2025年9月14日日曜日

イギリスではサンドウィッチが美味しいよ!

SNSを見ていると、定期的に出てくる話題が「メシマズ・イギリス」
失礼な表現だと思いますが、もう30年住んでいるのでそういわれるのにも慣れました(笑)
確かにイギリスで安くて美味しいものを探すのは難しいかもしれません。
正直なところ、日本との物価が違いすぎるので、美味しいものを食べても「この値段でこの味か」みたいな感想になっちゃう。
でも基本「美味しい」というのは主観なので、万人受けするというのは多国籍の場所だとちょっと難しいんじゃないかな。
特にいろんな人種が集まるロンドンのような場所では「何を美味しいと思うか」の幅が広そう。

私がお客様にお勧めする「安くて美味しいもの」のひとつはサンドウィッチ!
「お料理じゃない」って怒られるかな?

私はそれほどサンドウィッチが好きなわけじゃありません。
でもごくたまに無性に食べたくなります。

この間はシーサイドでとっても美味しいカニサンドをいただきました。
もしイギリスでシーサイドのカフェメニューにあれば、是非トライしてみてください。
ローカルなカフェのご当地メニュー。
健康のために胚芽入りのパンが主流のイギリスですが、キュウリのサンドウィッチとカニサンドウィッチは白いパンが合うと思います。
このカニサンドウィッチは日本円にして3500円くらい。
それってイギリスの物価だとそれほど高いとは思いません。

日本ではカニのサンドウィッチってあまり食べないんじゃないかな。
日本の蟹だとお刺身とかお酢の物。
さっと焼いたりお鍋に入れたりするのもおいしいですよね。

因みにティムちゃんが好きなのはベーコンのサンドウィッチ。

ところで、最近日本風のサンドウィッチがイギリスで人気です。
初夏にはイチゴのサンドウィッチが話題になりましたがそろそろ下火。
ここ数年で目立ってきたのはカツサンド。
いろんなお店で見かけるようになりました。
Katsu-Sando の名前でメニューには載るようです。
日本から短い日程で旅行に来た人がわざわざイギリスで食べる必要はないかもしれませんが、カニサンドは本当におすすめなので見かけたら是非どうぞ!



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2025年9月12日金曜日

テンプルチャーチに行ってみよう!


ダン・ブラウンの小説(そして映画)で一躍有名になったテンプルチャーチ。

ガイド学校の時に一応勉強はしましたが、お客様をご案内することはとても稀。
1年に一度あるかないかといった頻度。
でも歴史のある教会なのでキリスト教の歴史や十字軍の遠征などに興味があるならぜひどうぞ。
ウエストミンスター寺院やセントポール大聖堂に比べると入場料も低めの設定で、それも嬉しいです。
2025年9月の時点で;
ウエストミンスター寺院 31ポンド
セントポール大聖堂 26ポンド
テンプルチャーチ 5ポンド
まあ規模は全く違いますけれど、歴史といった面で見ればそれほど引けを取るとは思わない。

少し写真を紹介します。
テンプルチャーチは十字軍の遠征で護衛を務めた騎士団の教会として始まりました。
教会にはエフィジーとよばれる記念碑がいくつかあります。
ダ・ヴィンチ・コードの中でトム・ハンクスが「これらはお墓じゃない、エフィジーだ〜っ」って叫ぶあれです。
そして見えないところにたくさんのお墓があって、何体埋まっているのかは誰にもわかりません。
ヴィクトリア時代にそんなお墓の大部分はまとめて移葬されました。
現在ここの牧師さんのお庭として使われている部分がそう。
わかりやすい様に牧師さんと書きましたがこのテンプルチャーチは「ロイヤルペキューリア」つまり大聖堂などに帰属しない王室直のチャペルです。
それに騎士団の歴史も加わって Vicar(牧師)ではなくReverend and Valiant Master of the Temple(テンプルの尊厳と勇敢なマスター)というのが正式名称😂

この写真、奥がウイリアム・マーシャル、そして手前がその息子。
損傷が激しいのは第二次世界大戦の時に爆撃の被害を受けたから。
幸いなことに、ヴィクトリア時代にコピーがとられていて、それらが本物の横に展示されています。

