もう2000回以上足を運んでいるのに、それでも新たな発見が毎回あります。
でも、私がガイドになったころに比べるとずいぶんいろんな変化があります。
まず、見に来る人が増えた!
調べてみると私がガイドを始めた1990年代には400万人ほどだった年間入場数が現在は650万人。
どこのギャラリーも混んでいるわけですね。
現在は混みすぎないように入場は無料ですが予約が必要になっています。
各ギャラリーも混雑に対応してルールが設けられていたりする。
例えばミイラの部屋のいくつかはガイド禁止。
5人以内の少人数であってもダメという決まりです。
そして、ロゼッタストーンの周りもガイド禁止。
いつもすごい人だかりだから、これも仕方ないです。
では実際ロゼッタストーンのガイドするときはどうするか。
実は別のギャラリーにレプリカがあるので、そこで詳しくお話をしてから本物を見に行きます。
レプリカだから触ってもいいしね。
場所はエンライトメントギャラリーといって、もともと図書閲覧室だった部分。
この碑石には3種類の文字が刻まれています。
赤で囲んでみましたよ!
上から象形文字、デモティック、そして古代ギリシャ文字の3種類。
というのもこの碑石が彫られた約2000年前のエジプトではこの3種の言葉が利用されていたから。
象形文字は英語でヒエログリフといいます。
「神聖な彫刻」という意味で、5000年ほど前からエジプトで石に刻まれたものが存在しています。
ロゼッタストーンが彫られた時代、象形文字はエジプトの僧侶たちが使っていました。
民間の文字を使わないので彼らの間だけで知識を保つのには好都合。
民間の文字は真ん中のデモティック。
文字が進化していくと、象形文字よりもっと簡単に書くことができるように絵が少なくなっていって民間の人たちが使いやすくなったものがデモティックです。
そして一番下は当時のエジプトの王族、マケドニア系なので古代ギリシャ文字。
さあ、それでは古代ギリシャ文字からデモティック、そして象形文字といった風に訳せるんじゃないかと思いますよね。
でも失われている部分がかなりあります。
特に象形文字の部分。
なのでそんなに簡単に翻訳は進まなかったのです。
ところでイギリスがこのロゼッタストーンを手に入れる前にフランスのエジプト科学研究所は碑石の表面にインクを縫って紙に写し取ったコピーを何部も作っていました。
ですから碑石の研究はフランスとイギリスとで、別々に同時に進行していました。
いつも通りピンボケ写真で失礼(笑)
なるべく自分で撮った写真を使いたいので←腕を磨けばいいのでは?
実はロゼッタストーンに出てくる象形文字の丸で囲んだ部分には長いものと短いものがあって、こちらは短いもの。
こういった丸で囲んだ文字群はカトゥーシュとよびます。
イギリスのトマス・ヤングという学者が象形文字に魅入られたのは1814年ごろのこと。
トマス・ヤングはこのカトゥーシュが「プトレマイオス(Ptolemy)」というファラオの名前を表すことに気づきました。
当時の学者たちは「ヒエログリフはすべて絵(概念)を表す表意文字だ(つまり漢字のようなもの)」と考えていました。
でも彼は名前などの固有名詞は、文字がアルファベットのように特定の「音」を表している(つまり平仮名やカタカナのようなもの)と考えました。
トマス・ヤングはその後、象形文字の複数の文字の音価(発音)を正しく特定しました。
そして、ロゼッタ・ストーンに刻まれていたデモティックの研究を進めて、その多くを解読・翻訳することに成功しています。
また、デモティックがヒエログリフから派生したものであるという文字の連続性も発見しています。
彼はこういった内容を1819年にブリタニカ百科事典の「エジプト」に匿名で発表しました。
ところがフランスではジョアン・シャンポリオンが1822年9月27日パリで開催された碑文・文芸アカデミーの会合で象形文字の解読を発表しました。
まるで一人で謎を解いたかのような発表に気を悪くしたトマス・ヤングは1823年に『象形文字文学とエジプトの古代遺物に関する最近の発見の報告(リンクします)』を出版しました。
そして、挑発的な副題「シャンポリオン氏によって拡張された著者のオリジナルのアルファベットを含む」を付けています。
その後もシャンポリオンは象形文字の研究を続け、1836年(死後4年後)に『エジプト語文法』が出版されています。
そしてヤングの方はイタリア人言語学者アメドロ・ペイロンからの助言がきっかけで晩年の数年間をデモティックの研究に費やしました。
そしてこちらも彼の死後、1831年に『古代エンコリアル文字によるエジプト語辞典の基礎』として出版されました。
1829年にヤングが亡くなった後、彼の未亡人はウェストミンスター寺院に彼の功績を称える銘板を設置するよう運動しました。
そこには、彼の数々の業績の中でも特に、「エジプトの象形文字を長きにわたり覆い隠していた謎を初めて解き明かした人物」として彼の名が刻まれています。
ライバル同士だったヤングとシャンポリオンですが、イギリスとフランスが敵対していた時代でなければ協力してもっとたくさんのことをもっと早く世に出せたかもしれません。
ところで象形文字って右から読むか、左から読むかご存じですか?
答えは両方!
象形文字の中に鳥や動物が出てくるので、その顔の向いている方向から読むというルールがあります。
イギリスの観光ガイドはライセンス制です。ご予約の際は英国政府公認ブルーバッジガイドを雇用しましょう。(リンクします)
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