2018年2月21日水曜日

観光業について、最近思うことをちょっと書きたいと思います

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私はメールアドレスを公開しているので、全く知らない人からのメールもよく受け取ります。
イギリスの観光や、ガイドに関する問い合わせはもちろんですが、お仕事の依頼とは少し違うメールなども時々受け取ります。

昨日も、朝起きたらこんなメールが届いていました。
(差出人から許可を得て、特定の名前や場所などの描写を省くために、一部編集してあります)

バートリー みき  様

初めまして。
サイトを拝見させて頂きました。

早速本題で申し訳ありません。

日本の添乗員なのですが、今回、ツアーで観光があり、ガイドなしです。
10年前はガイドなしなど考えられなかったのですが…。

昨今、イタリアやスペイン、オーストリアではライセンスガイドが同行していないと厳しい罰金が課せられます。
イギリスはどうなのでしょうか?
他のブルーバッチガイドのサイトを拝見してもそこまでは踏み込んでいなくて…。

罰金が課せられるとなると、私たちのヨーロッパ入国にも問題(パスポートの記録を取られる)にもなるかもしれない死活問題です。

会社はヨーロッパのいくつかの国は、今のところライセンスがうるさくないからと、ガイドを極力省いております。
多分、イギリスもそうなのではと…。

今回は教会の入場観光も2ヶ所あります。
そんなにうるさくないフランスでも、教会の内部観光は係りから『案内禁止』と言われます。

長々と失礼致しました。

ブルーバッチガイドさんの立場からはどうでしょうか?
私達が教会内で案内することは違法でしょうか?また、教会でフランスのように制止される可能性があるでしょうか?


入場観光なのにガイドなし、なんて詐欺みたいです。
コスト削減なら『散策』にすべきなんです。
個人的には、ガイドさんを付けるべきだと思っています。
こういうずるい習慣を無くして行きたいと思っています。


お忙しいところ不躾な質問で大変失礼なことは重々承知をしております。
お返事を賜りたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。



イギリスの観光ガイドは専門職です。
現地係員とか、送迎アシスタント、添乗員とは全く別物です。
国によって観光ガイドの定義やライセンス制度は色々。

イギリスのガイドには、その難易度やガイドできる範囲に応じてレベルがあります。
  • レベル2 ホワイトバッジ (限られた場所のみでガイドできるライセンス、例えば私が持っているハンプトンコート宮殿のライセンスなどがそれにあたります)
  • レベル3 グリーンバッジ (ライセンスのエリア内でのサイトガイドと ウォーキングでの案内ができる。例えばケンブリッジガイドなどがそれにあたります)
  • レベル4 ブルーバッジ (博物館、アトラクション、教会などのサイトでのガイド、ウォーキングでのガイド、乗り物を使ったガイドができるライセンス)
ロンドンを普通に(旅行会社が謳っているような通常の観光)ガイドするには、ブルーバッジガイドが必要です。
これがそのガイド証。
最近はこれに顔写真入りの身分証明証も併せて持つようになりました。


旅行業に詳しくない人のために、「たとえ」でお話ししますね。

病院に行って「診察」といえば、お医者さんが出てくると思いますよね。
ところがある病院では、経費削減のために、白衣を着て聴診器を持った看護師さんが診察してくれます。
包帯を巻いたり、注射をするのはお医者さんより上手だし、いつもお医者さんが診察してるのを横で見ているから、お医者さんの資格はないけど、ま、いいか。

今回の添乗員さんからの問い合わせはこのケースと似たようなものです。

トラベロコなどの、最近よく見る、素人がガイドのふりをするサービス。
これは病院に行ったら、たまたま面会に来ていた、患者さんの家族が診察してくれるレベル。
サービスしたい人と、受けたい人を繋ぐプラットフォームという、わかったようなコンセプトですが、簡単に言えば、サイト提供者が自分の手を汚さずに、サービス代金の20%ピンはねするシステムです。
ライセンスを持っているかどうかの前に、就労ビザがあるかどうか、過去の犯罪歴があるかどうかなど、対人関係の会社なら、あって当然のチェックはありません。

観光するといって実は観光ガイドがつかないケース。

「パンフレットをちゃんと読めば、どこにもプロの観光ガイドを手配しているとは書いていない」
これが通常の旅行会社のいいわけです。

でも、この添乗員さんが言うように、「観光」と書かずに「散策」と書けばいいって簡単なものではないと思います。
というのは、お客さまは何を期待すべきかが分かっていないケースの方が多いからです。
「日本人は観光と散策の違いが分からない」って言ってるわけではないのですが、大手の旅行会社のパンフレットに散策と書いてあれば、観光だと思い込むケースが多いだろうということです。
大手銀行が、お年寄り相手に、不釣り合いなハイリスクの金融商品を売って、コミッションを稼ぐのと似た手口。