ウイリアム・マーシャルはマグナカルタの調印前に内乱状態にあった諸侯とジョン王とをとりなした人物で、ジョン王が亡くなった後は子供だったヘンリー3世の摂政としてマグナカルタを再調印したり、いろいろな功績があります。

建物は部分的に改築されているけれど、円形の部分はエルサレムの教会を模して造られました。


昔は教会の入り口だった扉。

ステンドグラスは第二次世界大戦の折に破壊された後にシティーのギルドWorshipful Company of Glaziers から寄付されたものです。

色が深いので中世のガラスだとわかります。
爆撃を受けた教会の瓦礫の中からガラスを集めて、それを再構成したものだそうです。
製作はカール・エドワーズさん。

爆撃を受けた教会は無残な姿でしたが、ステンドグラスだけではなく、オリジナルの素材や残骸を駆使して元の姿によみがえりました。
この写真はテンプルチャーチの公式ウェブサイトから。
1941年5月10日の爆撃の跡です。

小さな教会なので1時間ほどで見学することができます。
気を付けなければいけないのは開いている時間。
レビューにも「いつ来ても閉まっている」という苦情が結構あります。
訪れるならウェブサイト(リンクします)をチェックしてから。
毎週ではありませんが、金曜日に教会のトークがあったりするので、それを聞きに行くのもいいかも。
独立した教会ではなく、インナーテンプルとミドルテンプルに属した教会なので夏休みがあったりします。
聖歌隊で有名だから礼拝に参加したいなら、こちらもウェブサイトで日程をチェックしてからの方が確実です。







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2025年9月10日水曜日

あと少しだけど・・・


9月に入ってお天気が変わりやすくなったロンドン。
今年の夏は雨が少なかったけれど、少し雨も降るようになってきました。
お庭がある人にはうれしいですね!

ロンドンは雨が多いというイメージなんですが、実際はそんなことはありません。
年間降水量は585mm で特に雨季があるわけではありません。
東京の年間降水量は1598mm だそうですから東京の方がずっと多いです。

雨で洗われた後の日差しに照らされた建物はことのほかきれい。

そんな時には屋外でのランチもいいですね!

ロンドンではたくさんのレストランが屋外に席を設けています。
でも何となくセキュリティーが気になる。
道行く人がすべて善人というわけでもないので、テーブルに置いた携帯電話だとか、足元に置いたバッグだとか。

そんな人にうってつけなのは、あまり人通りがないお庭に面したカフェ。
今日はそんなカフェを紹介したいと思います。
だけど、期間限定、5月から9月までしか開いていないので後数週間ですね。

ここで食べられるのは軽食と飲み物。
こちらはキーシュとお野菜。
希望を言えばキーシュは温めて出してくれます。
グラスワインと併せて一体いくらだと思います?
たったの11.70ポンド!
ロンドンとは思えない価格です。

きれいな芝生を目の前にラップトップを広げて作業するのも気持ちいい。
もちろん屋内エリアもあって、ゆったりした作りです。

テンプルの地下鉄駅からアプローチするとこんな素敵な建物の間を縫ってたどり着きます。

お庭への入り口はひとつしかないので、それであまり人通りがないんですね。
もちろん安全を保障するわけではありませんが、周りを気にせずのんびり軽食という人にはいいと思います。



