2010年12月13日月曜日

テムズバリアー


私の所属しているAPTG(プロフェッショナルガイド協会)から先日メールが入りました。
「11月30日に予定していた、テムズバリアーの勉強会が、悪天候のために延期になったのだけど、新しい日にちには参加できない人がいるので空きがあります。早い者勝ち」
この勉強会は行きたかったのに、お仕事が入っていて参加できない予定でした。
だからすぐにメールを送って、オンラインで参加費用を銀行振り込みして、場所を確保しました。

いろいろな協会や、美術館、博物館主催の勉強会がありますが、やっぱり人気の高いものは、普段入ることの出来ないところ。
こういった機会に中を見ておくと、お仕事に直接の関係がなくても、予備知識として役に立ちます。

今日、朝10時にテムズバリアー集合。
私は公共の乗り物で行きましたが、駐車場があるので車でも大丈夫。
ノースグリニッチ駅(地下鉄ジュビリー線)の駅から、バス161か472でホルボーンカレッジ停留所で降ります。
そこからは看板が出ていて徒歩5分。

実際のバリアーには一般の人たちは入れません。
許可証を得て、中の人について案内してもらいます。特別に許可を得たグループというのは、2週間に1度くらいの頻度だそうです。

でもそういった許可がなくても、外からバリアーを見ることはできますし、運がよければバリアーが動いているところが見られるかも?
週に2-3度は幾つかのバリアーを、そして月に1度は全てのバリアーをメンテナンスの為に閉めてみるそうです。
脇にビジターセンターとカフェがあるので、校外学習とかはそういった施設を訪れるようです。
バリアーには、子供は立ち入り禁止だそうです。

今、世界中で水位の上昇が問題になっていますが、ロンドンではテムズ川の水位に対して、いつも危機感を持っていました。
歴史を振り返っても、たくさんの人々がロンドンの洪水によって、亡くなったり家を失ったりしてきたのです。
1953年の洪水では300人以上が死亡しました。
もし今同じ規模の洪水が起こったら、おそらく被害は計り知れないものになるそうです。
地下鉄が水没して、交通や経済が麻痺することは簡単に想像できます。
1972年に、ロンドンを守るためのバリアーの建設が認可されました。
正式なオープンは1984年。

このあたりのテムズの川幅は、約500メートルだそうです。
そこに、9つのピアと呼ばれる建造物が建っています。
北側から1から9までの番号が振られています。
北岸と第1ピアの間、第1と第2ピアの間、第2と第3のピアの間、そして第9ピアと南岸の間の4箇所には上から降りてくるタイプのゲートが設けられています。
それは川の底が浅いために、船が通る心配をしなくてもいいからだそう。
そのほかのピアの間は下からバリアーが上がる仕組みになっています。バリアーが上がって、テムズがせき止められるのはスコットランドを低気圧が通過して、高くなった水位が北海に流れ込んでくる時がテムズ川の満潮時と重なった時だけです。
その数は年によって違って、特に傾向などはないそうです。
毎年増えていますとかって答えを期待していたので、質問した人はちょっとがっかり。
質問には気軽に応じてくれたので、みんないろんな質問をしました。
私も「この施設で働いている人の数は?」なんて聞いて見ました。
100人くらいだそうです。
また、これも質問の答え。
一回バリアーを閉めるのに、約5000ポンドかかるそうです。

イギリスでは、質問の数は、ガイドにとって、どれだけ興味を持って聞いてくれているかということの目安。
子供のころから、授業中にどれだけ質問したり意見を言ったりするかが、評価の対象になります。
今日は日本人は私だけ。
他の12人はイギリス人がほとんどでした。

ピアとピアの間にはテムズの地下をトンネルがつないでいます。
今日はそんなトンネルの一部を通って、実際にピア7まで、南側からアクセスしました。実際にピアに立ってみると、鳥の巣がクレーンの上に作られていて、糞のために金属が痛んでいるのがよくわかりました。


他にもピアの内部で、実際に機械を見ながら、詳しい説明を受けたので、何となく、仕組みがよくわかった気分です。
今日のうちに記事にしているのは、こうやって書いておくと、復習になるから。
じゃないとしばらくしたら、忘れてしまいます。
2時間ほどの学習だったのに、本当にたくさんのことを知ることができました。
でもちょっと気になったことがひとつ。

はじめに「バリアーが出来るまで」みたいなDVDを見せられたんですが、そのなかの一こま。
「このバリアーは最新の技術を使って作られました。
素材の殆どは2030年までは問題なく耐久性があることが実証されています。
だから、次の世紀になってしばらく経つまで何の心配も要りません!!」
一体いつ制作されたのか知りませんが、多分80年代の初めでしょうね。
もう既に次の世紀に入って10年がたちますよー。
観ていたみんなからも、苦笑が漏れていました。
バリアーもDVDも、アップデイトした方がいいのでは・・・?
おまけ。
ブルーバッジガイドのサイモンさんが送ってくれた参加者の写真です。
みんな、ブルーバッジガイドです。

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