2012年1月21日土曜日

チケットのお値段

今日は土曜日です。

フットボールの試合は、伝統的に土曜日の午後3時にキックオフ。
労働者達はお昼ご飯を食べた後、地元のフットボール場に足を運びました。
並んでチケットを手に入れて、試合は立ち見。
試合の後は、地元のパブで仲間とワイワイ。
勝った時は勝利の一杯、負けたときはウサ晴らしです。

ところがこの伝統も、テレビの登場で変わっていきます。
各テレビ局が放映権を巡って火花を散らすようになり、土曜日の午後3時の視聴者を奪い合うことから、フットボールの試合自体を分散させる方向に向いていきました。

今ではイギリスのリーグ戦は土曜日の昼、午後、夕方、日曜日の昼、午後、夕方、そして月曜日の夜にまで試合をするようになりました。
カップ戦は火曜日や水曜日の夜が主ですが、土曜日に行われることも多いです。
じゃあ木、金はどうかといえば、ほとんどありませんが、全くないわけではありません。
そしてそれらの試合の放映権は各有料チャンネルが試合ごとに手に入れるので、我が家ではそういった有料スポーツチャンネルが全て視聴できるパッケージでケーブルテレビと契約しています。
残念ながら、土曜日3時の試合に関しては、各社とも放映はしないという取り決めがあるので、いまだにスタジアムに足を運ばないと観戦はできません。
ただ、外国の放送に繋いだ違法ストリーミングで見ることはできるようですけどね。
正式にみられる有料チャンネルのお値段はパッケージによっていろいろ。
我が家で契約しているのはフルパッケージといって、アダルトサイト以外の映画とスポーツが全て入っているシステムで、ブロードバンドと併せて月間100ポンドちょっと。


労働者が毎週買うことのできた、チケットのお値段は上がる一方。
多分、ヨーロッパで一番高いのがイギリスのフットボールのチケットではないかと思います。

約120年前、それまでかなり原始的だったフットボール場が、整えられるようになりました。
イングランドで初めてのスタジアムは、1892年、エヴァートンのホームグラウンドである「Goodison Park」です。
そして1897年、ロンドンのカニングタウンにウエストハム・ユナイテッドがメモリアルグラウンズをオープンします。
ここの初年度の入場料は、シーズンチケットが5シリング、試合1回の入場料は4ペニーだったそうです。
この値段の設定は、職人や下層ミドルクラスが支払える金額ということで、これよりも貧しい人たちが来れない様に設定されたと言われています。
そして、職人の週給は2ポンドを切るくらいだったそうです。

イギリスの通貨ですが、この当時は10進法ではありませんから注意が必要です。
まず4ファージングが1ペニー(ペンスの単数形)、
12ペンスで1シリング、
5シリングでクラウン、
20シリングが1ポンド、
21シリングが1ギニーです。
かなりややこしいですね(笑)

現在、職人に相当する人だと、年収26000ポンドとして、週給約500ポンドくらい?
この数字は計算が簡単になるように、大体の数字ですからあまり正確に捉えないでください。

1897年の週給に対するチケット代は2ポンド(=40シリング=480ペンス)対4ペンス、つまり120分の1。
現在の週給に対するチケット代は、500ポンド対50ポンド(チケットって30から80くらいだから)、つまり10分の1。
随分値上がりしましたね。

私は2011年のシーズン(2011年の秋から12年の夏まで)は、アーセナルの試合を6試合見に行きました。
そのうち4回は、ティムちゃんと一緒にリーグ戦。
いずれも対戦相手がたいしたことないので、チケットは50ポンドでした。
1回はシーズンチケットをクラブクラスに持っているお友達に誘われてお友達の席で。
センターラインと角の中間くらいかな?
クラブクラスのシーズンは4000ポンド弱だそうです。つまり1回あたり(20から40試合、カップ戦が何回あるか分からないから)100ポンドから200ポンドの間です。
そして、もう一回は日系の旅行会社から買った違法チケット。
額面35ポンドなのに、165ポンド(お客様が)払いました。

プレミエリーグのチケットは公式クラブ以外から購入することは禁じられています。
実はこの間、エミレイツで、ちょうど私たちの前に入場しようとしたカップルが、入れなかったのを目撃しました。
係員から「このチケットはどうやって入手しましたか?」と聞かれて、
「旅行会社から買いました」
「それは正式な方法ではないので、このチケットは無効です」
1枚200ポンド近く払ったのにって言ってましたが、「買ったほうが悪い」で終わりです。
アーセナルやハイブリーイズリントンの駅前でも、ダフ屋さんが「チケット買います、売ります」って囁きながら歩き回っていますけど、買っても入れる保障は何一つとしてありません。

日系の「xxバス」からお客さまが手に入れたチケットには、領収書と併せて説明書きが添えられていました。
「このたびはxxバスをご利用いただきましてありがとうございます。
係員からこのチケットの入手方法を聞かれましたら、友人のxxさんから額面で譲ってもらったチケットですと答えてください。」

この時は5人分だったので、650ポンドも上乗せしている計算。
こんな違法な商売、よくやるなぁと思います。
コンプライアンスって聞いたことないのかな?
需要があるからって言い訳なんでしょうね。

しかもね、一番私が驚いたのが、この「友人のxxから譲ってもらったと言え」というxxさんの名前がこの旅行会社の所長さんと同じ名前なんですよねー。
本人かな?
まさかね。

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