このカフェがあるエリアはミドルテンプルとインナーテンプルという法学院のエリア。
お散歩にも向いているし、じっくり観光するならテンプルチャーチがおすすめです。

ではテンプルチャーチは次回紹介しますね。


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2025年9月8日月曜日

ペリシテ人を打ちのめすサムソン



女運が悪い選手権を開いたら絶対に5本の指に入る聖書の登場人物サムソン。




ということで、今回紹介するのはジャンボローニャの彫刻のサムソン。

別にマッチョな男の人が好みっていうわけじゃないです。
でもこの像の魅力は力強さ、とても惹かれる彫刻です。

この像は大理石でできているのですが、熱気というか、殺気というか、すごい迫力。
聖書の士師記15章に出てくるシーン。

14サムソンがレヒに着くと、ペリシテ人は歓声をあげて彼を迎えた。そのとき、主の霊が激しく彼に降り、腕を縛っていた縄は、火がついて燃える亜麻の糸のようになり、縄目は解けて彼の手から落ちた。 
15彼は、真新しいろばのあご骨を見つけ、手を伸ばして取り、これで千人を打ち殺した。 
16そこで彼は言った。
「ろばのあご骨で、ひと山、ふた山
ろばのあご骨で、千人を打ち殺した。」
17こう言い終わると、彼は手に持っていたあご骨を投げ捨てた。こうして、その場所はラマト・レヒ(あご骨の高台)と呼ばれるようになった。 
18彼は非常に喉が渇いていたので、主に祈って言った。「あなたはこの大いなる勝利を、この僕の手によってお与えになりました。しかし今、わたしは喉が渇いて死にそうで、無割礼の者たちの手に落ちようとしています。」 
19神はレヒのくぼんだ地を裂き、そこから水が湧き出るようにされた。彼はその水を飲んで元気を取り戻し、生き返った。それゆえ、その泉はエン・ハコレ(祈る者の泉)と呼ばれ、今日もレヒにある。
20彼はペリシテ人の時代に、二十年間、士師としてイスラエルを裁いた。

この彫刻は実は噴水の飾りとしてメディチ家のために作られました。
神様がサムソンのために泉を与えたという、噴水にはうってつけのモチーフですね。
でもこういったお話は説明されないとわからないとよく言われます。

ま、そのためにガイドがいるので美術館や博物館に行く時はぜひ声をかけてください(笑)

ところで聖書のお話といえば全く今の私たちの世界とは関係ないと思っている人も多いと思います。
特に日本に住んでいれば聖書を読む機会がある人も少ないし、それも旧約聖書はなおさらかもしれません。

でもイギリスに住んでいるとメインの宗教はキリスト教の一派である英国国教会だし、そのほかの宗教の人と触れ合う機会も多いです。
主義主張が違う人たちがデモをしたりするのを間近で見ることもあって、最近は土曜日といえばイスラエルに対する抗議のデモを見ることも多いロンドン。
その中で「ガザのために」とうたう人も多くいます。
実はパレスチナというのはローマ帝国の時代にペリシテ人が住むところという意味で付けられた名前です。
ただ聖書の時代のペリシテ人が現在のパレスティナの人々の直接の祖先というわけではないようです。
ガザも士師記を含め聖書に何回も出てくる土地の名前。
そしてもちろんイスラエルも旧約聖書には欠かせない名前。
歴史の本を読む感じで旧約聖書を読んでみると興味深い発見があるかもしれませんね。



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2025年9月6日土曜日

おしゃれなレストランに行ってきた!


サウスケンジントンには博物館がいくつもあるので行く機会は多いけれど、ランチのお気に入りは特にありません。
しいて言えばV&Aのカフェかな。
そんなに美味しいわけじゃないし、特に安いわけでもないけれど、便利だから。
でもいつも人がいっぱいで落ち着かない。

というわけで、ふと見かけたレストランを試してみました。
駅から自然史博物館に行く途中。
こんな看板が出ていた。

グラウンドフロアーのカフェもおしゃれっぽくてサンドウィッチ程度のものは食べられるみたい。
でも上の階はレストランで、ランチタイムにはセットメニューがあるそうです。
予約してないって言ったら、問題ないですって。
階段を上がったらバーと*レストラン。

中はこんな感じ。
広くてのんびりできそう。
平日のお昼はいつもこんな感じだそうです。
経営大丈夫かな(笑)

セットメニューはこちら。
前菜3種、メイン3種からひとつずつ選んでデザートは選択無しで38ポンド。

前菜にはイカの炒め物。

メインはお肉を選びました。
両方少ない材料でサッとお料理されていて南フランスのカフェで食べてる感じ。
なんだかちょっとだけホリデーに来たみたい。
窓が開いているせいかな。


デザートはチーズケーキ。
小さいし、甘すぎなかったのがとても良かった。

前菜に白ワイン、メインに赤ワインをグラスで注文してお会計は58ポンド。
のんびりひとりでランチするのもいいし、お友達と来てもいいかな。
あと、バスルームのソープが良かったです。

To My Ships (リンクします)というブランドで、初めて見ました。
粒々が入ったジェルタイプなのでお塩かと思ったらパーライトらしい。
香りも好きなのでおうち用に買おうかなとネットで調べたら39ポンド。
そこまでいいとは思わなかったので、買っていません(笑)
我が家で使うのは大抵その半分以下のお値段です。




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2025年9月4日木曜日

王立海水浴病院???

