ロンドンのデンマークストリートは、1960年代から楽器店、特にギター関係のお店で有名になりました。
以前にもここで紹介したことのある、1928年にイギリスに国費留学していた武部六蔵さんの日記や、武部さん以外の方が残されたちょっとした記述などによると、ロンドンにはその当時、少なくとも2軒の日本人旅館がロンドンに存在したようです。
そのひとつ、「ときわ館」はどうやらこのデンマークストリートにあったようなのです。
(もうひとつは「東洋館」という名前で、パディントン辺りにあったらしい)
この間、少し時間があったので、この地域の資料をあたってみることにしました。
イギリスでは、特定の地域に関して調べてみようと思ったら、まず図書館を見てみます。
図書館と一口で言っても、一般の貸し出し図書館ではなくて、リファレンス図書館とか、ローカルヒストリー研究と呼ばれているものです。
この本は100年位前に出版されたもので、図書館で閲覧することが出来ますが、貸し出しはされていません。
古いものを調べる時には、通りの名称が変わってしまっていることがあります。
ですから、通りの名前よりも、もっと普遍的なもの、すなわちその教区の名前で検索するとうまくいく場合が多いのです。
普通は探している場所の、最寄の教会がそれに当たります。
デンマークストリートの場合は、ちょうど1番地の横がセント・ジャイルスという教会です。中はこんなカンジ。
この教区はとても貧しい区で、1665年のペストの大流行がロンドンを襲った時、最初の死者を記録した地域でもあります。
現在は、ロンドンのカムデン区なので、カムデン区の数ある図書館のうち、最寄であるホルボーン図書館を覗いてみました。
受付の係りの人に、デンマークストリートに日本人用の旅館があったらしいことを調べている旨を告げて、その歴史や記録などを調べたいという希望を伝えました。
面白いなーと思ったのは、受付の人は3人いて、1人が私の相手をしていましたが、残る二人は1冊の本を覗いて、話をしながら何かを探している様子。
そのバックグラウンドでは電話が鳴っているのですが、誰も出ようとはしない点です。
こういった場面に出くわすたびに、イギリスでは対面で話をすることの重要さを思い知らされます。
もちろん手紙やメールで問い合わせも出来ますが、順番は、やはり目の前にいる人から。
私が一番調べたかったのは、1920年代の国勢調査記録か、選挙登録の記録だったので、それ以外でも見てみると面白い記録などがあるかどうかも聞いてみました。
これは、選挙登録の記録で、まずこのページは選挙区のエリアが書いてあります。
選挙区のエリアが書いてあるページ。これが、選挙権のある人のリストです。このページにはどんな理由で選挙権があるかという略語の説明。
例えばHOというのは、だんな様(Hasband)のおかげで選挙権があるということ。
国勢調査の記録は1901年のものが手に入りました。
「100年たたないと、一般に公開されない」というルールがありますから、来年には1911年のものが見られるわけです。
マイクロフィルムに保存されているので、こんなスクリーンで見ます。拡大するとこんな風。図書館ではこういった状態で保存しているので、目録からラベルの番号を割り出して、自分でセットアップして見るわけです。100年くらい前のデンマーク通りの外観。こちらはある1軒の中の様子。1720年当時の地図には、それ以前のものにはなかった「デンマーク通り」の名前が出ています。
じゃあ現在のデンマーク通りの写真を幾つかご覧ください。
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