なので、旅行会社は、そのお客様のレベルで、代金に含まれるのは、観光ではないと分からせる義務があると思います。

バレなきゃいい、じゃなくって、積極的に正しいことをするという姿勢が大事だと思うんですけどね。

イギリスは昔から自由競争でクオリティーを確立してきました。
必然的に、たくさんの職業に資格があります。


旅行会社は、自分で各種の手配できない人のために、プランを組んだり、切符や宿泊施設の予約を代行したりするのが仕事です。

なので手数料を取るのは当たり前。
買ったものに利益を乗せてお客様に提供するという、当たり前の業種。

繁華街にある支店や、そこで働くスタッフの給料、ネット、新聞、雑誌などへの広告代、そういった費用は「ツアー代金」ー「ツアーの実費」で賄われます。

外国の情報が手に入りにくかった時代ならともかく、最近はネットなどで外国のことでもたくさんの情報を仕入れることが可能です。

ホテルや飛行機の値段だって筒抜け。

言葉は悪いですが、以前のようにボルことが難しい。

なので薄利多売に走るようになります。

健全な利益が取りにくいから、たくさん売らなきゃいけないので、品質よりも派手な広告で売ろうとするってことです。


このシステムの歪はいろんなところで爆発しかけ。

てるみクラブの倒産とかもそうだし、ワーキングプアの代表、添乗員さんの生活もよく話題に登ります。


旅行会社は手配旅行の費用と手数料を別に請求すべき。

オリジナルのプラン作りはもちろん、一旦決まった行程のサービス内容の変更にも手数料取るようにすれば、営業の人、どれだけ残業が減るか!


そして、主催のパッケージツアーは、紛らわしく名前だけ見事なツアータイトルの代わりに、顧客に対するサービスの内容を、もっと明確にすべきです。
どちらかといえば、何が含まれているかより、何が含まれていないかをキチンと出すべき。



最後に、受け取ったメールのお返事ですが、イギリスでは各サイトによって、ガイド可能かどうかは異なります。
ここにすべてを記すことは不可能。
ひとつひとつに連絡して、ハウスガイド(レベル2)の有無と、外部ガイドに対するポリシーを確認する必要があります。
教会の場合は、そういったポリシーとは別に、本来お祈りの場所であって観光アトラクションではありません。
なので、ガイディング自体が禁止である時間帯やエリアがあったりもします。

そして、私たちライセンスガイドの立場からは残念ながら(笑)、罰金とか、検挙といったことは聞いたことがありません。

せいぜい係員からガイドしないように注意されるくらいかな(これは自分で確認してください、私は責任は取れません)

もしかしたら、名前や国籍を聞かれたりはするかもしれませんね。

その時になって、「今日はできません」ってお客様に弁解するのはプロとして大変恥ずかしいことだと思いますし、期待を裏切ることだと思います。

「期待するのは勝手」ではないです。
私は、そんな風にクライアントに思わせるのは、誠実なビジネスではやってはいけないことだと思いますが、皆さんはどう思いますか?




それに加えて、問題はそこだけじゃない。

添乗員というのは旅程管理人でガイドではありません。
入国した時に「観光」で入ってきてますよね。
もしくは添乗員という資格で。

それでガイドするのは入国管理的にどうかな?

検挙されるかどうかじゃなくて、みつからなかったら何してもいいといった考えは、国際社会ではやらないのがルールでは?
そして、お客様の旅行体験を中心に考えるのなら、そういった詐欺まがいのことはなくすべきです。

何か大きな問題が起こってから、謝ったりするよりも、始めからその国のコンプライアンスを考えて仕事すべき。

一歩外に出たら、ひとりひとりが日本を代表していると自覚してほしいです。
最近「日本はすごいな~」みたいなテレビ番組やコラムをよく見ますが、そんな意識操作をしなくても、もっと日本は素晴らしかったはず。
最近少し変わってきたなって思います。










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2 件のコメント:

ロンメルめぐむ さんのコメント...

バートリーさま、
ドイツ在住のドライバーガイドのロンメル恵ともうします。バートリーさんのブログのことを、ドイツ在住のPharyさんのコメントで知り、さっそく今日の記事を読みました。身につまされます。わたしも、最近ドイツの同業者と、このトラベロコについて話します。ドイツも無許可でトランスファーサービス、専用車サービスをしている人たちが登録しています。営業登録されていない車両を使って、他人を乗せ、金銭を要求するなんて、無知の怖いもの知らずもここに極まれり、という感じですが、旅行会社に依頼するよりも、インターネットで「自分で」手配するほうがスマートという気持ちもあるんだろうし、なんだか旅行会社は「ぼる」のではないかと思っている人も多いですしね。
わたしも、「かけはし」という、ドイツ情報(と言う名目ですが、独り言です)ブログを書いていますが、もう一度この件について書いてみようかなと思います。
また、これは、大きなお世話なんですが、登録している方々がすべてその国で就労しても良い人たちなのか、収入を申告しているのかなんてちょっと気になっちゃいますね。(当事者にしてみれば)莫大な税金をちゃんと納めている者としては。
手配手数料を明らかにする方式はわたしも賛成です。わたしは文化交流と視察関係だけに特化したランドオペレートもしていますが、以前から見積もりを出すときに、手数料を明らかにしたほうが公明正大で、手配内容を変更を求められたりする際に、予算内でできること、できないことをはっきりとさせられると思っていました。今後そのように変えていこうと思っています。
あまりにも共感したので、コメントを残しました。今後も楽しみに読ませてください。

Miki Bartley さんのコメント...

ロンメル恵さん、こんにちは。
コメント興味深く読ませていただきました。
改めて、ネットで世界が広がるのを実感しました。
私もロンメル恵さんのブログに遊びに行きたいと思います。