「王立」「海水浴」「病院」
その一つ一つの意味は解るんだけど、全部くっつけると「???」になっちゃう。

でもそんな場所がイギリスにはあるんです。
いや、あったんですといった方がいいかな。


場所はマーゲイト、ロンドンからは南東、ケント州の海辺の町です。
駅を出たらこれは西側に5分くらい歩いたところ、マーゲートは海水浴場としても有名で、そちらは駅を出たら北東に歩くとすぐ。
先日、きれいに晴れた日にこの写真を撮りました。

王立海水浴病院は1791年に創立された肺外結核患者のための屋外療養施設がある、もし世界初でなければ少なくとも国内初の施設でした。

私は結核というのは肺の病気だけだと思っていたのですが、結核菌はいろんな場所に病気を起こすらしい。
首にできるリンパ節炎以外にも他の臓器(腎臓、骨、脳など)に炎症が及ぶこともあるそうです。

この病院の提唱者はジョン・コークリー・レティソンという医師で、カリブ海生まれのクェーカー教徒。
病気を治すために日光と新鮮な空気、そして海水浴が効果的だと提唱しました。

海水浴が身体にいいことは、イギリスでは16世紀ごろから言われていましたが、本格的に勧められるようになったのは18世紀に入ってから。
初めに人気になった場所はブライトンです。
特に当時皇太子だったのちのジョージ4世が滞在するようになってから、上流階級のたまり場にもなりました。
その当時の海水浴は今と全く違います。
海水浴にはベイジング・マシーンという馬にひかせた小屋のようなものを利用していました。
海岸でこの小屋に入り、中で着換えをしてある程度の深みへ進むまで小屋内で待機、そして海水に浸かります。
その後小屋に戻って小屋ごと海岸に戻ってくるというシステム。
えらく面倒ですね!
これもそうなんですが、古くから海水浴で有名な場所の郷土資料館などに行くと、昔の絵葉書が収集されていたりして当時のシステムがよくわかります。

この王立海水浴病院でもベイジング・マシーンが利用されていました。
建物にはバルコニーもあって、そこで日光浴もできるようになっていたようです。

初めは約30人の入院患者を収容できたそうですが、のちに規模が大きくなってたくさんの増設が行われました。
19世紀半ばにはポンプで海水を屋内に取り入れることができるようになったので、夏期のみの病院から通年で利用できるようになりました。
そんな海水プールも増設された部分です。
ギルバートスコット(イギリスの有名な建築家)が担当したチャペルもあります。

この病院は結局他の総合病院に吸収されてしまい、20世紀の終わりには建物をどうするかでひと悶着あったようです。
結局、建物は売却されて2016年には分譲マンションとしてリースの販売が始まりました。

1LDKから3LDKくらいの規模が主で、ロンドンから比べるとずいぶん安い。
海が見える2LDKの物件(93平米)で7500万円程度。
見取り図はこんな感じ。

この物件の室内写真です。

上のに比べると海が見えなくて少し狭い(53平米)けれど、もっと安い物件もあります。
こんな感じの物件で同じく2LDK で3000万円程度。

定年を迎えた後に海の近くで過ごしたいならお手頃ですね。

2025年9月2日火曜日

苦情のお手紙を観てきたよ!

大英博物館には面白いものがたくさん展示されています。
気が付かずに通り過ぎてしまうともったいない!

でもね、似たようなものが並んでいて、そんなに(一般の人から見て)見栄えしないものだと通り過ぎちゃいますよね。

例えばこれ。

どこが面白いの?

この右端の粘土板、ギネスブックに載っているんですよ!

