、単行本を買って読んだんです。
なんだか世の中、変なところで繋がってるなぁ・・・。

もうひとつ面白かったのが、バベルの塔の絵。
昔からたくさんの芸術家の創作意欲を刺激してきた聖書の物語のひとつです。
特にブリューゲルのものが印象深いかな?
普段はウィーンの美術館にあります。
この作品をもじった絵がたくさん並んでいました。
その中から一枚。
これは写真なので少し見にくいかも知れません。
クリックすると大きくなります。
(別の映像がちょっと反射していてごめんなさい)バベルの塔の絵の少し後がこの展示の出口なのですが、そこにはイラク戦争のためにたくさんの遺跡が破壊されたことが淡々と語られていました

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Mikiさん、こんにちは。
大英博物館には何回か足を運んだことがありますが、Mikiさんのようなガイドの方と一緒に行けたら、とても楽しそうですね。
ミロのビーナスやミイラを見て、わぁわぁきゃぁきゃぁ喜んでいるだけでは、本当の価値なんぞわからないんでしょうねぇ。
そう言えば、ルーブル美術館も何回行っても僕にとっては猫に小判でした・・・。

バビロンですね。
ブリューゲル作と言うバベルの塔の絵は、昔美術の教科書に出ていたのを記憶しています。
僕は本当に知性に欠ける男ですので、「バベル」と聞くと昔のマンガの「バビル2世」を思い出してしまいます。

その昔パリで出会った初老の日本人の商社マンも方が、ヨーロッパを旅するなら、歴史と絵画とワインを勉強したら楽しいですよ・・・と教えてくれました。
その時の教えに素直に従っていたら・・・と今更ながら後悔しています。

Miki Bartley さんのコメント...

Nomoさん、こんばんは。
自分で言うのもなんですが、私のガイドは結構楽しいと思います。
自分で好きなものしか案内しないからかな?

歴史と絵画とワイン、そうですね、この3つはヨーロッパでは知っていると楽しいと思います。
でも必須ではないですよ。
楽しみ方は人それぞれですから。
それにわかってる人達ばっかりだったら、ガイドのし甲斐がないです(笑)