2012年3月5日月曜日

ポアロのおうち

前回のブログで、アガサクリスティーのおうちを紹介しましたから、今日は彼女が生み出した偉大な探偵、ポアロのおうちを紹介します。
このフラット(イギリスでは集合住宅のことをこう呼びます)は、ITVのテレビのポアロ・シリーズに登場します。
原作では「WHITEHAVEN MANSIONS」という名前なのですが、この写真の建物の名前は「Florin Court」
チャーターハウスという広場に面して建っています。

アールデコってカンジでしょう?
こういった外観の建物は、ロンドンで数多く見られます。
大体1920年から30年くらいにかけて建てられました。

実は私の住んでいるフラットも、同じくらいの年代に建てられました。
デコの建物は、お部屋が広くて天井も低くありませんが、残念なのはキッチンやバスルームといった「水まわり」がかなり小さいことです。
個々のフラットに住み込みのお手伝いさんを置かずに、フラット全体の管理にケアテイカーがいて、お掃除なんかはそういったケアテイカーや、別にアレンジした人が行っていました。
1930年代に、このタイプのフラットに住んでいたのはミドルクラスの人たちです。
持ち家として購入するわけではなく、完全に賃貸物件として出されていたようです。
リースという、長期の賃貸が人気を集めたのは、ずっと後になってからのことです。

ちょっとネットで探してみたら 「Florin Court」 の建物の中にはいろんなサイズのフラットがあるようです。
9階にある、一番小さいスタジオフラット(日本風でいうワンルーム)で1週間の家賃が290ポンドで広告が出されていました。
場所も便利。
地下鉄の駅バービカンも近いし、金融街まで歩いてアクセスできます。

駅名にもなっているバービカンというのは砦という意味。
ロンドンがもっともっと小さかった時代には、この辺りは町の淵にあたる所。
だからそんな名前がついたんでしょうね。
すぐ近くには、スミスフィールド、お肉屋さんの中央市場。
町の端っこに、家畜の市場があったことに由来します。

このパブは、そんな市場のすぐそばに立っています。
名前は「HOPE(希望)」
看板を見ると、いかだから助けを求める人が・・・
いったいどんな理由でそんな名前にしたんでしょうね。


このパブの2階にはレストランがあって、そちらの名前はとても分かりやすいのです。
「サーロイン」
看板には「最高級の朝食とランチをお召し上がりいただけます」と書かれています。
それはこの場所が肉市場なので、朝と昼が忙しいということの名残でしょうね。

肉市場の横にある「サーロイン」で肉料理を食べてみるというのもなかなかいいかもしれません。

メニューが外に出ているのですが、普通のレストランに比べると、かなり安いです。
でも私はまだここで食べたことがないので、美味しいかどうかはわかりません(笑)

ところで、多分以前にもこのブログに書いたと思うのですが、サーロインというのは牛の腰肉のことです。
他のお肉(ポークやラムや鹿肉)などの腰肉は、ただロインと呼ぶのに、ビーフの場合だけサーロイン。
これは、ジェイムス1世という、家康と同じ時代のイギリスの王様が命名したからです。
ポアロのフラットのナナメ向かいに「チャーターハウス」という建物があって、ある時ジェイムス1世がそこでご飯を食べていました。
あまりに美味しいお肉に感動した彼は、給仕にお肉の種類を聞きました。
「ロイン(腰肉)です」との答えに、ただの腰肉ではこの美味しさにふさわしくないとかんがえて「Sir(騎士の称号)を与えよう」となったわけです。
サーロインは最近お値段が随分上がりました。
私がいつも行く、近所のお肉屋さんでは1kgあたり、38ポンドもします。
そこで、もうちょっと気軽に買うことのできる部位は、というとフォーリブ(Fore Rib)というカット。
これは、昨日お料理したお肉で、2kgほどです。
180度で1時間半焼いたらこんなカンジ。
脂身が苦手な人にはあまりお勧めできませんが、脂身のおかげでサーロインよりもかなりジューシーに仕上がります。
サーロインの半値近く、という値段設定も、魅力です。

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