2009年3月25日水曜日

イギリスの階級

私が「パブの肴」を始めたのは2007年の3月です。
きっかけは、ブログという媒体に興味があったから。
観光ガイドという職業柄、イギリスの面白いお話を書いて、日本の人にもっとこの国のことを知ってもらおう、という思いもありました。
ただの私的な日記のような記事もありますが、できれば読んでもらって「ヘぇー」って言ってもらえるような物を書いていきたいと思っています。
たまに自分自身の記事を検索して、キーワードに引っかかるかどうかを試したり、アクセス解析で、どんなキーワードでこのブログにたどり着いた人がいるのかを調べてみるのも一興なわけです。

先日ドイツ在住のご家族をガイドさせていただく機会がありました。
観光のお話だけで満足される方もたくさんいらっしゃるわけですが、
今回は表面的なものに加えて、バックグラウンドにも興味を持っていただけそうな感じだったので、とっても楽しみでした。
1日という短い間だったので、本当に少ししかお話できなかったのですが、おうちに帰ってから、あれもこれもと、できなかったお話が浮かんできます。

ま、でもこんな時の為にブログがあるんだし、と割り切って考えることにしています(笑)

ガイドをしていてお客様からいろんな質問を頂きますが、階級のことを聞かれる時もあります。
私のブログの中でも、よくミドルクラスとか、ワーキングクラスについて触れていますが、いざ自分のブログを検索したら、イギリスの階級についてキチンと書いていないことに気が付きました。
というわけで、今日のテーマは階級です。

前置きが長かった・・・。

細かく分けるとキリがない階級ですが、昔はとっても簡単でした。
100年位前までは、階級は3つだけ。

自分か、もしくは近い親戚に紋章を持っている人が上流(アッパー)階級
イギリスでは貴族だけしか紋章は持てません。
新しく貴族になると、家系を調べて紋章を作ります。
長子相続なので、貴族のおうちに生まれても、次男坊や三男坊は家を出なければいけません。
そうなると紋章は無くなります。
でも家柄はバッチリなので、アッパーといえます。
因みにわかりやすいように「家紋」という表現をすることもありますが、イギリスの紋章は個人に属します。
だから貴族の家を相続するひとはお父さんの紋章とお母さんの家の門を組み合わせて自分の紋章にするわけです。
だから古い家に生まれた程、紋章は複雑です。

紋章はないけれど、資産を持っている人が中流(ミドル)階級
資産の運用はいろいろあげられますが、農地を小作人に貸したり、工場や事業の運営などもこれに当たります。
また職業を持っている場合もありますが、大学を出ないとできない職業、例えば学者、聖職者、医者、そして士官などがあります。
これらの職業は社会に貢献するのが目的で、そこから得る収入は二次的なもの、という建前が通ります。
ところが小さな寺禄しかない貧しい聖職者の場合なんかは、子供がたくさんいたりすると、将来が不安です。
その場合は子供を教育します。
そうしてアッパークラスの家庭教師なんかにしたわけです。
ジェインオースティンやブロンテ姉妹などはこの典型的なパターンです。

プライドと偏見の中で、お金持ちで、家柄のいいダーシーの親戚から、身分違いのカップルだと戒められたエリザベスの台詞を引用すると、
「なにもダーシーさんと結婚したからって、世界を飛び出したなんて思いませんわ。ダーシーさんはジェントルマン、そしてわたくしもジェントルマンの娘ですわ。その限りじゃ一緒じゃありませんの。」
日本語で読むと、人間は平等みたいに聞こえるかもしれませんが、大間違いです。
ジェントルマンとはミドルクラスのこと。
つまりエリザベスは「お金がないからってワーキングクラスと一緒にしないで頂戴、私はミドルクラスなのよ」って言っているわけです。

紋章はもちろん、資産もない人が労働者(ワーキング)階級
その名の通り、働かないと食べていけません。
でも彼らが不幸せなわけではありません。
日本やアメリカの社会では「向上心を持つ」ということが大切なわけですが、イギリスは同じではありません。
分をわきまえるということを大切にします。
ワーキングクラスにはミドルクラスにはない良さもたくさんあります。
どうしても順番に並べると、下というイメージで見られますが、逆に言うと底力を持っているクラスです。

税制が変ったことでこのクラスシステムに変化が現れるのが100年ほど前。
加えて2度の世界大戦で、イギリスは大きく変っていきます。
それでは現在の階級システムは、また今度・・・。 ランキングに参加してみることにしました。
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