これは、V&Aのルネッサンスのお部屋にあるタッツァです。
タッツァ(Tazza)というのは、飲み物のカップのことです。
「えー、お皿じゃないの」
と思うでしょう?
横から見ると、深さがあることが確認できます。
ほらね?これは、ルネッサンス期にベネチアで作られた、赤ワイン専用のグラス。
なるべくワインが空気に触れるように、というデザインなわけです。
「ただ液体を口に運ぶ道具」としてのカップの存在が、「用途に合わせて細分化したもの」ということ。
現在、高級レストランに行くと、ワインの種類に合わせてグラスを選んでくれますよね。
その極端な例と思っていただければ差し支えないと思います。
赤ワインの色合いを楽しむためには、ガラスの色は無色が理想。
そこで、ベネチアのグラス。
その当時、他の地域でガラスが作られていなかったわけではありません。
ただ、無色のガラスというのは、作り方がそれほど知られていなくて、この技術のためには、途方もない金額が支払われました。
ベネチアでは、すでに15世紀には、ある種のクリスタルガラスが作られていたそうです。
その後タッツァはどんどんその本来の目的を離れて装飾的になっていきます。
そうしていつの間にか、ワインを飲むためのものであったことすら、想像するのが難しくなっていくのです。
単純に装飾のために使われたり、実用的なところでは味付けをしたフルーツを盛ったり。
素材も銀や金などのメタルや、陶器などが使われることもありました。
基本の形はそれほど変わらないので、スタイル(流行)の推移を見るのに利用すると面白いです。
V&Aのサイトで、タッツァをサーチしてみると、こんなに出てきます。
ひとつひとつクリックして、お気に入りを探してみてください。
http://collections.vam.ac.uk/search/?q=Tazza&quality=1&limit=45&offset=0
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