2018年10月20日土曜日

ハーグ条約のレクチャーに参加してきたよ!

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今週のはじめに、ロンドン日本大使館が主催する、ハーグ条約セミナーに参加してきました。

ロンドンの領事館に在留届を出すときに、メールアドレスを登録しておくと、大使館や領事館からいろいろな情報がメールで送られてくるのですが、この企画もそんなメールで知りました。

桃太郎君も成人しているし、この先自分がかかわる法律ではないかもしれませんが、自分に直接関係のないことでも、正しい知識を持つことは大切だと思って、近くに行く用事もあったし、メールを受け取ってすぐに申し込みをしました。

会場のサイズもあって、50人限定。

先着順だったので、メールに気付くのが早くてラッキーでした。

今回は実際にケースを扱っている外務省の職員が講師であるということで、正確な情報を得るいい機会。

こちらは当日用意された資料。

時間通りに会場に足を運ぶとほとんどが女性。
男性はいないわけではないのですが、ほんの数えるほど。

女性の年齢は、聞いたわけではないのでわかりませんが、20代後半から30代前半くらいの人たちが中心のように感じました。
ということは、ハーグ条約に実際関わることになるかもしれないから参加したって人が大半なのかなぁ?

参加するまでは、私みたいに興味本位の人たちが多いと思っていましたから、意外でした。
でも、これも聞いたわけじゃないのでわかりませんが、なんとなく国際結婚して現地に住んでいるって感じの人よりは、駐在の人たちがお友達同士で来ている雰囲気も少しありました。


このレクチャーに参加するまで、ハーグ条約というのは国際結婚間の子供たちに対する条約だと思い込んでいたのですが、実際話を伺うとそうではなく、日本人同士の結婚でも当てはまるそうです。
ここでは結婚と書きましたが、もちろん結婚が関係ない場合もあります。

要約すると、ハーグ条約というのは、ある国(ハーグ条約の参加国)に住んでいる子供が、片親の許可を得ずに他のハーグ条約国に連れていかれたり、許可を得て連れ出したものの、約束の期間を過ぎても元の国に戻されなかったりする場合に、その子供をもとの国に戻す国際間の条約ってことです。

日本は2014年にハーグ条約に参加しました。
なので、それ以降、いくつかの国との間にまたがってこどもの行き来が問題になったケース、また、現在問題になっているケースがあるそうです。

質疑応答では、実際に当事者になりえるケースのような、具体的な質問なんかもあって、とても興味深かったです。

併せて、レクチャーの中で実際の案件の数が出てきたのも、私の興味を引きました。

日本がハーグ条約に参加してから現在まで、約300件の事案があったそうです。
そのうちこどもの両親が両方日本人だったケースも10%含まれます。
また逆に、子供の両親が両方非日本人だったケースも10%程度だそうです。
つまり、こどもが普段住んでいる国と、現在いる国の両方がハーグ条約に入っていれば、親の国籍にかかわらず、取り扱いのケースになるということのようです。

国際間の条約では往々にしてそうですが、その国の習慣や文化が違うと、同じ条約でも機能の仕方が違ってくる場合があります。
例えば日本では離婚の際に子供の親権が片親に託されますが、英国では親権という感覚自体が日本と同じではありません。
どちらかの親だけが子供に関する権利を持つという考えではないので、離婚して別居して、こどもが片親と住んでいるからといって、その親がこどもに関するすべての権限を握るわけではないケースがほとんどです。

なので、離婚して英国に住んでいるカップルがいたとして、片親が子供を連れて日本に一時帰国の際に、そのまま日本に残って、英国に帰らないでいると、英国側に残った親からすれば、もともと一緒に住んでいなくても「勝手に許可なく子供が外国に連れ去られた」ということになるそうです。
もう片親の許可なく日本に行けば「連れ去り」
行く許可は得たけど、戻さない場合は「留置」になるそうです。



現在ハーグ条約に加盟している国は以下の98国。
 こちらはヨーロッパの国々で、赤字の国は現在日本との事案がある国です。

この表は日本との間にある事案を抱えている国とその件数。

このうち、 日本にいる子供がかかわる事案で、子供の返還要求を起こしている国はこの表で見ることができます。

イギリスに子供を返してほしいと思っている親が4人いるってことですね。
ハーグ条約では、裁判になったり、その結果強制送還もあり得るそうですが、子供のことを考えると話し合いで当事者同士が決めるのが一番なんでしょうね。
なので、そういった話し合いの機会を当事者同士で持ったり、また第3者をはさんだりして持てるようにするサポートも重要な位置を占めているそうです。

なかなか勉強になったレクチャーでした。

イギリスでは法務省が、日本では外務省が中央当局になって、当事者とのコミュニケーションをとっているそうです。

ハーグ条約について詳しく知りたい方は、外務省のハーグ条約室に直接コンタクトをとるのがベストだそうです。
質問にも答えてくれるし、資料などもそろっているとのことでした。


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