2023年11月9日木曜日

チャールズ・ディケンズ博物館に行ってみよう!

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チャールズ・ディケンズというのはイギリスの作家で、生まれたのは1812年、亡くなったのは1870年です。

日本の歴史でいうと、版画で有名な北斎や広重が活躍した時期。
また天候不順による不作や噴火、火事、地震などで飢饉が起こり打ちこわしなどの社会問題があった時期でも。

ロンドンにあるチャールズ・ディケンズ博物館は、彼が1837年から数年だけ住んでいたおうちを利用した博物館。
内装や展示物などでその時代が体感できるようになっています。
何と彼の子孫だという人がオーディオガイドを担当しているのも面白い。
残念ながら、日本語は無し、英語のみですが途中に彼の作品の一部が引用されていたりと、ディケンズファンにとっては多角的に楽しめる内容です。

ディケンズの有名な作品の中でも、真っ先に浮かぶのは「クリスマスキャロル」。
特にこの季節のイギリスでは、クリスマスのイルミネーションや、クリスマス広告が始まる時期でもあるので、スクルージや小さなティムを思い起こしたりするわけです。
それから「オリバーツイスト」。
映画やミュージカルで見たことがある人が多いこともあり、有名な作品です。
1968年の映画「オリバー!」ではマーク・レスターという俳優がオリバー役を務めました。
日本では「小さな恋のメロディー」でも人気が出た俳優さんです。
意外ですが、イギリスでは「小さな恋のメロディー」は日本ほど有名ではありません。



庶民の生活を描写することに長けていたチャールズディケンズ。
出身が労働者階級で、父親が債務者監獄に入れられていたこともあり、実体験をもとにした記述も多いです。

そんな彼が貧しさのため苦労した少年時代をバネにして、ジャーナリズムの世界で出世をしていくわけですが、20代半ばという若さでこのおうちを借りて、召使いを3人も抱えていたのです。

こちらは地下のキッチン。
ロンドンではたくさんのおうちに地下があって、昔はお台所として利用されていました。
でも完全な地下ではなく、こんな風に窓からの明かりも入ります。

現在、ロンドンの中心地では値段が上がったので、昔は一軒として使われていた住宅が中を分割してフラットになっています。
なので地階がお台所というところはあまり見かけません。

でも住宅地を歩けば、まだまだ地下がお台所というおうちを見かけます。
地下には使用人のためのドアがあって、表通りの主玄関の脇から伸びた、地下への階段からのアクセスです。

奥の部屋はお洗濯などに使われた部分。
備え付けのお鍋があって、いつもお湯が用意されていました。
必要に応じて、このお湯は2階や3階の寝室の洗面やお風呂のために運ばれていきます。
もちろん階下では召使いが利用します。
お洗濯のためにも使われるわけで、階下のお部屋は召使いが1日の大半を使う部分。

年に一回、クリスマスにはこのお鍋で大きなクリスマスプディングが茹でられ、そんなプディングの香りをディケンズは作品に細かく描写しています。

以下はスクルージの下で働くボブクラチェット氏のクリスマスの様子。
この中に出てくるコパーというのが上の写真のお部屋の角にあるいつもお湯が沸かされている銅製のお鍋です。
ちょっと大きめの写真をどうぞ。
Hallo! A great deal of steam! The pudding was out of the copper. A smell like a washing-day! That was the cloth. A smell like an eating-house and a pastrycook's next door to each other, with a laundress's next door to that! That was the pudding! In half a minute Mrs. Cratchit entered—flushed, but smiling proudly—with the pudding, like a speckled cannon-ball, so hard and firm, blazing in half of half-a-quartern of ignited brandy, and bedight with Christmas holly stuck into the top.
お洗濯日の匂いというのはお洗濯の時にお湯で布を炊く匂いだと思います。
というのもクリスマスプディングは布に包んで茹でますからね。

客人をもてなすのが大好きだったディケンズ。
地下にはワインセラーもありました。

そしてこちらが食卓の様子。
食事の後は2階の居間に移動して、ディケンズが自作を朗読してお客様たちを楽しませたそうです。
これはそんなディケンズが特注した朗読のためのテーブルです。
背を低く作らせて、彼の上半身が台で隠れることがないように工夫されています。
身振りや手ぶり、声音などを駆使して、まるで俳優のように各キャラクターになりきった朗読はこの部屋だけにとどまらず、ディケンズの公開朗読は大人気だったそうです。

他にも彼の主寝室など見どころはたくさん。
ヴィクトリア時代の生活を体感できる博物館としておすすめです。

場所は地下鉄ラッセルスクウェア駅から徒歩5分くらい。
是非どうぞ。







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