2012年2月3日金曜日

マヤ文明

大英博物館に行くと、必ずご案内といった展示物がいくつかあります。
ロゼッタストーンとか、パルテノン神殿とか。
逆に、全く行かないギャラリーもいくつか。
いつも行く場所と比べて、展示物が劣っているわけではありません。
展示されていることが知られていない、もしくは時間がなくて行かないという場合が多いようです。

今日紹介するのは、メキシコギャラリーです。
エンライトメントギャラリーと、ウェルカムギャラリーをつなぐ場所にあります。
話題のマヤ文明なので(笑)時間があるなら是非立ち寄ってください。

マヤ文明の問題点は「西洋文化の視点で見られると、まずい」ということです。

まず、マヤ文明はキリスト教に関係ないから、そっちからの興味を引きません。
例えばエジプトやメソポタミアのものは、聖書に関係あるので大事です。

トルコやギリシャのものは聖書に関係ないけど、ヨーロッパの歴史だから大事。
だけど、マヤ文明は地理的に関係なし。

もうひとつの理由は、簡単に言うと、マヤの芸術品は「わー綺麗、豪華、ステキ、欲しいわ!!」でないということ。
だからたくさん残らなかったわけです。

大英博物館のメキシコギャラリーには、興味深いものがずらりと並んでいます。
有名なのはトルコ石の仮面とかでしょうね。
本物の頭蓋骨を使ったマスクとかもあって、本当にブキミです。
生贄をささげたりする、残酷な儀式が毎日のように行われていたそうです。

これは、ハチャといいます。
実用ではありませんが斧だそうです。マヤの人たちは、世界で初めてゴムを使った人たち。
球技を考えた最初の人たちという話もあります。
4kg程度のゴムのボールを使った儀式が行われていました。
これは、2人ないし4人で行うのですが、みんな腰にこんな轡を大きくしたようなものを着けます。これは石でできているのですが、これをもとに皮などで同じようなサイズのものを作りました。
中には繊維をびっしり詰めて、かなりの重さだったそうです。
これで(腰につけた状態で)ゴムのボールを打ち合うのです。
結果は占いに利用したり、また、部族間の戦争の代わりに、この競技を行ったりもしたそうです。

片側の壁一面に、石のレリーフが並んでいます。
レリーフの左中央と上のほうに、正方形のマークがずらっと並んでいるでしょう?これはマヤの文字です。
マヤ文明は今でもまだ細々と続いているので、これらの文字は全て解読できるそうです。
1万個以上の文字が存在するのですが、一般的に使われたのは200から500の文字です。
それでも複雑な文字ですから、一般のマヤの人たちが使ったわけではありません。
エジプトや中国のように、専門の書記がいたわけです。

このレリーフには2人の人物が描かれています。
左のジャガーのマスクをつけているのは王様、ひざまずいているのはお后様です。
何をしているか分かりますか?お后様は自分の舌に穴を開けて、そこにサボテンのトゲの編みこまれたロープを通します。
そのロープを伝って流れた血はバスケットに用意された紙に吸い取らせます。
そしてその紙を焼くことによって血の犠牲が神のもとへ届くわけです。

マヤの人々が主食にしたのはとうもろこし。
飲料水は泉から。
部族同士の争いが絶えない、厳しい暮らしだったようです。
そこでマヤの神様はみんな残酷。
その神様のためにたくさんの生贄がささげられました。
生贄は死んでしまうので、再利用できませんが、血を流すだけなら何度も繰り返すことが可能です。

でもキリスト教にも、その母体になったユダヤ教にも血の儀式はありました。
キリスト教のミサで、キリストの血になぞらえてワイン。
ユダヤ教では過越しの祭りに羊の血を使います。
また、子羊を焼いた煙が神のもとに届くというコンセプトもマヤの儀式に似ています。
そこでスペイン人がマヤの人々をキリスト教に改宗させるのに、こういった類似点が利用されたそうです。

おまけ。
マヤのカレンダーです。

0 件のコメント: