2007年11月22日木曜日

イギリスのクラブ


ティムちゃんのクラブでお昼を食べてきました。
イギリスのクラブって、アガサクリスティーなんかをを読んでいると
「今日はクラブで・・・を見かけた」とか
「クラブで・・・と昼食を取った」なんていう描写が出て来るアレです。

イギリスには今でもいろんな種類のクラブがあります。
例えば元はインドに駐在していた軍人がメンバーだったという「インディアクラブ」
陸軍の関係者が集まる「インアンドアウトクラブ」
この国で初めてココアを出したといわれる「ホワイトクラブ」
「オクスフォードケンブリッジクラブ」は想像できる通り、両大学の卒業者がメンバーです。
ローストビーフで有名なシンプソンズもチェスのクラブでした。
サンドウィッチの始まりもクラブです。

すごく小さな会員制のホテルを想像すると近いものがあります。
書斎とかダイニングルームとか、バーなんかがあります。

ティムちゃんはThe Arts Club というのに入っています。
元はアーティストが集まったクラブで、メンバーにはチャールズ・ディッケンズやミレー、ピサロやドガ、サー・コナン・ドイルなどそうそうたる名前が連なります。
今ではアーティストだけではなく、アートを愛する人もメンバーに成れるので、ティムちゃんが絵描きさんな訳ではありません。

クラブのいいところは「身元のヘンな人はいない」という建前です。
例えばクロークを覗いても、ブリーフケースとかコートとか誰かが管理しているわけではなく、みんな自分の荷物を勝手に置いていったり持って行ったりしているわけです。
初めて見たときは
「私のコート、後で戻ってきた時に無くなってたらどうしよう」
と思ってティムちゃんに聞いたら
「クラブではそんな話聞いたことはない」
と一笑に付されて終わりました。
みんな身元のわかっている、安心していい仲間たちとの隠れ家、それがクラブです。

ロンドンのメイフェアーにあるので、ちょっと買い物に疲れたときにシャンパンを飲んだり、ただユックリ雑誌を眺めたり、ご飯を食べたり利用価値はおおありです。
メンバー同士のイベントなんかもタマにあってスポーツ観戦とか、展覧会とか。

名門といわれるクラブでは女性の出入りは厳しく制限されました。
今でも(アーツはそんなことはないけれど)女性の入れない部屋があるクラブは少なくありません。
でもこれは女性差別ではないんです。

紳士といわれる英国男性は女性の前でのエチケットにすごく気を使わなくてはいけなかったわけ。
例えば女性を一人で立たせてはいけないとか。
これはジュリアロバーツの「プリティーウーマン」のエスカルゴの出てきたレストランを思い出して。
最初に席に着くときに、彼女が座らない前は男性が座る訳には行かないので3人とも立ったまま、彼女はそんなエチケットがあることを知らないので、3人と一緒に立ち続けるというシーンです。

こじんまりした部屋で居心地よく新聞を読んでいて、女性が入ってくるたびに立ち上がるなんてかわいそうでしょ?男性だけの部屋にはそんな理由があるんです。

私よくイギリスにこられた「紳士」のお客様にこの話をするんです。
特にご夫婦とかで来られていると、レストランとかで実践してもらいます。
「日本では見たことがない」
と言われるので、
「是非イギリス旅行のお土産として、お友達の間で広めてください」とお願いします。
何度かやっていると癖が付くのでそれほど苦にはなりません。
実際1週間ほどの滞在で完全マスターされた方も沢山います。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

みきさん、こんにちは。
なるほど、クラブって女性に気を使わずに過ごせる場所ってわけですね。
独身の頃、友人と海外に出かけてから日本に帰ってくると、大きな荷物のわたしたちはよく、男性に邪魔にされて、
「日本に帰ってきた実感がわくね。」
と、言い合ったものです。間違っても、譲ってなんかもらえませんからね。
夫と海外に出かけても、たまーにわたしが忘れられて、
「マダーム、(ウィンク)」
なんて、こともありましたね。
ま、日本では、よその女性に気を使うなんて疲れることはしないのでしょうね。夫でさえそうですから。うちは、まだましかな?

Miki Bartley さんのコメント...

Rossoさん、コメントありがとうございます。
よく女性のお客様から「いいわねぇ旦那様イギリス人だから優しいんでしょう?」と言われます。
ドアを開けて先に通してくれたり、ハンドバッグ以外の荷物はみんな持ってくれたり、マナーが優しいというイメージを生むんでしょうね。
こういったことはその人の性格とは全く関係のないことで、小さい時の躾というだけなんです。
うちの桃太郎君も小さい時から「絶対に女の人を優先する」と言うことをティムちゃんと二人でガンガン叩き込みました。
以前はその反動で「僕女の子だったらよかった」と言いましたが、最近は自然にドアを開けてくれたり、道の外側を歩くようになっています。
日本はまだそういった習慣がないだけで、日本男性は別のところできっとすごく気を使っていると思いますよ。
外国に住んでいる日本人男性の努力には涙ぐましいものがあります。

日本に住んでいる男性が優しいな、と私が思うのは旅行のお土産選びの時で
「ガイドさん手伝ってください」
「どんなものが喜ばれますか?」
と言うのが日本の男性。
反対に奥様が旦那様に買っていくのは、普通奥様自身が気に入った物です。

匿名 さんのコメント...

会員以外の人がゲストとして入場する事もできるんですか?
女性限定のクラブってのもあるんですか?
イギリスもなかなか興味深い国です。ちなみにうちの夫は10年位前ですけど、イギリスケンブリッジの近くに1年単身赴任してたんですよ。

Miki Bartley さんのコメント...

Yogacatさん、こんにちは。

会員が同行していればゲストは勿論は入れます。
クラブによって規則はイロイロですが、The Arts Clubは6人まで。
でも例えばそこで部屋を借りてパーティーを開くとかであれば、それ以上でも大丈夫です。
女性限定のクラブもありましたが、今は法律的にどうかな?
男性だけのクラブは法律(男女差別)に引っかかりますから、多分女性だけ、というのもだめじゃないのかな?
旦那様がケンブリッジの近くにいたんですか?
あの辺りはすっごく地面が平らなところで、よく洪水になるんですよ。
海側まで出ると、牡蠣や蟹のおいしいところです。

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
こういうクラブというのが、今でもちゃんと機能しているんですね。初めて知りました。
僕の家の近くにもこういうクラブがあれば、せっせと通うだろうになあ。

もう15年も前になりますが、一度だけイギリスを旅したことがあります。ロンドン、カンタベリー、エディンバラ、アバディーンあたりを回ったんですが、そのころはまだ子供。お酒は飲めないし、英語もつたないし(今も怪しいですが、度胸はついた)で、今にして思えばもっと楽しめたのに、という思いがあります。

Miki Bartley さんのコメント...

Dunkelさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

そう、クラブって通わないとあまり意味はないかも、ですね。
仲間意識が残っていてイギリスって面白い国です。

15年前っていうと高校生の時?
イギリスは随分変わりましたけれど、伝統的なもので残っている部分もたくさんあります。
またいつかお越しください。