2008年10月6日月曜日
STATUEPHILIA
STATUEPHILIA
造語なんですけど、こうやって書くと何のことかと思いますよね。
大英博物館でやっている特別展示のタイトルです。
STATUEは彫像のこと。
-PHILIAというのは簡単に言えばマニアのことです。
辞書で引くと病的愛好って書いてありますけど、ちょっとね。
最近ブログがあまりにも「食欲の秋」しているので(笑)「芸術の秋」にするために早速行ってきました。
まず正面入り口から入ったら、いきなり目の前にこの作品。英国には見ただけでどこにあるかスグにわかるという有名なランドマークがいくつかありますが、これの超巨大なものがイギリスの北東、ニューカッスルにあります。
正確にはGatesheadという地名で、ニューカッスルのタイン川を挟んだ南側です。
これ(ニューカッスルにあるほうの作品)は北の天使と呼ばれていて、作者アントニー・ゴムリーの代表作品です。
大英博物館の中には古代の王様や神様の像がたくさんありますが、「人間のカタチをしていながら人間ではない」それらのものを抽象的に現しているのがこのCase for an Angel 1です。
ゴムリーは「彫刻家になったのは子供の頃から親しんできた大英博物館の展示物のおかげだ」と言っています。
お次はギリシャのパルテノン神殿の展示の方向に進んでください。
エーゲ海に面して立っていたモニュメントに囲まれた部屋にいきなり金の像。
すごい格好をしていますが、よく見ればモデルのケイト・モス。タイトルはギリシャ神話から「セイレーン」
船乗りたちを惑わせて、その命を奪う恐ろしい魔物です。
作者のMarc Quinnは70年代に大英博物館であったツタンカーメンの特別展示を意識しているそうです。
ケイトモスは「最も美しい女性」とよく形容されます。
美の定義と合わせて、セイレーンがその歌声を響かせた代わりがこのポーズなのでしょうか・・・?
結構考えさせられます。
グレイトコートから北出入り口に向かっていくと、生と死のギャラリー。
イースター島のモアイ像の前に横たわっているのがロン・メックのマスクII という作品です。
これは自画像らしいのですが、本人はこの作品に関してはノーコメントだそうです。
次の作品はエジプトの部屋にあるものなんですが、今回の展示で私は一番興味深いと思いました。
棒の先に動物の死骸らしきものがまとめられています。
制作はティム・ノーブルとスー・ウェブスター。何これー???
と思ってよく見れば、光が当たっているので、影ができています。
顔だ!!でも棒に刺さったその影は、まるで中世に処刑された首のさらしものみたい・・・。
見る方向でまるで違った結果になるのが面白い。
飼っているネコがいろんな死骸を持って帰ってくるので、それで作ったそうです。
「げっ、猫飼いたくない」と思ってしまいました。
猫ちゃんを飼っている人、どう思いますか?
最後は最初の写真のズームアップ
デミアンハーストです。
この部屋はジョージ3世の図書館だったんだけど、今はエンライトメント・ギャラリーと呼ばれて、「啓蒙の時代」というテーマで展示物が並んでいます。
この頭蓋骨はみんなプラスティックだそうだけれど、こんな風に並べたら収集に対する醜悪に対して考えてみたくなりました。
この特別展示は2008年10月4日から翌1月25日まで。
大英博物館には紀元前のモノも含めて彫像がたくさんあります。
この特別展示では、現代の最先端の芸術家が大英博物館のコレクションに反応するカタチになっています。
私はこのブログでもよく取り上げることですが、美術館や博物館では何と何を一緒に見るか、何の後に何を見るかといったことがとても大切だと思います。
そういったことを実感できる、とても質の高い展示になっていますので、これはお勧め。
ぜひ見に行ってください。
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8 件のコメント:
みきさん、こんにちわ!
うわぁ~正面入り口からスゴイですねぇ。
“人間のカタチをしていながら人間ではない”・・・かぁ。なるほど!!
あっ、「モアイ像!!」
エジプトの部屋のは、ちょっと気味悪そうだけど、何となく見てみたいです!
でも・・・飼ってるネコが持ってきた死骸で作ったなんて・・・・・嫌だなぁ。
私の実家にもネコがいますが(マメタロウ・・と言います!)、確かに外に出ると虫とか連れて帰ってきますね。
その度にビックリして飛び跳ねてますが、速攻捨ててます!!!(笑)
特別展示・・・行ってみたいなぁ。
でも、日本に帰国しちゃうから今年は行けないなぁ。
まめ子ちゃん、こんばんは。
えっ、帰国って一時帰国ですよね?
それとも本当に帰っちゃうんですか?
もしそうならちょっとイギリスは遠いですよね。
猫ちゃんの名前、笑っちゃいました。
まめ子ちゃんちのマメタロウ。
ゴロがよすぎます。
やっぱり猫ちゃんっていろんなものを持ってくるんですね。
私は飼ったことがないので、実感が今ひとつです。
ケイトモスの金キラ像はそのお値段やポーズであちこちで話題になってましたよね。
私にはどーも意味がわかりませんが・・・。
ケイトモスも複雑な気持ちなんでしょうか?
影が人間の顔にみえる作品は興味深いですねぇ。見る角度によっても顔ですか? それとも全然違うものにみえるのかな?
美術館や博物館は久しく行ってないなぁ。
みきさんの芸術の秋ですね。
なんだかスゴイモノの展示ですね。
うちのネコたち完全に室内飼いなので、戦利品は持ってきません。
家の中で、虫を見つけると、おいまわして狩りをします。
それでもさすが飼いネコ、迫力ありません。
見てるとぱくっと食べてることも…
みないフリします。
みきさん、こんにちわ!
芸術の秋ってことで、博物館行かれたのね~。なんか、すごい作品多いですね。
あっ、そうそう、その大きなお面、私日本の金沢にある、21世紀美術館”てとこで、見ました~。
たしか、ロン・ミュエックじゃなかったかな?
人間の皮膚そのもののような、シリコンで巨大な作品作ってありましたね。
赤ちゃんなんか、血管見れて、ものすごく、生々しかったです~。
呼び名が、違ってたけど、イギリスでは、ロン・メックって言うのかな?
マダム、お返事が遅れてごめんなさい。
ケイトモスも含めて大英博物館の中に5点、このテーマで作品が点在しているんですが、はっきり言ってこの周りにだけ人が群がっています。
パルテノン神殿の少し手前だし、立地かな、とも思ったんですが、どうやらそれだけではなさそうです(笑)。
ティムとスーの作品は午前中に行った方がいいです。
午後見ると西日が差すので影がボケてよく見えません。
影は角度で変わらないのですが、モノのほうは違って見えます。
Rossoさん、お返事遅れてごめんなさい。
Rossoさんのところは室内猫ちゃんなんですね。
この作品、本当に気持ち悪いですよ。
よくみると、というか、本物の死骸の寄せ集めですからね。
虫を食べちゃうくらい、かわいいものだと思います(笑)
EMIさん、お返事遅れてごめんなさい。
多分発音はミュエックの方が正しいと思います。
イギリスではみんな発音しやすいように、勝手に変えちゃうんですよねー。
特に人の名前は日本人とイギリス人では読み方が違う場合がよくあります。
日本のほうが普通は本物の発音に近い場合が殆どです。
だからイギリスに住んでいる外国人は自分の名前が違って読まれることには慣れっこで、簡単な英語名をニックネームに添える場合もよくあります。
私の名前は短いので、よくイギリス人から「それであなたの本名は?」とよく聞かれます。本当に「みき」だっていうと驚く人もいます。
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