実はこの粘土板は紀元前1750年代ごろに楔形文字で記された、世界最古の苦情のお手紙(驚)

ナンニさんが銅の買い付けに際してその品質とカスタマーケアについて文句を言っている内容です。

この粘土板が見つかったのは古代都市ウル。
アガサクリスティーが発掘調査隊に参加して、彼女の自伝にも詳しく記したあのウルです。

このウルを居にしていた商人にエア・ナシルという人がいました。
彼が苦情を受け取った人。
古代のメソポタミアでは日常生活に欠かせないのに採れないから遠くから運ばれて貴重だった銅、その取引に関する苦情です。

では何と書かれているか。
わかりやすく単純に箇条書きで書きだしますね。

1,良質な銅を売るといったくせに、使者に差し出された銅はその価値がなかった。

2,その時の使者に対する態度が悪かった。

3,返金の要求のための使者も何回も手ぶらで送り返した。

4,テルムンのいろんな商人と取引をしているが自分をこんな風に扱うのはあなただけ。

5,あなたの代理で宮殿と神殿に1080ポンドずつの銅(おそらく取引税)を支払った。

6,とりあえず全額返金して。

7,今後の取引は自分の領地内で自分で銅を選定します。

8,今後対応が変わらないのならあなたとの取引はもうしません。

途中に些細な額の銀でもめたようなことも書かれています。
どの程度このエア・ナシルさんが悪徳商人だったかはわかりませんが、大英博物館には他にも彼の名前が出てくる粘土板を所蔵しています。
残念ながら、それらは展示がされていません。


古代のアッカド語(しかも楔形文字)を研究者が英訳した全文はこちら。
"Tell Ea-nasir: Nanni sends the following message:
When you came, you said to me as follows : “I will give Gimil-Sin (when he comes) fine quality copper ingots.” You left then but you did not do what you promised me. You put ingots which were not good before my messenger (Sit-Sin) and said: “If you want to take them, take them; if you do not want to take them, go away!”
What do you take me for, that you treat somebody like me with such contempt? I have sent as messengers gentlemen like ourselves to collect the bag with my money (deposited with you) but you have treated me with contempt by sending them back to me empty-handed several times, and that through enemy territory. Is there anyone among the merchants who trade with Telmun who has treated me in this way? You alone treat my messenger with contempt! On account of that one (trifling) mina of silver which I owe(?) you, you feel free to speak in such a way, while I have given to the palace on your behalf 1,080 pounds of copper, and umi-abum has likewise given 1,080 pounds of copper, apart from what we both have had written on a sealed tablet to be kept in the temple of Samas.
How have you treated me for that copper? You have withheld my money bag from me in enemy territory; it is now up to you to restore (my money) to me in full. Take cognizance that (from now on) I will not accept here any copper from you that is not of fine quality. I shall (from now on) select and take the ingots individually in my own yard, and I shall exercise against you my right of rejection because you have treated me with contempt.”


興味があるなら読んでみてください。




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2025年8月31日日曜日

ホテルのベッドに南京虫がいた!!

今日は先日お仕事で泊まったホテルのおはなし。
探したのも予約したのも私自身。

ホテルを選ぶ基準はいろいろな要素があります。
お客様のご旅行の趣旨に合うかどうか。
立地が行程上問題ないかどうか。
食事が美味しいとか有名人が泊ったとか、歴史的に興味深いとか、何らかのプラス要素。
そしてお客様の予算内でできるだけいいホテルを選ぶようにしています。

今回はリゾート地の歴史あるホテルでチャールズディケンズも泊ったことがあるところ。
お食事は定評もあるし、一応4つ星。

長いお仕事の後、やっとチェックイン。

夕食まで時間もあるので少しお昼寝でもしようかとベッドの上にあるクッションをどけたら何か黒いものが。。。
え、これって・・・・・?

