ドイツに住んでいる
Pharyさんのブログを読んで、少し旅行会社のことを考えてしまいました。
私はもう15年以上旅行関係のお仕事をしています。
オフィスの中で、手配の仕事もしていましたし、添乗員の経験もあります。
アシスタントもやっていましたし、現在ではフリーランスの観光ガイドが本職です。
旅行会社に携わっていない人から見れば、誰がどんな役目なのかさっぱりわからないかもしれません。
イギリスにある旅行会社は「オペレーター」と呼ばれています。
この中が大きく幾つかのセクションに分かれますが、お客様に関係があるのは「インバウンド」のセクションです。
「インバウンド」ではこの国に来られるお客様のためにイロイロな手配をします。
例えばバスやガイド、ホテルの手配などです。
インバウンドのオペレーターは日本の旅行会社から仕事を請け負います。
同列の会社であっても、それはお仕事、ということで、
「ツアーA、ホテル何室、バスの拘束が何時間、ガイドの必要なのは何日」といった契約が結ばれます。
例えば日本のお客様が、xxという旅行会社で「旅行」を買ったとしても、xxという旅行会社が現地で手配をしているわけではありません。
同列会社のxxAという会社が実際の手配をしているかもしれませんし、同列会社が存在しないところでは、全く別のBというオペレーターを使っているかもしれません。
同列会社が存在しても、値段やその他の事情から、Cというオペレーターを使うところもあります。
ですからお客様からすれば、何かあったときにどこに連絡すればいいのか、ということがわかりにくいのです。
旅行中に何かあったときの緊急連絡先として渡されるのは、通常こういったオペレーターのインバウンドの電話番号です。
オペレーターはたくさんのツアーをいろいろな会社から請け負っているわけですから、正規のツアー番号がないと、お客様を特定するのは大変難しいのです。
私がまだオフィス勤務だったときにも、よくお客様から電話がかかってきました。
「ロンドン8日間の旅で来ている、**ですが・・・」
これでは全くどこの誰だかわかりません。
通常はアルファベットと数字の組み合わせのツアー番号がありますから、それをいうと話が早いです。
「ツアー番号、GYE-709356、日本出発日*月**日のツアーの**ですが・・・」
その情報からわかることというのは、日本の旅行会社から、どんな内容の手配を請け負っているか、ということです。
ですからここで対処できるのは、請け負っている内容に関すること、といえます。
例えば予約されているはずなのに部屋がないとか、バスが遅れたとか、ガイドが来なかったとか。
そういったこと以外は、契約には含まれませんから、対応する、しないというのは旅行会社によるわけです。
例を挙げると、あるお客様がスリにあったとします。
お客様は緊急連絡先に電話をして「警察に届けを出さないといけないが、英語ができないので、ナントカして欲しい」
こういったケースではお客様の負担で通訳を雇っていただかないといけません(旅行会社はその手配はしてくれます)
通訳の費用がかかるといわれて、びっくりする人がたまにいますが、人を使ってお金がかかるのは当たり前です。
その費用が後からお客様の保険でカバーされるかどうかは、保険会社や入っている保険しだいです。
電車に乗り遅れた、とか飛行機に間に合わなかった、という時には、現地の緊急連絡先に相談して、一番いい方法を考えてもらうのが一般的ですが、それはもちろん追加の手配、ということになります。
また、どれくらい一生懸命やってくれるかどうかは、本当にその人しだいです。
「残業はしたくないから、今日はこれで終わり、明日の9時以降にまたお電話ください」
なんていうことももちろんありえます。
最近はインターネットのおかげで、お客様が旅行会社を通さずに旅行のパーツ(ホテルや飛行機、その他)を買えるようになりました。
でも万が一何かあったときの対応が、自分でできる人はまだまだ少ないようです。
また旅行会社を通していても、昔風の「親身になってくれる旅行社」というのは少なくなってきました。
最近のパッケージツアーの質や値段を見れば、一概に旅行会社のセイとも言えないと思います。
一番大事なことは、保険に必ず入ること。
安くても保障がちゃんとしていない保険は入る意味がありません。
旅行の終わりに費用を請求するだけではなく、旅行中の困ったときにも利用価値のある保険会社を選ぶといいです。
カスタマーサービスがしっかりしているところ。
クレジットカードもそういった観点から選ぶと、本当に役に立ちます。
例を挙げておきますね。
保険会社の例;5年位前ですが、アンダルシアのハレスでイギリスまでの帰りの飛行機がキャンセルになりました。
お昼くらいの飛行機だったんですが、夕方の便に振り替えできない分は翌日のフライトに回されることになりました。
格安飛行機だったので、翌日に回される人には迷惑料として、少しお金(とてもじゃないけど、ホテル代にはならない額)を返してくれることがアナウンスされました。
殆どの人たちは飛行機会社の係員に詰め寄って、自分たちで交渉しようとしましたが、私たちは保険会社に電話をしました。
事情を話してハレスのホテルを予約してもらい、ホテル代と夕食代その他は保険会社から直接支払われることになりました。
お金のことよりも、航空会社のカウンターで騒ぎ立てたり、相手の対応にイライラしたり、不安になったりしなかった、精神的なことが随分と良かった思い出です。
対応が早かったので、タクシーもすぐに乗れたし、保険会社って便利だなって思いました。
クレジットカードの例;
これもちょっと前のことですが、イタリアのナポリで、天気予報を見ていたら帰りの飛行機に乗る日が嵐。
ただでさえ飛行機嫌いなので、ちょっと乗る気にはなれませんが、変更不可のチケットだったので、クレジットカード会社のトラベルサービスに連絡して、ナポリからロンドンまでの列車の手配をしてもらいました。
ナポリ-ローマは特急、ローマーパリ間は寝台列車で、なんとダブルベッドのスイートでした。
パリからはユーロスターで戻りました。
電話で希望を伝えただけ。
旅行中に旅行会社を探したり、無駄な時間が必要なかったので、とってもいいサービスだと思いました。
因みにこれは裏の手ですが、ただ単に日にちをずらすだけなら、お医者様に行って診断書をもらったら、変更不可能なチケットでも大丈夫です。
これは飛行機会社がカウンターで対応(事前に連絡が必要)してくれるか、もしくは保険会社が手配してくれます。