久しぶりにマンチェスターに行ってきました。
ロンドンからだとユーストン駅からの特急で2時間ほど。
最後に行ったのは2019年にサッカーを見に行った時だからずいぶん経ちます。
2時間ということは日帰りも可能ですが、マンチェスターはゆっくり泊まって数日観る価値が十分にあります。
ラディソン・エドワーディアンの建物は旧館の外観がこんな感じ。
中央に旗が出ているんだけど、その袂に FREE TRADE HALL の文字。これが示すようにこのホテルは昔「Free Trade Hall」という建物だったのです。
マンチェスターは北イングランドに位置して、産業革命で重要な都市のひとつ。
イギリスで市民運動や労働条件などの話題になると必ず名前が上がる場所。
協同組合発祥の地でもあります。
そして、このホテルが建っている場所は、そのマンチェスターの歴史上とても重要なところなんです。
1819年にピータールーの虐殺といわれる市民弾圧事件があったのがまさしくここ。
地図を紹介しますね。
それがこの下の地図上A34と書かれている通りです。
ホテルの建物が広場の南半分だということがわかりますよね。

ただ、その規模が大きかったことに加えて、イギリスでは選挙権の不平等などの政治的な不満が高まっていたこと、世界的な天候不順のために不作が続いてヨーロッパ各地で暴動が起きていたことなどから政府側の過剰防衛が原因になったとされています。
数年前に映画にもなりましたが、大ヒットというわけではなかったので観なかった人も多いと思います(実は私も観ていません)
集会の情報が事前に知られていたことから新聞記者たちが集まっていたために、目撃された事件はすぐに記事にされて全国へ伝わりました。
ナポレオンが敗れた決戦ウォータールーにもじってピータールーの名前を付けたのも新聞記者のひとりで、事件にはその名前が定着しました。
因みにイギリスのガーディアン紙という社会問題の提起に定評がある新聞はこの事件がきっかけとなって廃刊させられたマンチェスター・オブザーバーの代わりに創刊された新聞がはじまり。
その報道によって被害者の数は変わりますが、被害そのものはもちろん、平和的な市民運動を暴力で封じようとした体制に批判は傾きました。
その報道によって被害者の数は変わりますが、被害そのものはもちろん、平和的な市民運動を暴力で封じようとした体制に批判は傾きました。
その後この事件が基になって選挙改革が進んでいくことになります。
また、反穀物法連盟の設立にも大きな影響がありました。
穀物法というのはイギリスのこの時代に大地主層を守るために外国から入ってくる安い小麦にかけられた税金をまとめた法律のこと。
不作に加えてパンの値段が上がる理由になったのがこの法律なので撤廃を求めて労働者が立ち上がったのです。
1846年に穀物法が廃止された後、自由貿易のすばらしさを讃える、だれでも利用できるホールが建てられて、フリートレードホールと名付けられました。
オーケストラの演奏やダンスが行われる会場もあって賑わった建物でした。
サフラジェット運動は第一次世界大戦終戦時に部分的な女性参政権が認められたことで鎮火します。
オーケストラの演奏やダンスが行われる会場もあって賑わった建物でした。
政治的な集会なども多く開かれて、女性の参政権を求める激しい運動「サフラジェット」はここから始まったとされています。
総選挙前の候補者に向かってクリストバル・パンクハーストとアニー・ケリーが「あなたが当選したら女性への参政権を認めますか?」と質問したことで会場から強制的に追い出されます。
その後罰金刑か監獄への収監かの選択を迫られた二人は収監を選びます。
「平和的な活動よりも逮捕されたり問題行動を起こす方がニュースになって運動が人の目に触れる」という発想の転換がこの時だったとされています。
イギリスでは今でも目立つこと(主張や抗議に関係のない場所でおこす犯罪まがいの活動)で主義主張を広く知ってもらおうとする人たちが多いのはこの流れ。
そんな事件の記念プレート。
それ以降、放火や暴力、デモなどいろいろな方法が採られて、収監された女性もハンガーストライキなどで抗議を続けました。
女性の参政権が部分的にも認められたのは、戦争中に暴力などを伴う大きな問題がなかったことと、その時の女性による社会での活躍や奉仕が後押しになったといわれています。
さて、そんなフリートレードホールですが第二次世界大戦中に爆撃の被害に遭います。
再建されたのが1951年。
こちらがその記念プラークです。
この場所は他にもマンチェスターの音楽シーンにとって重要な場所なんですが、長くなってきたので別の機会にご紹介したいと思います。
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