もしかして英語でベッドバグってよばれている南京虫?
写真とかでは見たことがあったけれど、実物を見るのは初めて。
ちょっと拡大してみたら、やっぱり虫なのは間違いない。
一匹いるということは、もっといる可能性も…。
そう思って掛布団をそーっと30㎝程めくってみたらもう一匹。
両方すでに死んでいるみたい。

速攻レセプションに電話しました。
「誰か、すぐにお部屋によこしてください。ベッドバグがいます。一匹じゃなく複数です。
私の見間違いではないことを確認してください」

そうしたら数分でハウスキーピングのマネージャーが部下をふたり連れてやってきました。
マネージャーが確かにベッドバグだと思うと確認してくれて、後で調べるということで虫2匹をティッシュに包みました。
「窓は開いていましたか?」と聞かれたので20センチほど開いていたと答えたら、
「さっき雷が鳴っていたからそれで外から入ってきたんだと思います」だって。
確かに1時間ほど前に雷が鳴ってにわか雨が降りました。
「もし外から入ってきたとしても、じゃあなぜ2匹とも死んでいるの?しかも一匹はベッドの中。お掃除が行き届いていないということではありませんか?もっと他にもいる可能性があるのでは?」
その問いには答えない。
とりあえずベッドの寝具をすべて見ている前で取り換えてもらいました。
「枕も取り換えた方がいいですか?」
と聞くので「当たり前」だと答えました。

お客様のお部屋は最近リノベーションされたものだったんだけど、実は私のお部屋は予算的にリノベーションが終わっていない古いお部屋を特別料金で出してもらっていたんです。
こんなことだったら新しいお部屋を予約すべきだったんだけど、ホテル側からは内装がちょっと古びているだけでクオリティーが劣るわけではないと聞かされていました。

実際はベッドバグ以外にも空調が付いていないし、床が一歩ごとにギシギシなるしで、バス付きでなかったら泊まりたいお部屋ではない。
お部屋が狭いのはそれほど気にならないけれど、ベッドバグにはビックリでした。

虫の写真をティムちゃんと桃太郎君に送ったら、ティムちゃんからは部屋を変えてもらうようにとメッセージが来ました。
桃太郎君からは「Ha ha ha ha ha ha ha」だって(爆)
清潔な寝具を目の前で取り換えてもらったお部屋の方が確認していない新しいお部屋よりも安心なので、そのお部屋に泊まることにしました。
結果としてはぐっすり眠れたし、ブログの記事のネタにもなったので満足はしています(そこか🤣🤣🤣)

生きている虫に噛まれたとかでもないし。
終わり良ければ総て良し。

ホテルのレビューを書くときに虫のことを書こうかどうかまだ決めかねています(笑)





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2025年8月29日金曜日

やっぱり白い岸壁は見応えがあるね!


イギリスといえば、白亜の岸壁。

南海岸でいろいろ有名どころはありますが、その中でもセブンシスターズは有名です。

お天気がいいときに見るなら最高!!

どこがベストなのかは諸説ありますが、私はイーストボーンのバーリングギャップが好きです。
駐車場もあるし、海岸にも降りられるし。
イーストボーンからタクシーで10分から20分程度。

注意しないといけないのはここは携帯の電波が弱いので帰りのタクシーも最初に手配しておくべきってことかな。

ナショナルトラストのWIFIもあるけど、頼りにならないです。

タクシーを1時間とか2時間とかで手配すれば、海岸沿いの交通が不便なところをいろいろ選んで歩ける。
ビーチーヘッドとか灯台とか。

実は路線バスがあるんだけど、夏はいっぱいだし、並んでも乗れなったりする。
だからお金がかかってもタクシーを手配するのが最善だと思います。
もちろんウォーキングを楽しむのもいいけれど、ルート選びと時間配分に気を付けて!


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2025年8月27日水曜日

探偵みきちゃん

私が好きなお仕事というのは;

1、新しい発見があるお仕事
2、美味しいご飯が食べられるお仕事
3、少人数で好奇心があるお客様
4、リピーターのお客様って感じかな。
下調べとか探偵業務(笑)も大好き。


そんな都合のいいお仕事なんてあるの?
そう思われるかもしれませんが、ご心配なく。
結構あるんですよね~。

ブログをご覧になられてコンタクトされる場合もありますから、ことあるごとに自分がどんなガイドかここにも書いておくと誤解が少なくていいと思っています(笑)


この間探偵っぽいことをしたのはカールマルクスに興味があるという方をご案内した時。

私もマルクスや彼がイギリスに住んだ時代(ヴィクトリア時代)にはとても興味があるのでうってつけ。
いつもご案内する場所だけではなく、一歩、踏み込んだ場所をご希望ということで楽しみ。

事前に興味のある場所を旅行社を通して知らせてもらっていました。
ほとんどの場所は記念のプレートが建物についていたりするのですが、いくつかは住所のみで何の印もないところがあります。

イギリスでは住所さえわかれば初めての場所でも比較的簡単に訪れることができます。
番地が順に並んでいるので、通りの名前とその番地が必要。
今はグーグルマップとかもありますしね。

事前にルートなども考えておいたから、うまく動けたので時間に余裕ができました。
なので、予定外にどこか行きたいところがあるのかを聞いてみた。
そうしたら、実はもう一か所行きたい場所があるらしい。
「カンバーウェルという町にあるデンマークロード」
本当はデンマークストリートかもしれないけれど、見つからないからロードとストリートが間違って記載されたのかも、ということらしい。
カンバーウェルはロンドンの南側、郊外ですがグレーターロンドンの内側です。

通りを見ることができれば満足ということで、とりあえずはそこ(デンマークロード)にご案内しました。
新しい建物ばかりでヴィクトリア時代の面影はゼロ。
その時はこの通り、デンマークロードの写真を撮ってそれで終わり。
でも気になったのでおうちに帰ってからいろいろと調べてみました。
1855年、ソーホーの自宅で息子を亡くしたマルクスが、とてもそこにはいられないと友人宅に一時期身を寄せたそうです。
名前を聞いたらカタカナでイマントという人。
カタカナで書かれたものはスペル(正確な名前)を探すのに苦労します。
その人が有名なら記念のプレートがあったり、どこかに記録があるかもしれない。
少し調べたら Peter Imandt だとわかりましたがロンドンに住んだ記録はすぐにはわかりませんでした。

ということで次はその住所をどこから探すか。
マルクスが書いた手紙がまとめられてネットでも見ることができるので、まずはそこ。
書簡集から息子が亡くなった年の手紙を調べてみました。
そうしたら見つかったのがこちら。

友人のエンゲルスにあてた手紙です。
カンバーウェルのデンマークストリート、ヨークプレース3番地。
デンマークヒルじゃないよ、だとすればそれはカンバーウェルそのものになっちゃうからねと書かれています。

そこまで書くならデンマークロードとデンマークストリートを書き間違えたわけはない。
だからデンマークストリートは1855年には存在していたはず。
そこで1800年代半ばの地図を探してみました。
そうしたら、ちゃんと地図に記載がありました。
赤丸で囲んだところがデンマークストリート。
デンマークロードと並行して一本西側の通りです。
ということは通りの名前が変更になっている、そんな記録がどこかにあるはず。
なので担当区の住所変更記録を調べるとヨークプレースも出てきました。
どうやらデンマークストリートの一部分がヨークプレースとよばれていたようです。

これでヨークプレースも断定されました。
通りのどの辺かもちゃんとわかります。
その後この通りはキンブリーストリートと改名されて、その当時のおうちはすべて建て替えられたようです。

赤い矢印は昔パブがあったところ。
PH と古い地図に出てくるのは Public House の略です。
ということで、古い番地からその向かい青い矢印の場所がヨークプレースに該当する場所だとわかりました。

残念ながら当時の建物はない。
今建っているのはマルクスが滞在した時よりも少し後に建てられたもの。
現在は窓が3つ並んだ幅の5軒の立派なおうちが並んでいますがマルクスが滞在した時には15軒くらいのおうちが同じ場所にひしめいていました。
なので一軒一軒はもっと小さなおうち(多分窓はひとつだけ)だったはず。
イギリスの良いところはこんな風に探偵ごっこができるところかな。
調べればいろんなことがわかります。
そして、調べることが難しくないというのもポイント。
とりあえず調べて分かったことを資料にまとめて差し上げたので、それをもとに自分たちでもう一度写真を撮りに行ったそうです。

もうパブもないし、通りの名前も変わってしまったけれど、ここに建っていたという場所がわかるのは感慨深い。


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